「飛騨民家のお手入れお助け隊」の活動に参加して、築90年ほどの古民家の手入れをしてきた。
この活動は飛騨に移住してきた若い人たちが、古民家が手入れされないままに傷んでいく姿を見て、1軒でも多く残したいという思いからスタートしたプロジェクトである。
かつての飛騨は、農業以外に養蚕や炭焼きが盛んで、大家族が一つ屋根の下で寄り添って暮らしていた。
多くの家は2階で蚕を飼い、同じ棟に農耕用の牛馬も飼っていた。
生活様式の変化に伴い、豪壮な庄屋造りの農家も、若い人たちには馴染めず、老夫婦だけで辛くも維持されている家をよく見かける。
今日訪れたのは、高山市国府町の民家で、内部を中心に玄関周りの手入れと掃除をしてきた。
柱や天井、梁、板壁、玄関框、建具などを雑巾がけや乾拭きをした後、荏の油をすり込み糠袋で磨いて仕上げていく。
柱や建具など全てむく材なので、自然素材とのなじみがよく、仕上がった後は、しっとりとした光沢で見違えるようにきれいになった。
86歳の当主は涙を流さんばかりの大喜びで、ぴかぴかになった大黒柱を撫でておられた。
飛騨に昔から住んでいる人たちは、周りの自然や昔ながらの生活文化の価値を、あまりにも身近かすぎて見失いがちの人も多い。
都会や海外で暮らしてきた人たちが、飛騨の田舎にほれ込み、広く世界に伝えていく活動を、飛騨ファンの一人として心強く感じた。
今日のプロジェクトを主催した、「美ら地球」の発展を心から願いたい。