壊される民主主義① 国会軽視で暴走する政権
「国民の皆さんの声をしっかり聞き、協力して明日を切り開いていく約束の証しだ」。岸田文雄首相は2021年10月、総選挙第一声で「岸田ノート」と呼ばれる一冊のノートを掲げながらこう訴えていました。あれから1年9カ月―。暴走する岸田政権によって、いま民主主義が破壊されようとしています。壊された民主主義を立て直すためには、岸田政権の暴走に歯止めをかける国会の役割、とりわけ、きちんとした野党の存在が不可欠です。
岸田政権のもとでは、国会軽視の異常な姿勢が賎際立っています。
政府は昨年12月16日、「国家安全保障戦略」など安保3文書を閣議決定しました。国の姿を変える決定を、国会審議や国民の意見を聞かないまま強行したことに強い批判があがっても首相は「(決定)プロセスには問題がない」(同日の記者会見)と強弁し続けました。
民意を無視する姿勢は、安倍晋三元首相の「国葬」強行(22年9月)にもあらわれています。
岸田首相は、安倍氏への追悼の辞で、安保法制=戦争法や特定秘密保護法などで大きく分かれる国民の評価を一切無視し、安倍政治を礼賛。憲法違反が明らかな「国葬」実施を国会にも諮らず、閣議決定だけで強行し、国民の間に分断を招きました。
23年6月21日に閉会した通常国会では、数の力で押し切る民主主義否定を露骨に進めました。敵基地攻撃能力保有のための大軍拡予算の成立に加え、財源捻出のための軍拡財源法や原発回帰の原発推進法、健康保険証廃止の改定マイナンバー法、さらに外国人の人権を侵害する改悪入管法などの悪法を次々と可決させました。国のあり方そのものを根本から覆す大転換にもかかわらず岸田首相は、国会で「詳細は答えられない」「具体的な内容はこれから検討」などと逃げの答弁に終始。「丁寧な説明」は一切なく、国民への真摯(しんし)な説明はいまも行われていません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/6c/977129380934434d961f185ac9a5c048.jpg)
施政方針演説を行う岸田文雄首相=1月23日、衆院本会議
維新の役割は右からけん引
岸田政権の異常な姿勢を後押しし、ときに自民党よりさらに右の立場からけん引する役割を果たしているのが日本維新の会です。
維新は軍拡財源法に「反対」しましたが、大軍拡と軍事費の大幅な増額をあおっていたのが実態です。与党の採決日程の提案に賛成するばかりか、廃案を求める野党の行動を維新が「昭和のやり方だ」とののしるなど法案の強行に手を貸しました。
通常国会閉会を受け、自民党がまとめた「委員会別法案審議結果」でもコ部野党は審議の遅延を図るため解任案や不信任案を次々と提出した」のに対し、維新と国民民主を念頭に「与党はこれに同調しない党と共に粛々と否決し、着実に結果を出すことができた」と総括しています。
「審議結果」はさらに、憲法審査会について、3月以降ほぼ毎週定例日に開催できたとして、「各党が見解を明らかにするなど、議論を深めることができた」と強調しました。まさに自公とその補完勢力による民主主義と憲法の破壊が始まっていることを明らかにしています。
その後、維新の馬場伸幸代表は7月23日に出演したインターネット番組で、自党は「第2自民党」だと宣言。日本共産党は「日本からなくなったらいい政党だ」などと、民主主義を根本から否定する暴論まで公言しています。
政権への姿勢揺らいだ立民岸田政権の暴走が加速するなか、対決する野党の姿勢が間われています。ところがこの間、野党第1党・立憲民主党の政権に対する姿勢は揺らぎ続けてきました。
立民の泉健太代表は、21年11月の代表就任当初、これまでの「対決路線」から「提案路線」への転換を前面にアピール。その後、22年7月の参院選を受け、再び追及型へと路線を転換したものの、国会内では維新との連携を強めました。
しかし、9条改憲を主張し、大軍拡や新自由主義路線を突き進もうとする維新と、立民の立場は相いれません。結局、統一地方選後の23年5月、泉代表は維新を「(自民党と)対抗する姿勢が見られない」と批判し、「共闘」の解消を表明しました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年8月12日付掲載
23年6月21日に閉会した通常国会では、数の力で押し切る民主主義否定を露骨に進めました。敵基地攻撃能力保有のための大軍拡予算の成立に加え、財源捻出のための軍拡財源法や原発回帰の原発推進法、健康保険証廃止の改定マイナンバー法、さらに外国人の人権を侵害する改悪入管法などの悪法を次々と可決。
岸田政権の異常な姿勢を後押しし、ときに自民党よりさらに右の立場からけん引する役割を果たしているのが日本維新の会。
政権への姿勢揺らいだ立民岸田政権の暴走が加速するなか、対決する野党の姿勢が間われています。ところがこの間、野党第1党・立憲民主党の政権に対する姿勢は揺らぎ続けてきました。
「国民の皆さんの声をしっかり聞き、協力して明日を切り開いていく約束の証しだ」。岸田文雄首相は2021年10月、総選挙第一声で「岸田ノート」と呼ばれる一冊のノートを掲げながらこう訴えていました。あれから1年9カ月―。暴走する岸田政権によって、いま民主主義が破壊されようとしています。壊された民主主義を立て直すためには、岸田政権の暴走に歯止めをかける国会の役割、とりわけ、きちんとした野党の存在が不可欠です。
岸田政権のもとでは、国会軽視の異常な姿勢が賎際立っています。
政府は昨年12月16日、「国家安全保障戦略」など安保3文書を閣議決定しました。国の姿を変える決定を、国会審議や国民の意見を聞かないまま強行したことに強い批判があがっても首相は「(決定)プロセスには問題がない」(同日の記者会見)と強弁し続けました。
民意を無視する姿勢は、安倍晋三元首相の「国葬」強行(22年9月)にもあらわれています。
岸田首相は、安倍氏への追悼の辞で、安保法制=戦争法や特定秘密保護法などで大きく分かれる国民の評価を一切無視し、安倍政治を礼賛。憲法違反が明らかな「国葬」実施を国会にも諮らず、閣議決定だけで強行し、国民の間に分断を招きました。
23年6月21日に閉会した通常国会では、数の力で押し切る民主主義否定を露骨に進めました。敵基地攻撃能力保有のための大軍拡予算の成立に加え、財源捻出のための軍拡財源法や原発回帰の原発推進法、健康保険証廃止の改定マイナンバー法、さらに外国人の人権を侵害する改悪入管法などの悪法を次々と可決させました。国のあり方そのものを根本から覆す大転換にもかかわらず岸田首相は、国会で「詳細は答えられない」「具体的な内容はこれから検討」などと逃げの答弁に終始。「丁寧な説明」は一切なく、国民への真摯(しんし)な説明はいまも行われていません。
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施政方針演説を行う岸田文雄首相=1月23日、衆院本会議
維新の役割は右からけん引
岸田政権の異常な姿勢を後押しし、ときに自民党よりさらに右の立場からけん引する役割を果たしているのが日本維新の会です。
維新は軍拡財源法に「反対」しましたが、大軍拡と軍事費の大幅な増額をあおっていたのが実態です。与党の採決日程の提案に賛成するばかりか、廃案を求める野党の行動を維新が「昭和のやり方だ」とののしるなど法案の強行に手を貸しました。
通常国会閉会を受け、自民党がまとめた「委員会別法案審議結果」でもコ部野党は審議の遅延を図るため解任案や不信任案を次々と提出した」のに対し、維新と国民民主を念頭に「与党はこれに同調しない党と共に粛々と否決し、着実に結果を出すことができた」と総括しています。
「審議結果」はさらに、憲法審査会について、3月以降ほぼ毎週定例日に開催できたとして、「各党が見解を明らかにするなど、議論を深めることができた」と強調しました。まさに自公とその補完勢力による民主主義と憲法の破壊が始まっていることを明らかにしています。
その後、維新の馬場伸幸代表は7月23日に出演したインターネット番組で、自党は「第2自民党」だと宣言。日本共産党は「日本からなくなったらいい政党だ」などと、民主主義を根本から否定する暴論まで公言しています。
政権への姿勢揺らいだ立民岸田政権の暴走が加速するなか、対決する野党の姿勢が間われています。ところがこの間、野党第1党・立憲民主党の政権に対する姿勢は揺らぎ続けてきました。
立民の泉健太代表は、21年11月の代表就任当初、これまでの「対決路線」から「提案路線」への転換を前面にアピール。その後、22年7月の参院選を受け、再び追及型へと路線を転換したものの、国会内では維新との連携を強めました。
しかし、9条改憲を主張し、大軍拡や新自由主義路線を突き進もうとする維新と、立民の立場は相いれません。結局、統一地方選後の23年5月、泉代表は維新を「(自民党と)対抗する姿勢が見られない」と批判し、「共闘」の解消を表明しました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年8月12日付掲載
23年6月21日に閉会した通常国会では、数の力で押し切る民主主義否定を露骨に進めました。敵基地攻撃能力保有のための大軍拡予算の成立に加え、財源捻出のための軍拡財源法や原発回帰の原発推進法、健康保険証廃止の改定マイナンバー法、さらに外国人の人権を侵害する改悪入管法などの悪法を次々と可決。
岸田政権の異常な姿勢を後押しし、ときに自民党よりさらに右の立場からけん引する役割を果たしているのが日本維新の会。
政権への姿勢揺らいだ立民岸田政権の暴走が加速するなか、対決する野党の姿勢が間われています。ところがこの間、野党第1党・立憲民主党の政権に対する姿勢は揺らぎ続けてきました。
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