my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

読書は愉し

2011-03-01 17:03:03 | 好きな本

だいぶ前に、ことり文庫さんのブログに「末盛さんにおすすめしてもらった本」
として載っていて‥気になってメモしていたのですが、1年越しで、
やっと読むことができました。

やんごとなき読者

   アラン・ベネット 作   市川恵里 訳


急に思い出して、図書館に予約したのは、アカデミー賞のせいなんです。

「英国王のスピーチ」という映画が作品賞をはじめ、いろいろ話題に
なっていましたよね。新聞の批評欄にも出ていて、その中に、
イギリス人は、王室のことを映画などの作品に仕立て上げるのが
とてもうまいと書いてあるものがあったのです。
そういえば、なんか女王さまが出てくる本で気になったのがあったはず
と、突然、この本のことを思い出しました。

そんなに長くないということもありますが、読み始めたらおもしろくて
1日半で読み終わりました。最近の早読み記録です・笑。


女王さまとは、本文中に明記してあるわけではないのですが
エリザベス二世のことだと、わかります。


出だしがとてもよいです。

ある日、飼い犬がいつになくはしゃいで、宮殿の、いつもは行かないような
場所へ走って行ったので、それを追いかけた女王さま。
移動図書館の車を見つけ、騒音のお詫びを言うために、車のステップを上がりました。

そして、でもここに来たからには一冊借りないとだめね と本をすすめて
貰うことにしたのです。(昔から読書にはあまり興味がなかったにもかかわらず
礼儀上、おすすめものはあるかしら?と尋ねるところはさすがだなと思いました)


女王は読書を「趣味の範疇」と考えていましたが、そもそも趣味を持つこと自体
女王の仕事の性質上、ふさわさしくないと思っていました。なぜなら、

趣味とは特定のものを好むことにつながるが、えこひいきは避けなければ
ならない。えこひいきは人々を排除することになる。女王は好みというものを
もたなかった。
   


そんな女王さまが、60歳もとうに過ぎてから、読書の愉しさに目覚めます。
その様子は、本好き、読書好きの人ならだれでも、うんうんそうそう、と
身に覚えがあり、とても身近に女王さまを感じることでしょう。

そして、この本の楽しさは、女王が見つけたその愉しみが、首相をはじめとする
官僚や臣民にはとても迷惑であり、彼らが手を尽くして、女王さまと読書を
引き離そうとするくだりです。

けれど、読書の愉しさを知ってしまった人はもう後戻りはできません。

読書によって、自己の内面まで変わってきたことに気がついた女王さまが
辿り着いた「ある決断」で、物語はおわりです。



読書も、スポーツのように、段階を追って、「読書上手」になっていくのだと
いうことを、あらためて知らされました。
1冊の本から、次々に新しい扉が開いていったり、最初はつまらなく感じた本も
「体力」がついてから挑戦してみると、びっくりするほどおもしろかったり。
さらには、経験を積むと、自分の感想や解釈を加えることができるようになり、
新たな道を自分で切り開いていきたくなったり。

きっと、読書に限らず、絵も、たとえば楽器の習得とかも、同じ道筋なの
だろうなあと思います。

この先、読んだり書いたりすること以上に、自分がのめり込めることに
出会うかどうかはわからないけど、愉しみは、いろんなところに潜んでいる
のだということは、感じています。


コメント (2)
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2010年4月~2011年3月

2011-03-01 16:16:28 | 読み聞かせ記録

 6月25日  2年   『ひみつのひきだしあけた?』
               『じめんのうえとじめんのした』

 
 9月17日  5年   『アボカドベイビー』


10月22日  3年   『こかげにごろり』
               『あきいろのホネホネさん』


10月29日  4年   『いつもちこくのおとこのこ』


11月19日  5年   『あいつはトラだ!』


11月26日  6年   『あいつはトラだ!』


12月17日  1年   『しんせつなともだち』
               『クリスマスのてんし』
               『ぐりとぐらの1ねんかん』

 
 2月25日  4年   『のぞく』

 
 3月18日  2年   『ぐりとぐらのおおそうじ』
               『にているね!?』

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