ロシア漁業ニュースヘッドライン

北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

2023年 ロシア漁業の大きな変化・出来事  リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

2024-01-09 10:23:13 | 日記

2024年01月09日

リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[2023年 ロシア漁業の大きな変化・出来事]

昨年2023年、ロシア漁業では投資目的漁獲割当第2弾が開始され、水産物輸出に対する輸出関税の設定等も行われた。

これらのロシア漁業における大きな変化、出来事をとりまとめることとする。

①“投資クオータ”第2弾の案件申請受付の完了

ロシア漁業庁長官シェスタコフは、2023年12月8日を期限とした“投資クオータ”第2弾の案件申請受付の暫定的結果を発表した。

ロシア極東海域“投資クオータ”の第2弾ではスケトウダラとニシン等についてTACの20%以内において漁獲割当が配分されることになる。

また、義務付けされるプロジェクトは、加工トロール漁船、冷凍運搬船、中型漁労船の建造と、水産加工場、水産複合施設の建設等となっている。

シェスタコフは、案件申請受付は押し並べて成功と評価されると語り、漁船建造プロジェクト案件について割当枠を超える件数の申請があったことを明らかにした。

“投資クオータ”第2弾は、北部海域も対象とした当該第1弾と異なって極東海域のみで、26件の案件申請があったとされている。

適合件数が許容件数を前後する時、オークションが実施される場合がある。

2024年年明け、これらにかかる特別委員会の審査結果が発表されることになる。

②極東海域カニ漁獲割当オークション第2弾の完了

ロシア極東海域のカニ漁獲割当オークション第2弾が、2023年10月16日から同18日までの3日間実施され、これが完了した。

上場されたのは、当該オークション第1弾の残りTAC50%の内、48%以内、向こう15年間のカニ漁獲割当27ロットとなった。

第2弾のオークションによる落札額(資源利用税収)は2,145億ルーブルとなった。

ロシア漁業庁長官シェスタコフは、得られた落札金は、調査船、救助船の建造、漁業保護管理の物資調達等、産業発展のための需要に使用される予定だと発表した。

一方で、規則に基づき無競争により一部は落札され、そのほかのロットの競争もスタート・プライスに近い金額での落札となった点について、そもそもスタート・プライスは高く設定しており、それは、悪徳な参加者を排除する目的のものだったと語った。

なお、落札者には23隻のロシア国内造船所での漁船建造と大規模複合物流施設3棟、小規模複合物流施設1棟を建設する投資プロジェクトが義務付けされている。

③サケマス定置網漁業投資貢献義務法への大統領署名

ロシア極東地方のほとんどの太平洋サケマス漁場利用の契約が2027年-2028年に更新をむかえる。

これに対応した太平洋サケマスなど遡河性魚種を漁獲する定置網漁場利用にかかる投資等、貢献義務の設定法に大統領プーチンが2023年7月24日付で署名した。

2024年9月1日、サケマス定置網漁業投資貢献義務法が発効する予定となっている。

漁場利用契約において、電子オークションの実施や、地域の社会経済開発への参加に合意すること等を盛り込むもので、含まれる義務のリスト、形式等は、連邦政府によって決定され、これらの条件は遡河性魚種生産管理委員会によって調整されることになる。

また、これらの条件を調整するために、オークションの実施の可能性も盛り込まれている。

④水産物を含めた商品輸出関税の設定

ロシア政府は、2023年9月21日付決定No.1538により、水産物を含めた広範な商品の輸出関税を、ルーブルとドルの為替レートに連動させて設定、同年10月1日からこれを施行することとした。

レートは1ドルあたり95ルーブルを超える時、輸出関税は7%となり、80ルーブル未満の時ゼロとなる。

(報告担当者 原口聖二:ルーブル安で輸出が増加傾向に向かうとき税金を徴収、ルーブル高で輸出が減少に向かう時、輸出促進のため無税に近づけるシステムとなっている。)

一方、EU理事会は2023年11月27日、改定による2024年から2026年の新たな自主関税割当(ATQ)制度から、ロシア産の主要なスケトウダラ等の白身魚を含め水産物製品を除外することを全会一致で決定、2024年1月から、現在のEUの輸入免税はなくなり、13.7%の標準関税が課されることになっており、ロシアのスケトウダラ漁業における高次加工は、益々、すり身生産に傾注、アジア市場を目指すことになると予想される。

⑤“電子操業日誌”の義務化

2023年12月1日からロシア漁業の“電子操業日誌”(Электронный рыболовный журнал:ЭРЖ:エレクトヌイ・ルイボロフヌイ・ジャーナル)の運用が義務化された。

法令に従い、“技術制御装置”(техническими средствами контроля:ТСК:テクニチェスキミー・スレドストヴァミー・コントロリヤ)を備えた漁労船、加工漁船、運搬船には、電子媒体による漁獲記録の管理が求められている。

“技術的管理装置”を備えた船舶が操業を行う場合、電子媒体で通報、これを保管する必要があり、対象となるのは、トン数80トン以上、メイン・エンジン出力55kw以上の漁船で、現在、漁獲量のほぼ全量が当該ソフトウエア・パッケージによって管理されている。

⑥魚卵製品へのデジタル表示の義務化

2023年11月29日付政府命令No.2028によって当該要件規則が承認された。

2024年、サケマスとチョウザメの魚卵製品へのデジタル・ラベル表示が義務化されることになる。

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韓国スルメイカ漁低迷続く / ロシア 2024年1月期 水産物変動輸出関税5.5%  日刊水産経済新聞

2024-01-09 08:28:58 | 日記

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