ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「もう一人の息子」、昨年東京国際映画祭グランプリの作品です

2013-11-09 17:16:53 | フランス映画
おススメ度 ☆☆☆☆

「そして父になる」と前後して上映される本作も、赤ん坊取り違え事件だ。

現実にもあったそうだが、激動の時代に生まれた二人は、それこそ、憎み合う相手の国の人間だったとは。皮肉この上ない。

イスラエル、テルアビブ、軍に志願して兵役検査で、血液型が調べられるが、そのことから両親との違いを疑った母親が、DNA検査までして確かめた。あろうことか取り違えの相手は、壁を隔てたパレスチナ人。運命の宿敵だ。

2人の子供は18歳。この点で「そして父になる」とは異なり、子供たちの悩みも大きい。

ユダヤ系フランス人の女性監督が演出したのが、この映画の成功の一因だろう。国際問題である二つの国を取り上げる勇気、下手をすれば両国から総すかんを食いそうなテーマだからだ。

でも、役者をはじめ、スタッフには両国の人々が携わり、国際協調になった意義もある。

映画でも、両国を隔てる長い壁。そして、検問、パレスチナからは、許可証のない限りイスラエルへはいけない現状が描かれる。

一方、イスラエルのテルアビブは、近代的な都市で、きれいな海辺があり、外国からの観光客も多い。

まず息子達が、現実を直視し、母親たちが母性本能から受け入れ、反対していた父親や兄も周りの状況に押されて受け入れる。

2人の息子は、医者を目指す理系の男性と音楽家を目指す芸術家タイプと異なるタイプに描かれ、これがまたいい。音楽家が一人で国境を越え実の母親に会いに行ったシーンで、きまずい雰囲気の中、突然歌い出し、これが和解のきっかけになるのだが素晴らしいシーンだ。

非常に穏やかな、展開になっている。

このように、現実も徐々に和解への道へ進むのだろうか。


コメント (1)
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