ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「嘆きのピエタ」、無慈悲な借金取り立て屋の母子物語です。

2013-07-02 17:34:20 | 韓国映画
おススメ度 ☆☆☆☆

二日続けて、映画祭受賞作品を見るが、なぜにこれほど、心に残るのか。それは作者の力量なのか?

第69回ベネチア国際映画祭で金獅子賞、キムギドクは前作「アリラン」で、映画作りへの行き詰まりを自らを描くことで表現していたが、そのスランプを超えて、見事に復帰した。

決して楽しい映画ではない、なにしろ、人間の根源である母の存在を描いてギリギリとくるからだ。お涙ちょうだいではない。出るとしたらあふれ出る涙だ。人間の根源に触れるからだ。

それにしても、痛い映画。なにしろ、借金のかたに傷害者にして保険を取ろうとするのが仕事。現場は、ソウルの清渓川(チョンゲチョン)、ここは、町工場がひしめく現場、だが、再開発でいずれはつぶれてしまう。ここで育ったギドクの哀歌だ。

冒頭、車いすに乗った青年が、クレーンに首を巻き自らスイッチを入れる。

この映画では、直接的な行為の場面はない。あるのはにじみ出る血液とか、引きずった血の跡とか。

借金で、すぐに10倍になる利息。その返済は、傷害保険。その実行者は、30年間孤独に生きてきた若者。

その若者のもとに突然母と名乗る女性が現れる。そして許しを乞う。

はじめは相手にしない男も徐々に、見るものは、ギドグマジックにひっかかる。

2人は、恋人気分にすらなる。

それが後半、立場の逆転が。

後半の母子の愛憎劇が鮮烈。前半に登場した債権者が再び現れて、その後がきっちり描かれる。そして復讐劇が。

ギドクの母への鎮魂歌か?

コメント (1)
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