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武器は「フリーになること」(トミスラフ・マリッチ)

2006-10-12 21:55:37 | 浦和レッズ
いなくなった選手のことを今更と思う方もいるでしょうが、今日は天皇杯優勝に大いに貢献してくれたトミスラフ・マリッチの話をします。マリッチは、昨年7月に浦和に来るまでは、ブンデスリーガの1部と2部を行ったり来たりする選手でした。2部の得点王になって、晴れて1部のチームに移籍しましたが、そこでは目立った結果は残せませんでした。

前の年に1部でノーゴールだったマリッチは、ブッフバルト監督の話によれば移籍金はただだったそうです。マリッチの良さは、初めて見たマンチェスターU戦である程度わかりました。運動量の多い、真面目なFWということでした。

ただ、守備をしようと気負うあまり、勢い余ってファウルをしてしまう、以前在籍したトゥットのようなFWだと思いました。マリッチは、だんだん試合を重ねてくると、欠点もいくつか見えてきました。まずはドリブルでこじ開けるタイプのFWではなく、味方のパスに反応するタイプのFWだということです。これではポンテがいないと機能しないだろうと思いました。

また、もう一つの欠点は、相手DFにマークに付かれている状況では、ヘディングでまったく勝てないことです。GK都築からのロングボールからチャンスを作りたくても、マリッチがヘディングで勝てないため、その役割は山田のものになりました。このヘディングの弱さは、点を取るためには致命的と思われました。

しかし、マリッチはJリーグに慣れてくると、次第にその技術を見せてくれるようになりました。その技術とは「いつの間にかフリーになっている」ことです。フリーになりさえすれば、右足でも頭でもゴールを狙える実力はありました。ただ、ボールを中心にサッカーを見る我々サポーターにとっては、なぜフリーになれるのだろうかと不思議に思うばかりでした。

そんな疑問を少しだけ解きほぐしてくれたのは、天皇杯準決勝大宮戦のスローVTRでした。マリッチは、一度後ろへ走り、相手DFの動きの逆を突いて前に走り直し、ヘディングシュートを決めたのです。おそらく、研究されても通用するほど、たくさんの動き方のバリエーションがあったのでしょう。

ただ、フリーになってもいいパスをもらえないチームでは活躍できないことも確かで、浦和との契約が切れるとJリーグでのプレーを断念し、ドイツの3部リーグに移籍しました。もったいないと最初は思いましたが、今ではその決断もわかるような気がします。日本の思い出は美しいままにしたかったのでしょう。
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