家の周りはすっかり緑に覆われて、庭と山の境がわからなくなってきた。
桜以外は、自然に生えた木ばかりなので、手入れは邪魔な枝を切る程度で、あとは伸びるに任せている。
芽吹きが一番遅い栗の木も若葉がそろい、強い香りを放つ花穂を付ける日も近い。
つぼんでいた朴の葉も、大きく開いて緑陰を作っている。
若葉でくるんだ朴葉餅や朴葉ずしは、独特な香りがあり、飛騨の郷土料理として人気がある。
去年の秋に裏山で伐採して、薪用に積んで置いた丸太から、知らぬ間に小枝が出ていた。
山に戻しておけば、幹を栄養にして成長し、やがて地面に根を張ることだろう。
椎茸の菌を打って、寝かせておいたほだ木からも、小枝が出ていた。
十分乾燥したつもりだったが、冬は雪が多く、春も雨の日が多かったので、芽吹くほどの水分や養分が残っていたのだろう。
ほだ木は、これ以上小枝に養分を取られたら、きのこの発生に支障をきたすので、枝は取り払った。
薪用の木は、枝が付いたまま森に戻すことにした。
今は生命が躍動する時期で、小枝を切って地面に挿して置けば根付くし、切り株からは小さな芽がたくさん出ている。
森は常に世代交代しながら、命が引き継がれていくようだ。
「飛騨の山里暮らし」6月号をUPしたのでご覧ください。