2024年01月16日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ノルウエー ロシアへの追加制裁措置により米国市場に9万トンの白身魚等の空白ができると予想]
米国は、2022年7月、ロシア産水産物製品の輸入を全面禁止、加えて2023年12月、第3国が加工した製品についても、ロシア原産水産物の輸入を禁止する追加制裁措置を発効させた。
このセクターの専門家は、現時点において既に米国市場で一部魚種が不足していると指摘している。
ノルウエー業界は、これまでの白身魚の国際市場、貿易動向から、第53回ロシア・ノルウエー漁業委員会の合意に基づき、バレンツ海のタラのTACが20%削減されたことを背景に、米国市場に9万トンの白身魚等の空白ができると予想している。
なお、米国によるロシア産水産物輸入禁止措置では、スケトウダラ、サケマス、カニ等と、その加工品も対象となっている。
2024年01月15日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[ポスト英国EU離脱 デンマーク操業機会喪失 漁業分野に12億デンマーク・クローネ支援]
英国EU離脱の影響を受け漁業機会を喪失したデンマークの漁業分野再編のための補償金として約12億デンマーク・クローネ(DKK)が2023年12月31日までに支払われ、3年間にわたる当該事業が完了した。
資金は英国EU離脱の影響緩和のためのEU準備金で賄われた。
デンマークのための準備金は20億DKKで、この内12億7,200万DKKが、漁業分野と地域に配分された。
漁業分野の補償金の大部分となる7億9,100万DKKは、2020年12月31日時点で漁獲割当を有し、英国EU離脱でこれを削減された157隻の漁業者へデンマーク政府漁業当局を通じ支払われた。
同時に減船漁船スクラップ事業が行われ、補助金2億1,500万DKKが28隻の船主に向けられた。
また、英国EU離脱による影響で、加工原料の調達を失った5施設の水産加工業者に1億2,900万DKK、2021年第1四半期の当座の損失補填として13隻の漁業者に1,300万DKK、最低支援金として10隻の漁業者へ100万DKK、地域社会経済への影響実証事業に1,800万DKKが支払われた。
更に、関連事業のITサポートに6,600万DKK、新たな資源管理のための漁業委員会活動に700万DKK等が支払われた。
英国のEU離脱による漁獲割当の譲渡は、2021年から開始されており、2026年6月まで実行される。
譲渡のプロセスは(括弧内は全体に対する比率)次のとおりとなる。
2021年:60%(15.0%) 2022年:70%(17.5%) 2023年:80%(20.0%) 2024年:92%(23.0%)
2025年:100%(25.0%)
非TAC魚種については、2012年から2016年の間に記録された平均漁獲量をベースに、2026年半ばまでに制限されることになっている。