きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

子どもたちとともに 「教育のつどい」から② 隠れている願い探り

2024-09-18 07:07:07 | 政治・社会問題について
子どもたちとともに 「教育のつどい」から② 隠れている願い探り

小学部4年の和巳くん(仮名)は朝から学校中の電気をつけ、全ての窓を閉め、そしてとにかく走る。試しに、万歩計をつけたら3万歩に―。滋賀県の特別支援学校に勤める岡田徹也さん(43)は、障害児教育分科会で、和巳くんのいろいろな「決めごと」の背後に隠れている願いを探り授業づくりに生かした実践を報告しました。
授業を抜け出しては校舎を走り回り、他の教室に入ろうとする和巳くん。岡田さんは当初、必死に追いかけ、止めようとしていました。
一方、ある先生は自ら和巳くんを教室に招き入れ、高等部の生徒はおもちゃを渡して歓迎。しばらく過ごしてから自分の教室に戻るよう促すと、素直に応じました。



障害児教育分科会で報告する岡田さん(左端)=8月、大阪市

気持ち受け止め
「自分の気持ちが受け止められたことで、相手の言うことも受け止めることができたのでは。異動1年目で気負っていた私も、安心感を持って和巳くんと向き合えるようになりました」(岡田さん)
和巳くんとの距離が縮まるなか「3万歩も走るのは立ち止まりたくなる楽しいものがないからでは」「給食時に教室に入らないのは『ごちそうさま』を言わされるのが嫌なのでは」など、決めごとの背景も見えてきました。
しかし授業がつまらないと感じれば飛び出す日々。あるとき教室に入ると決まって絵本を取りだし穏やかに眺める和巳くんの姿に「実は和巳くんなりに好きなことを支えに授業に参加しようとしているのでは」と思い至りました。授業に絵本や人形劇を取り入れると和巳くんは夢中になりました。
一方、特別支援学校の在籍数が年々増加していることで教室不足や教職員不足が深刻化しています。岡田さんは劇活動を思いきり楽しむ授業づくりや、クラスをまたいだ合同学習をしたいと考えていましたが、難しい状況がありました。



『11ぴきのねこ』のとらねこ大将の人形を操る岡田さん(本人提供)

面白さの契機に
2学期の文化祭で『11ぴきのねこ』の劇活動に取り組み、教職員集団で子どもを見ることや授業をつくる面白さを感じるきっかけにしたいと考えました。会議の場で思い切って▽台本を職員集団でつくる▽教師だけでつくってきた舞台の背景を子どもたちと一緒につくる▽事前学習として教師劇をみせる―ことなどを提案しました。
初めてのことに戸惑う声が多かったものの、実際にやってみると、子どもたちは大きな紙に全身で絵を描くことを楽しんだり、教師劇に飛び入りで参加してきたり。教師たちも、いつもとは違う子どもたちの姿に新しい発見を共有しました。
文化祭当日、和巳くんは第一場面から最後まで張り切って舞台に立ち続けました。
岡田さんは、教師の負担軽減の名で学校行事を廃止・簡素化する動きがあることに「一方的な業務の精選や効率化が、教職員同士の語り合いや課題解決に向けた共同の力を弱めていないか」と問題提起。「管理職が上から押し付けるのではなく、子どもを中心に教員や保護者を交えて話し合うことが必要です」と語りました。
(佐久間亮)(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年9月10日付掲載


特別支援学校の在籍数が年々増加していることで教室不足や教職員不足が深刻化。岡田さんは劇活動を思いきり楽しむ授業づくりや、クラスをまたいだ合同学習をしたいと考えていましたが、難しい状況が。
2学期の文化祭で『11ぴきのねこ』の劇活動に取り組み、教職員集団で子どもを見ることや授業をつくる面白さを感じるきっかけにしたいと考えました。
初めてのことに戸惑う声が多かったものの、実際にやってみると、子どもたちは大きな紙に全身で絵を描くことを楽しんだり、教師劇に飛び入りで参加してきたり。教師たちも、いつもとは違う子どもたちの姿に新しい発見を共有。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 子どもたちとともに 「教育... | トップ | 子どもたちとともに 「教育... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

政治・社会問題について」カテゴリの最新記事