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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

半導体バブル 揺れる北海道④ 米配慮で専門性軽視

2023-11-22 07:12:22 | 経済・産業・中小企業対策など
半導体バブル 揺れる北海道④ 米配慮で専門性軽視

先端半導体企業「ラピダス」の北海道千歳(ちとせ)工場は、2027年に量産開始を目指し急ピッチで建設が進められています。背景には対中国包囲網の構築を急ぐ米国への日本政府の思惑があります。
米国防総省は、今年3月の「年次産業能力報告書」で、最新兵器に使用される先端半導体のサプライチェーン(供給網)の台湾一極集中を危険視。日本など「同盟国との協力的な取り組みを行う」としました。経済産業省の担当者は昨年10月、米国防総省の半導体政策責任者と会談し、米軍兵器も含めたラピダス製品の用途について議論していました。



半導体技術者を育成する公立千歳科学技術大学=北海道千歳市

技術者不足
ラピダスは4月から回路線幅「2ナノメートル(ナノは10億分の1)」半導体の技術提供を受ける米大手IBMのオールバニ研究所(米ニューヨーク州)に約100人の技術者を派遣。これまでに技術者約200人を採用しましたが、量産には最低500人規模が必要とされています。
北海道では、北海道経済連合会や大学、高等専門学校などが半導体技術に関わる学生らの確保を急いでいます。
しかし、技術者の経験不足は、半導体の「歩留まり(製品のうちの良品の割合)」に影響します。「技術は学ぶだけでなく、熟練が重要」だと元大手電子機器メーカー開発部長の佐々木金見氏は強調します。ラピダスで量産のための設備が27年までにそろっても「歩留まりを上げ、一定の良品の出荷が可能になるのは、さらに数年かかるのではないか」「健全な産業発展を目指すならば、ていねいな育成が必要だ」と指摘します。
米国の対中戦略への貢献を第一にしたにわか仕込みの産業戦略が、日本の技術革新や産業発展をいびつにしようとしています。




膨大な電力
ラピダスの消費電力の大きさが問題になっています。
ラピダスはいまだに消費電力がどのくらいになるか明らかにしていません。しかし量産段階で60万キロワットになる可能性もあると見られています。わずか1社で北海道電力の全道への低量時供給量(300万キロワット)の2割に当たります。北電は13年に泊(とまり)原発の再稼働を申請し、現在は原子力規制委員会が審査中です。札幌地裁は昨年、同原発の運転差し止めを命じました。
地元ではラピダスの消費電力をまかなうためにも原発再稼働が狙われているのではないかとの声が上がっています。
道は、地球温暖化対策で設けた「ゼロカーボン基金」からラピダス支援に1億円を拠出します。
日本共産党の真下紀子道議は7月の道議会で、半導体事業の促進は電力消費を増大させかねないとして、同基金での支援の見直しを求めました。真下道議は泊原発の再稼働はもってのほかで廃炉にすべきだとして、「電力の大量消費は全道民の生活に直結する。電源を含めてラピダスと北電は速やかに情報を公表すべき」だと語りました。
巨額の税金を投入するラピダス工場の立ち上げは、環境への悪影響、電力不足、半導体製造の熟練人材不足など、さまざまな問題を抱えたまま、計画が進められています。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年11月21日付掲載


技術者の経験不足は、半導体の「歩留まり(製品のうちの良品の割合)」に影響。「技術は学ぶだけでなく、熟練が重要」だと元大手電子機器メーカー開発部長の佐々木金見氏は強調。
ラピダスで量産のための設備が27年までにそろっても「歩留まりを上げ、一定の良品の出荷が可能になるのは、さらに数年かかるのではないか」「健全な産業発展を目指すならば、ていねいな育成が必要だ」と指摘。
米国の対中戦略への貢献を第一にしたにわか仕込みの産業戦略が、日本の技術革新や産業発展をいびつに。

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