前回 では、
300mm、400mm望遠レンズの対策実施後の”星の流れ”について検証しました。
今回は、現在わたしの天体撮影の主力機材である VixenR200SS反射鏡筒について検証をおこないます。
■R200SS反射鏡筒(f=800mm)■
(対策実施 前 )
2010/08/17 撮影 「ペリカン星雲 (はくちょう座)」 (Dec +44°)
R200SS(f=800mm) EM-200USD赤道儀 kissDX ガイドスコープ:EFZoom(f=200mm) +エクステンダ(x2.0) スマートガイダー
△Ra=-60.6pixel/H (1時間当たり 60.6画素進み)
△Dec=+17.3pixel/H (星像 S ⇒ N) ・・・・極軸設定ミス?
(対策実施 後 )
2012/11/16 撮影 「NGC281(カシオペア座)」 (Dec +57°)
R200SS(f=800mm) EM-200USD赤道儀 kissDX GS-60Sガイドスコープ PHD ガイディング
△Ra=- 7.2pixel/H (1時間当たり 7.2画素進み)
△Dec=0.6pixel/H (星像 N ⇒ S)
他のR200SS単体(f=800mm)での撮影データは (画像およびグラフは省略)
●2012/06/26 撮影 「M3 球状星団(りょうけん座)」 (Dec +28°) kissDX
△Ra= 7.7pixel/H (1時間当たり 7.7画素進み)
△Dec= 0.0pixel/H (星像 ⇒ )
●2012/06/27 撮影 「M8 干潟星雲(いて座)」 (Dec -24°) kissDX
△Ra= 9.3pixel/H (1時間当たり 9.3画素進み)
△Dec= 2.0pixel/H (星像 N ⇒ S )
●2012/10/13 撮影 「プレアデス星団(おうし座)」 (Dec +24°) kissDX
△Ra= 11.7pixel/H (1時間当たり11.7画素進み)
△Dec= 0.7pixel/H (星像 S ⇒ N )
2012/04/28 撮影 「マルカリアンチェーン(おとめ座)」 (Dec +13°)
R200SS+1.4X(f=1120mm) EM-200USD赤道儀 kissDX GS-60Sガイドスコープ PHD ガイディング
△Ra=-20.8pixel/H (1時間当たり 20.8画素進み)
△Dec= 2.0pixel/H (星像 N ⇒ S)
他のR200SS+Canon1.4X(f=1,120mm)での撮影データは (画像およびグラフは省略)
●2012/08/20 撮影 「M27 あれい状星雲(こぎつね座)」 (Dec +23°) Cooled60D
△Ra= 14.4pixel/H (1時間当たり 14.4画素進み)
△Dec= 4.0pixel/H (星像 N ⇒ S )
●2012/08/21 撮影 「NGC7331 & ステファンの五つ子(いて座)」 (Dec +34°) Cooled60D
△Ra= 13.7pixel/H (1時間当たり 13.7画素進み)
△Dec= 3.7pixel/H (星像 N ⇒ S )
2013/01/31 撮影 「M1 かに星雲(おうし座)」 (Dec +22°)
R200SS+EXT(f=1500mm) EM-200USD赤道儀 kissDX GS-60Sガイドスコープ PHD ガイディング
△Ra=-24.5pixel/H (1時間当たり 24.5画素進み)
△Dec= 2.5pixel/H (星像 N ⇒ S)
他のR200SS+EXT(f=1,500mm)での撮影データは (画像およびグラフは省略)
●2012/06/28 撮影 「M13 球状星団(ヘルクレス座)」 (Dec +36°) kissDX
△Ra= 24.3pixel/H (1時間当たり 24.3画素進み)
△Dec= 11.5pixel/H (星像 N ⇒ S )
[ 検証結果 ]
すばらしい改善結果の数値
(1). 鏡筒バンドアリガタの圧着部が点から面に改善されたことにより、”星の流れ”を抑制できたのでは?
R200SS本体のみなら、10分露光でも2ピクセル以内という数値はすばらしい。
(2). 星雲・銀河の撮影で実質最長焦点距離といえる1500mmでも、4ピクセル程度に抑えられれば実用可能。
(3). 赤緯(Dec)の流れは、EM-200の極軸望遠鏡の精度でほとんど無視できるレベルである。
まだ星は流れてるけど、止めなくていいの ・・・?
完全には止められないし、止める気もありません。
むしろ、許容範囲内で流れてくれればいいと考えています。(負け惜しみではありません。)
ガイドシステムが完璧な人の中には、故意に1枚ずつズラして撮影している人もいます。
(理由は?)
デジカメの受光素子は感度のバラツキがあり、通常コンポジットにより平均化しているが、各フレーム画像がいつも同じ位置だと、コンポジット後もその影響が出てしまうため。(この説明であっているのかな?)
では、許容範囲内とは、どのくらい?
許容範囲内とは、簡単に言えば『星が流れているように見えない』程度の流れまで。
わたしの場合はもう少し”ゆるく”、『簡単な画像処理で、星が流れているように見えない』程度の流れまで。
本来、星の見かけの大きさは限りなく点に近いのですが、シンチレーションや収差などから円の形で像を結びます。
”流れている”ように見えるのは、星像が丸い円では無く、長円(楕円)から更に線状に引き伸ばされるからです。
一般的に撮影する光学系の焦点距離が長くなると、星像も大きくなります。
下の画像は、わたしの持っている機材で撮影した星像のクローアップです。(すべてCooled60Dで撮影)
左から NFD300mm,NFD400mm,R200SS(f=800mm),R200SS+1.4X(f=1120mm),R200SS+EXT(f=1500mm)
写っている微光星の直径(ピクセル数)は左から、約 3ピクセル、5ピクセル、6ピクセル、8ピクセル、10ピクセル
ここまでの話で、流れの許容範囲(ピクセル数)は撮影する光学系でちがってくることがわかります。
たとえば、星像の半径くらいの流れなら画像処理で修復できるとすると、(星像に芯があれば許容範囲はそのくらい?)
許容範囲は 以下のようになります。 ( )内は露光時間10分での現在のガイド精度
NFD300mm 1.5pixel (6pixel/10分)
NFD400mm 2.5pixel (4pixel/10分)
R200SS(f=800mm) 3pixel (1.5pixel/10分)
R200SS+1.4X(f=1120mm) 4pixel (3pixel/10分)
R200SS+EXT(f=1500mm) 5pixel (4pixel/10分)
対策を実施した結果、R200SS鏡筒でのガイド精度は許容範囲をクリアしています。
ただしNFD300mmは対策の練り直し、NFD400mmはあと一歩といったところです。
その後の関連記事はこちら→
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結局、「それでも星は流れる・・・」は7回のシリーズに
なってしまいました。
ブログ記事作成に多大な時間を使ってしまいましたが、
今読み直してみると、『あたりまえじゃん!』なんてことしか
書いてないような気がして・・・
ブログってもっと気楽に書いていいんですよね?
雲上(くもがみ)
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300mm、400mm望遠レンズの対策実施後の”星の流れ”について検証しました。
今回は、現在わたしの天体撮影の主力機材である VixenR200SS反射鏡筒について検証をおこないます。
■R200SS反射鏡筒(f=800mm)■
(対策実施 前 )
2010/08/17 撮影 「ペリカン星雲 (はくちょう座)」 (Dec +44°)
R200SS(f=800mm) EM-200USD赤道儀 kissDX ガイドスコープ:EFZoom(f=200mm) +エクステンダ(x2.0) スマートガイダー
△Ra=-60.6pixel/H (1時間当たり 60.6画素進み)
△Dec=+17.3pixel/H (星像 S ⇒ N) ・・・・極軸設定ミス?
(対策実施 後 )
2012/11/16 撮影 「NGC281(カシオペア座)」 (Dec +57°)
R200SS(f=800mm) EM-200USD赤道儀 kissDX GS-60Sガイドスコープ PHD ガイディング
△Ra=- 7.2pixel/H (1時間当たり 7.2画素進み)
△Dec=0.6pixel/H (星像 N ⇒ S)
他のR200SS単体(f=800mm)での撮影データは (画像およびグラフは省略)
●2012/06/26 撮影 「M3 球状星団(りょうけん座)」 (Dec +28°) kissDX
△Ra= 7.7pixel/H (1時間当たり 7.7画素進み)
△Dec= 0.0pixel/H (星像 ⇒ )
●2012/06/27 撮影 「M8 干潟星雲(いて座)」 (Dec -24°) kissDX
△Ra= 9.3pixel/H (1時間当たり 9.3画素進み)
△Dec= 2.0pixel/H (星像 N ⇒ S )
●2012/10/13 撮影 「プレアデス星団(おうし座)」 (Dec +24°) kissDX
△Ra= 11.7pixel/H (1時間当たり11.7画素進み)
△Dec= 0.7pixel/H (星像 S ⇒ N )
2012/04/28 撮影 「マルカリアンチェーン(おとめ座)」 (Dec +13°)
R200SS+1.4X(f=1120mm) EM-200USD赤道儀 kissDX GS-60Sガイドスコープ PHD ガイディング
△Ra=-20.8pixel/H (1時間当たり 20.8画素進み)
△Dec= 2.0pixel/H (星像 N ⇒ S)
他のR200SS+Canon1.4X(f=1,120mm)での撮影データは (画像およびグラフは省略)
●2012/08/20 撮影 「M27 あれい状星雲(こぎつね座)」 (Dec +23°) Cooled60D
△Ra= 14.4pixel/H (1時間当たり 14.4画素進み)
△Dec= 4.0pixel/H (星像 N ⇒ S )
●2012/08/21 撮影 「NGC7331 & ステファンの五つ子(いて座)」 (Dec +34°) Cooled60D
△Ra= 13.7pixel/H (1時間当たり 13.7画素進み)
△Dec= 3.7pixel/H (星像 N ⇒ S )
2013/01/31 撮影 「M1 かに星雲(おうし座)」 (Dec +22°)
R200SS+EXT(f=1500mm) EM-200USD赤道儀 kissDX GS-60Sガイドスコープ PHD ガイディング
△Ra=-24.5pixel/H (1時間当たり 24.5画素進み)
△Dec= 2.5pixel/H (星像 N ⇒ S)
他のR200SS+EXT(f=1,500mm)での撮影データは (画像およびグラフは省略)
●2012/06/28 撮影 「M13 球状星団(ヘルクレス座)」 (Dec +36°) kissDX
△Ra= 24.3pixel/H (1時間当たり 24.3画素進み)
△Dec= 11.5pixel/H (星像 N ⇒ S )
[ 検証結果 ]
すばらしい改善結果の数値
(1). 鏡筒バンドアリガタの圧着部が点から面に改善されたことにより、”星の流れ”を抑制できたのでは?
R200SS本体のみなら、10分露光でも2ピクセル以内という数値はすばらしい。
(2). 星雲・銀河の撮影で実質最長焦点距離といえる1500mmでも、4ピクセル程度に抑えられれば実用可能。
(3). 赤緯(Dec)の流れは、EM-200の極軸望遠鏡の精度でほとんど無視できるレベルである。
まだ星は流れてるけど、止めなくていいの ・・・?
完全には止められないし、止める気もありません。
むしろ、許容範囲内で流れてくれればいいと考えています。(負け惜しみではありません。)
ガイドシステムが完璧な人の中には、故意に1枚ずつズラして撮影している人もいます。
(理由は?)
デジカメの受光素子は感度のバラツキがあり、通常コンポジットにより平均化しているが、各フレーム画像がいつも同じ位置だと、コンポジット後もその影響が出てしまうため。(この説明であっているのかな?)
では、許容範囲内とは、どのくらい?
許容範囲内とは、簡単に言えば『星が流れているように見えない』程度の流れまで。
わたしの場合はもう少し”ゆるく”、『簡単な画像処理で、星が流れているように見えない』程度の流れまで。
本来、星の見かけの大きさは限りなく点に近いのですが、シンチレーションや収差などから円の形で像を結びます。
”流れている”ように見えるのは、星像が丸い円では無く、長円(楕円)から更に線状に引き伸ばされるからです。
一般的に撮影する光学系の焦点距離が長くなると、星像も大きくなります。
下の画像は、わたしの持っている機材で撮影した星像のクローアップです。(すべてCooled60Dで撮影)
左から NFD300mm,NFD400mm,R200SS(f=800mm),R200SS+1.4X(f=1120mm),R200SS+EXT(f=1500mm)
写っている微光星の直径(ピクセル数)は左から、約 3ピクセル、5ピクセル、6ピクセル、8ピクセル、10ピクセル
ここまでの話で、流れの許容範囲(ピクセル数)は撮影する光学系でちがってくることがわかります。
たとえば、星像の半径くらいの流れなら画像処理で修復できるとすると、(星像に芯があれば許容範囲はそのくらい?)
許容範囲は 以下のようになります。 ( )内は露光時間10分での現在のガイド精度
NFD300mm 1.5pixel (6pixel/10分)
NFD400mm 2.5pixel (4pixel/10分)
R200SS(f=800mm) 3pixel (1.5pixel/10分)
R200SS+1.4X(f=1120mm) 4pixel (3pixel/10分)
R200SS+EXT(f=1500mm) 5pixel (4pixel/10分)
対策を実施した結果、R200SS鏡筒でのガイド精度は許容範囲をクリアしています。
ただしNFD300mmは対策の練り直し、NFD400mmはあと一歩といったところです。
その後の関連記事はこちら→
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結局、「それでも星は流れる・・・」は7回のシリーズに
なってしまいました。
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今読み直してみると、『あたりまえじゃん!』なんてことしか
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