2024年01月28日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア検事総局 極東“漁業事件関連”約30の個人・法人から計3,760億ルーブルの回収求める]
ロシア検事総局は、沿海地方仲裁裁判所に対し、極東海域における水棲生物資源を違法に利用、取引を行った約30の個人・法人から、計3,760億ルーブルを回収するための2件の申し立てを行い、同裁判所がこれを受理、財産の差し押さえ措置を支持した。
被告の中には、極東のカニ王を称されたアレッグ・カン、その盟友で服役中のサハリン州議会議員だったドミトリー・パショフ、そして、極東業界で最もコネクションを利用する人物として知られ、“ダリモレプロドクト“(Дальморепродукт)の実質オーナーで、2010年の刑事事件の後、海外に出たドミトリー・ドレムリュガが含まれている。
また、法人では、“クラブ・マリン”(Краб Марин)、“モネロン”(Монерон)、“クリリスキー・ユニヴァサリヌイ・コンプレクス”(Курильский универсальный комплекс:“КуК”:“クック”)、“メルリオン”(Мерлион)、“プリブレジヌイ・ローフ”(Прибрежный лов)、“クラブDMP”(Краб ДМП)、“アクア・マリン” (Аквамарин)、“セヴ・ルイブ・フロート”(Севрыбфлот)、そして“プリモルスカ・ルイボロフナヤ・カンパニヤ” (Приморская рыболовная компания)などが対象となっている。
ロシア検事総局は、被告が、極東海域における水棲生物資源を違法に利用、取引を行い、組織的に利益を上げるため、ロシア連邦の権利を侵害し、国家の財産に損害を与えたと説明している。
このことで、被告の動産、不動産が差し押さえられるほか、極東の各港湾長が、被告に属する船舶の出港を禁止することになる。
加えて、2018年に被告と連邦漁業庁との間で締結されたカニ等の水棲生物資源の漁獲割当配分合意を無効とすることが求められており、この点において、同庁も今回の申し立ての対象者となっている。
なお、今回の申し立てに関する審理は、2024年2月15日と同28日に予定されている。