世界基準で5Gを再考する 加藤やすこ⑤ 被ばく規制値の見直し
携帯電話などの無線通信で使われる電磁波の指針値は、国によって異なります。以前は、多くの国が国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の指針に準じていました。
同指針値は、短時間、強い電磁波に被ばくして生体組織の熱が上がる「熱効果」が起きないよう定めています。しかし、現代社会では弱い電磁波に慢性的に被ばくし、熱効果が起きない被ばくレベルでも、有害な影響が起きています。
近年、最新の科学的証拠に基づいて規制を厳しくする国が増えました。インドではICNIRPの10%、ギリシャは学校・病院周辺では60%まで基準値を下げています。
ICNIRPの指針値は周波数1・8ギガヘルツに対し、電力密度900マイクロワット/平方センチ(電波の強さを示す単位)が上限ですが、日本とアメリカは1000マイクロワット/平方センチです。カナダも以前は日米と同じ基準値でしたが、2015年に439マイクロワット/平方センチに改定。欧州評議会(CoE)は11年、暫定的に0・1マイクロワット/平方センチ、将来的に0・01マイクロワット/平万センチにするよう、加盟国47カ国に勧告しています。

アメリカでは、連邦通信委員会(FCC)が1996年に策定した指針値を使っていたため、米会計検査院が2012年に見直しを要請しました。ところが、19年にFCCは最終的に見直しを拒否しました。
消費者団体や教育調査団体が「FCCの判断は恣意的だ」として提訴。昨年ワシントンDC控訴裁判所は、FCCが行政手続法に違反していると認めました。そして、電磁波の有害性を示す科学的証拠を無視する理由を説明するよう、FCCに命じています。
ICNIRPや日本の電波防護指針の策定には、業界団体やアメリカ電気電子学会(IEEE)の会員が加わっています。一方、欧州議会では科学的に中立な組織による新たな指針値策定を求める動きもあります。日本でも業界の影響を排除し、健康と環境を守る新たな指針値が必要です。
(環境ジャーナリスト、いのち環境ネットワーク)(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年4月29日付掲載
携帯電話などの無線通信で使われる電磁波の指針値は、国によって異なります。
近年、最新の科学的証拠に基づいて規制を厳しくする国が増えました。インドではICNIRPの10%、ギリシャは学校・病院周辺では60%まで基準値を下げています。
日本は業界の言いなりで規制が緩いまま。
業界の影響を排除し、健康と環境を守る新たな指針値が必要。
携帯電話などの無線通信で使われる電磁波の指針値は、国によって異なります。以前は、多くの国が国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の指針に準じていました。
同指針値は、短時間、強い電磁波に被ばくして生体組織の熱が上がる「熱効果」が起きないよう定めています。しかし、現代社会では弱い電磁波に慢性的に被ばくし、熱効果が起きない被ばくレベルでも、有害な影響が起きています。
近年、最新の科学的証拠に基づいて規制を厳しくする国が増えました。インドではICNIRPの10%、ギリシャは学校・病院周辺では60%まで基準値を下げています。
ICNIRPの指針値は周波数1・8ギガヘルツに対し、電力密度900マイクロワット/平方センチ(電波の強さを示す単位)が上限ですが、日本とアメリカは1000マイクロワット/平方センチです。カナダも以前は日米と同じ基準値でしたが、2015年に439マイクロワット/平方センチに改定。欧州評議会(CoE)は11年、暫定的に0・1マイクロワット/平方センチ、将来的に0・01マイクロワット/平万センチにするよう、加盟国47カ国に勧告しています。

アメリカでは、連邦通信委員会(FCC)が1996年に策定した指針値を使っていたため、米会計検査院が2012年に見直しを要請しました。ところが、19年にFCCは最終的に見直しを拒否しました。
消費者団体や教育調査団体が「FCCの判断は恣意的だ」として提訴。昨年ワシントンDC控訴裁判所は、FCCが行政手続法に違反していると認めました。そして、電磁波の有害性を示す科学的証拠を無視する理由を説明するよう、FCCに命じています。
ICNIRPや日本の電波防護指針の策定には、業界団体やアメリカ電気電子学会(IEEE)の会員が加わっています。一方、欧州議会では科学的に中立な組織による新たな指針値策定を求める動きもあります。日本でも業界の影響を排除し、健康と環境を守る新たな指針値が必要です。
(環境ジャーナリスト、いのち環境ネットワーク)(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年4月29日付掲載
携帯電話などの無線通信で使われる電磁波の指針値は、国によって異なります。
近年、最新の科学的証拠に基づいて規制を厳しくする国が増えました。インドではICNIRPの10%、ギリシャは学校・病院周辺では60%まで基準値を下げています。
日本は業界の言いなりで規制が緩いまま。
業界の影響を排除し、健康と環境を守る新たな指針値が必要。
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