今日も気持ちの良い五月晴れで、田畑の仕事がはかどった。
野良仕事をしていると、山ではウグイスやホトトギスがさえずり、田ではカエルの合唱が聞こえてくる。
暑くもなく寒くもない陽気で、木陰で休んでいると、思わず睡魔に誘われる。
田植えの終わった田んぼのあちこちで、苗の補植が行われている。
これは、苗が抜けたり、植え残したところを見つけて植え直すことである。
田んぼの泥は粘り気があって歩き難いうえに、腰を屈めてする作業は結構大変だ。
山里の田は狭いので、効率よく収穫を上げるために欠かせない作業になっている。
集落のほうれん草の収穫が本格的に始まった。
もともとは冬の野菜なので、温暖地の栽培は終期を迎えるが、高冷地のほうれん草はこれからが本番である。
高台の一角を造成した農業団地には、栽培用のハウスがたくさん並んでいる。
北アルプスと白山の間にある飛騨高地は、冷涼な気象ときれいな水、澄んだ空気がおいしいほうれん草を作ると評価され、夏取りほうれん草の一大産地になっている。
ハウスは種蒔きが終わった棟、葉が出始めた棟などが順番に並んでいる。
収穫が終われば次の種を蒔き、10月いっぱい栽培が続くので、農家にとっては寝る間がないほど忙しくなる。
夏でも瑞々しく、しっかりした歯応えの「飛騨ほうれん草」は、トマトとともに、自慢の特産品となっている。