ひろの映画見たまま

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「ルック・オブ・サイレンス」、インドネシア大虐殺の加害者に聞く

2015-09-19 17:19:04 | 映画
おススメ度 ☆☆☆☆

デンマーク・フィンランド・インドネシア・ノルウェー・イギリス合作

ジョシュア・オッペンハイマー監督作品。

1960年代インドネシアで100万人もの命を奪った大虐殺の実行者たちにカメラを向けた「アクト・オブ・キリング」の姉妹編。

前作が、加害者側から描いたものだったが、今作は被害者側の視点から見つめなおした。

今回は、主役がいる。アディさん、兄を虐殺されている。だが、事件後に生まれているので、その実態は実体験していない。だが、父母がいる。

アティさんは、メガネ屋で、まずは、身分を隠して検眼などして事件のことを聞いていく。

そして、身分を明かすと、加害者たちの態度が変わる。

加害者たちは、のうのうとむしろ、世の成功者として生活している。ただもう年齢で、認知症の人もいる。

アティさんは、賠償も謝罪も求めていない。ただ、事件のことを忘れないでほしいだけだ。加害者の子弟にも忘れないでほしい。

殺害の状況が、前作でも明らかだったが、実に悲惨、具体的な語りで語られるので、ちょっとおぞましい。そして、人殺しの悔悟で気が触れないよう、その人の血を飲むのだという。

だが、加害者は、自らを正当化し、悪かったとは言わない。人のせいにする。

これは普遍的なことで、日本の軍隊でも起こったことだ。

アティさんは、この撮影の後、住まいを移し、被害を免れている。それだけこの映画は真実を突いている。

学校では、殺された人たちを、共産党の悪だと教えているという。

インドネシアでは、この事件を公式には反省していないようだ。

「戦争では人を殺していい」、この言葉は胸を突く。
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