ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「はじまりのみち」、木下恵介監督の伝記映画です

2013-06-13 19:47:16 | 日本映画
おススメ度 ☆☆☆
    木下恵介ファン、昔の映画ファン ☆☆☆☆

改めて木下恵介の偉大さを実感させてくれる。

後半は、木下映画のダイジェスト版で、話題の映画が短いが上映されます。これだけでも、木下ファンは大満足でしょう。

冒頭、海岸に張られた白い布、これ実はスクリーン。戦後すぐはこのような形で上映されたものだ。

そこに上映されるのは、木下のデビュー作「花咲く港」。山中貞夫賞を受賞、同時期にデビューした黒沢明と並び期待されたものだ。31歳、今思えば若い。

2作目の「陸軍」国策映画のはずが。ラストで母親が息子の行進を追っかけて涙ぐむシーンがあるとのことで、検閲に引っかかり、次が撮れなくなったと撮影所長から説明が、だが、若い木下はやめるといって浜松に引っ込んでしまう。

で、映画は、浜松も空襲がひどくなり、父たちのいる山奥へ疎開することに。ただ、母は病に伏せているので、リヤカーで行くと木下は言い張り、そこから二泊三日のリヤカーの旅に。

まあ、ロードムービーだが、あまりその手の楽しさはない。というのも、病人をリヤカーで運ぶ、それも坂道を、大変な仕事だ。

途中宿屋から川辺に出て休憩しているときに、同行した便利屋に「陸軍」は良かった、特にラストがよかったと聞いて涙する木下。

このとき、木下作品である「陸軍」のラストシーンがそのまま上映される。

ここで、改めて、木下の才能に触れることになるが、名優田中絹枝の抜群の演技で、母と子の愛情、それは、戦争をしてはいけないという痛烈なメッセージを与えてくれる。

最後、母の励ましもあって、映画界に復帰する木下だが、母子のキヅナがここでもテーマに。

「はじまりのみち」の演出は、アニメ界で活躍する原恵一。初めての劇映画で戸惑ったらしい。

所々に、木下へのオマージュのような場面が挿入されている。

でも、この映画は、木下恵介の演出に負うところが大きい。



コメント (2)
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