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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

暴力被害者を支援する女性たち ドイツ④ 根絶は社会全体で

2021-08-22 07:09:33 | 政治・社会問題について
暴力被害者を支援する女性たち ドイツ④ 根絶は社会全体で
フライブルク市を拠点にDV被害者の救済をめざすNPO団体「FRIG」では、心理学の専門スタッフ2人と、事務員の計4人が働いています。コロナ下で市のDVシェルターに第三者から寄せられた保護相談件数は前年比で240件以上増えました。
スタッフの一人マルティーナ・ラーブヘックさん(58)は「DV被害者を真の意味で救うためには、関係機関が連携し、社会全体で取り組む必要がある」と強調します。
FRIGは1998年に、性別や国籍に関係なくDV被害者を速やかに救済するため設立されました。現在、FRIGが作り出した関係団体の垣根を越えた支援体制は市を越えて注目されています。



FRIGのマルティーナ・ラーブヘックさん(右)とタチアナ・ボルフさん=7月15日、フライブルク市内

情報交換で支援
被害者の支援では、心の傷をいやし、生活を改善させていくための下支えが必要です。そのために、関連機関が相互に情報交換するネットワークをつくりあげてきました。被害者支援、行政の介入、加害者の救済に焦点を当てた「女性と子ども」「警察と司法」「男性の加害者の更生トレーニング」の三つのグループに分かれ、年1~2回の定期会合を開催。関係機関を網羅する支援網が構築されています。
現在は、DVが繰り返される危険の高い人の情報から関係組織の人事異動に至るまで、各団体に共有されています。
移民のDV被害が増加していることが分かると、言葉が通じなくても円滑な支援を実現するための作業部会を立ち上げました。暴力を「暴力」と認識できない人もいることから「身体的暴力」「性行為の強要」などがあればすぐに相談するよう促すビラを作成し、市や警察と連携して啓発活動をしています。

目標共有し前進
「被害者を支援し、加害者の責任を追及し、公共の場での暴力を根絶する。この目標を常に共有し前進していく」
張り巡らされた支援網のおかげで、コロナ禍でも「迅速に被害者を支援することができた」といいます。昨年11月ごろからの2度目の都市封鎖措置の際には、ビデオ通話体制を整え、遠隔会議を通して被害者支援に当たりました。
支援体制のネットワーク強化は、全国での課題となっています。
FRIGを中心に、2003年から毎年、州をまたいで医療、司法、警察や支援団体の意見交換の会議を開いています。ラーブヘックさんは「私たちの支援網作りの重要性が広く認知されてきた。将来は国レベルのネットワークを強化したい」と語ります。
ドイツは女性を暴力から守る国際条約「イスタンブール条約」を2017年に批准しました。フライブルク市の「女性の権利向上担当課」職員のトマスさんは将来、市が条約のすべての条項を実現し、暴力の根絶を目指す中長期計画を策定するための人員を確保したいと語りました。
(フライブルクで桑野白馬写真も)
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年8月18日付掲載


被害者支援、行政の介入、加害者の救済に焦点を当てた「女性と子ども」「警察と司法」「男性の加害者の更生トレーニング」の三つのグループに分かれ、年1~2回の定期会合を開催。関係機関を網羅する支援網が構築。
張り巡らされた支援網のおかげで、コロナ禍でも「迅速に被害者を支援することができた」
積極的な取り組みですね。

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