昨日のニュースで、乗鞍岳の「鶴が池」に初氷が張ったと伝えていた。
そんなニュースを聞いて、急に肌寒くなり、座卓を片付けて炬燵を出した。
田んぼの稲も黄金色に波を打ち、大きく頭をたれている。
実を太らせるのに、もう少し晴天が続いて欲しいところだが、今朝は小雨が降って少し寒かった。
この冷え込みで、元気に飛び回っていた赤とんぼやイナゴも少なくなり、一頃の元気は無い。
天井裏のスズメバチだけは、相変わらず羽音を立てて飛び回り、餌集めに励んでいる。
その中で、働き蜂が幼虫を巣から引き出して外へ捨てるようになり、犬小屋の屋根やたたきには幼虫がたくさん落ちている。
信州の人たちは蜂の子を目の色を変えて探すが、飛騨では蜂の子を食べる習慣が無いので、誰も見向きもしない。
今頃の時期に、よく見かける光景であるが、せっかく生まれた子供をなぜ捨てるのか不思議でならない。
秋が深まり餌が少なくなると、弱い幼虫を巣から引き抜いて外へ捨てたり、肉団子にして強い幼虫に与えるといわれている。
こうして運良く育った働き蜂も、交尾を終わった女王蜂1匹を残して、すべて冬を前に死に絶えてしまう。
地面に落ちた幼虫は、下で待ち構えている蟻に瞬く間に食い尽くされる。
身をよじって蟻の餌になる幼虫も気の毒だが、働き通しで生涯を終える成虫も哀れだ。
山里では、華やかな稔りの秋の陰で、ものの哀れも垣間見る。