雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

がんばれ !! アストロアーツ(星空でのステラショット3検証撮影結果報告)

2024年03月31日 | 画像処理のはなし
まず冒頭にステラショット3ZWO社のCMOSカメラに関わるこの問題について
これまでは”オフセットに関わる不具合”との記述をしてきましたが、
先日の実際の星空で検証した結果、
オフセットに関係なく
すべての画像が青みがかってFITSファイルで出力されるという事がわかりました。
オフセットが高いと問題が発生するのではなく、
画像が明るくなることにより青みがより目立つだけだったのです。

よって、今後この問題は
「ステラショットによる撮影で、 ZWO社CMOSカメラでカラーバランスが崩れる問題」
と言い換えることにします。
長すぎる ので、
ステラショットによる、 ZWO社CMOSカメラ不具合問題
という事で。

そんなことはいいから、”早く検証結果を報告しろ!という声が届きましたので本題に入ります。

検証撮影のための機材設置が完了(3/27)
共通DATA:NFD400㎜ F2.8(手製絞りでF4) 露光時間 240秒 LPS-D1フイルタ-  ASI533MC Pro(冷却-10℃)

撮影対象:おおぐま座 M81・M82銀河コンビ Gain・Offsetを変えて1枚づつ撮影
 
検証は ステラショット3Offset 6段階(0,1,10,20,40,70)  Gain 4段階 (0,100,200,400)
更にZWO社が無償で提供している撮像アプリのASIStudioで、デフォルトのOffset 70で Gain 4段階 ( 上記と同じ )・・・
計28通りの撮影を行いました。
加えて翌日昼間には、室内にて同じ枚数のダーク画像を撮影しています。

その中から、今回使用したASI533MC ProカメラメーカーであるZWO提供のASIStudio
ステラショット3での撮影画像を比較してみました。

OffsetASIStudioで設定されるデフォルト値70GainASI 533MC Proのユニティーゲインである100の画像で比較

比較した結果
ステラショット3撮影画像はダーク減算する前から、青が抜きんでて高いヒストグラムとなっている!
ステラショット3ダーク画像では、あろうことか ノイズまで青く色づけされている!・・・・・・・・・・・・・・・
ステラショット3で上記の撮影画像・ダーク画像を使ってダーク減算を行っても、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
青が強い画像の傾向は残っている。(青が強い異常なダーク画像で減算することで多少は緩和される)・・・・・・・・・・・・・

ここでASIStudioでの撮影画像で、赤Rと緑Gのヒストグラムの開きを見て気がつきました。
前回彗星撮影を行ったときに、レンズアダプター部に光害対策のLPS-D1 フィルターを装着していたことに。

フラット撮影については青みがかることはわかっていたので 検証撮影は中止していたのですが、
LPS-D1フィルターを外した状態でのデータがどうしても見たくなって、
昨夜 仏間にておなじみの室内照明と障子紙を使ったフラット画像を撮影しました。
只今フラット撮影中
以下が結局 撮影する事になったフラット画像の比較です。
こちらも、Offset はASIStudioで設定されたデフォルト値70、GainはASI 533MC Proのユニティーゲインである100の、ダーク減算なしの画像で比較
左側が ASI Studio、右側が ステラショット3
残念ながらこれまでもフラット作成に使っていたLEDの室内照明は、
”白”Maxに設定しても緑がかっていたことがわかり、ちょっとショック。

ブログでお見せできるのは検証内容の一部になるのですが、もう一つ
オフセット値が大きいと起きる現象なのか?、について
残念ながら最新のASIStudioではユーザーによるオフセット設定が不可となっているため、
ステラショット3だけを使ってユニティーゲイン 100でオフセット値を6段階に変えたもので検証してみました。
比較した画像はダーク減算なしの撮影画像です。
ステラショット3だけの撮影画像を並べると、まるで薄明時の空で撮ったようです。

検証した結果
● オフセット値が大きくなることで青みがかるのではなく、ただ青みが明るくなっているだけ
ということが確認できました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以上、今回の検証結果から、ステラショット3を使ってZWO社のCMOSカメラで撮像すると
オフセット値の大小にかかわらず、
すべて青みがかったFITS画像として出力されてしまうことが確認できました。

そうなる原因は明確です。
フリーを含めた海外の著名(ちょめい)な天体撮像ソフトでは、
ZWO社のCMOSカメラの仕様から生じるこの事象については、 かなり前から対処済であり、
そのことが 逆に
ZWO社が今さら不都合なこの仕様の変更ができない 理由となっているのではないかと推測します。

ステラショット開発元であるアストロアーツのこの問題への対応を見ていると
正直に言って 海外のCMOSカメラに関する見識がまだ薄く、不得手(?)なようにも感じられます。
問題の事象について、アストロアーツの回答では
ZWOの仕様が原因なので、了承してもらうしかない
 ですが、
天体アプリの関連業界(フリーソフトも含めて)では
そんな事は知ってるよ、だから対策済だよ。
となるのでは・・

これまで日本の天体写真の発展に大きく貢献してきたアストロアーツのプライドにかけて
早期のアップデータの配布を 要望します!


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思い起こせば、退職後から本格的に始めた天体写真の世界。
ちょうどデジタルカメラの登場時期と重なり、
いつもアストロアーツの天体写真アプリと共にありました。
ステライメージのアップデートで今回のように不具合情報を上げたことも何度か。
あれから12年、デジタルカメラからCMOSの時代に。
私ですら昨年からCMOSカメラでの撮影を始めました。
アストロアーツが今後も日本の天体写真の分野をリードしていけるよう
CMOSカメラにも挑む決意と、奮起を求めます。

4月から「星のふるさと館」で今年一年間 私の写真展示をさせてもらうことになりました。
本来なら今回の問題は「アストロアーツさん頼んだよ。」で、
展示準備に集中したいところですが、
この問題に対するアストロアーツさんの対応がそれをさせてくれません。
他のステラショットユーザーの皆さんも、
アストロアーツへの叱咤激励と早期のアップデータの配布要望を上げましょう。


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いつもポチッとありがとうございます。

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コメント (4)    この記事についてブログを書く
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
この先はメールで。 (雲上(くもがみ))
2024-04-04 09:53:21
M&M様 再びのコメントありがとうございます。
先ほどM&Mさんの記事を興味深く見せていただいて、
そちらの記事の方にボリュームのあるコメントを投稿させていただきました。
「雲上が怒った理由が分かる出来事」
こちらも興味ありますので、コメントでお知らせしたメールの方にこっそり教えてください。
返信する
ありがとうございます。私も同じ症状です。 (M&M)
2024-04-04 01:18:08
表層で見える結果的な症状は同じですが、私の状況と解析は少し違って、触発されて私も記事にしてみました。

http://morio.way-nifty.com/blog/2024/04/post-62aa0d.html

ご参考になれば幸いです。

私の場合、そもそもカラーバランスが崩れるのは結果であり、カラー化前から、高輝度の諧調が飛んで(あるいは切れて)しまっているので、諧調がない、色が合わせられなくなる、とみています。

もちろん、雲上様の分析を否定するものではなく、
そもそも販売元にてしっかり原因究明しないとユーザーどうしでこのようなディスカッションが生じてしまうのだと思います。

なぜ雲上様がここまでお怒りなのかわからなかったですが、今日、それが分かる出来事がありました。
返信する
こちらこそありがとうございます。 (雲上(くもがみ))
2024-04-03 14:36:32
M&Mさん、コメント第1号とてもうれしいです。
アストロアーツが重い腰を上げてくれるようになるには、
多くのユーザーが声を上げることが一番です。
今日もこのあと関連記事を掲載する予定ですが、その助けに少しでもなればと思っています。
返信する
ありがとうございます。私も同じ症状です。 (M&M)
2024-04-02 22:13:13
情報の記事化と、検証ありがとうございます。私も2400MCで同じ症状にて、サポートに2月初めに連絡させていただきました。しかしまだ原因不明のまま、連絡はいただけてません。(再現できたらそのときのSSの動作をログソフトに取って提供することを依頼されている状態)課金したのに結局塩漬けです。SS2のときからCMOS対応とウリにするには、不十分な製品状態が続いていますね。仰る通り対処を強く求めたいです。
返信する

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