まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

いっとき暑さを忘れる2冊 『盤上の向日葵』 『目線』

2018-08-08 13:37:52 | 


「慈雨」「孤狼の血」に続いて柚月裕子さん著3冊目『盤上の向日葵』読了。



ちょうど暑さ真っ只中に引っくり返って読み、しばし暑さ忘れて先が気になって気になっての面白さ。
事件の真相を知りたいというドキドキ感とともに、展開される人間模様が何とも複雑な様相を帯びていて
がっちり心をつかんで引き離さないからね。

平成六年、山形県天童市。注目の若手棋士同士による対局の会場に二人の刑事がやってくる。理由は何か。

約四か月前、埼玉県の山中で身元不明の白骨死体が発見された。
一緒に埋められていたのは名匠作の伝説の将棋駒。かつて棋士を目指していた佐野巡査は、
県警捜査一課のベテラン刑事、石破と組んで駒の持ち主をつきとめるべく、地べたを這うような捜査を進める。

同時に進行するのは昭和四十六年から始まる一人の少年、桂介の物語だ。長野県諏訪市に暮らす彼は幼いうちに母を亡くし、父親からは虐待を受けて育った。彼を気にかけていた元教師がその人並みならぬ将棋の才能に気づき、東京へ出てプロを目指すよう助言するが、桂介は父親の支配から逃れられない――。

実業界の寵児で天才棋士――。 男は果たして殺人犯なのか! ?

ちなみに
『盤上の向日葵』 は2018年の本屋大賞2位。『キラキラ共和国』は10位。

「孤狼の血」でも終盤で感じた、ちょっと強引じゃないの、と思う展開が気になる。
この『盤上の向日葵』でも主人公の生い立ちに感じられること、だってね、唐突に主人公の父が告白しているのよ。
物語全体に流れる、なんとなくどこかで読んだことがあるな、と思わせる雰囲気が漂うこともちょっと。
これについては作者自身がインタビューで、

「私の中にあったテーマは「将棋界を舞台にした『砂の器』」なんです。松本清張先生には及びもつかないですが、親子の葛藤と人間の業を描いた『砂の器』の世界観を投影したかったんです」と語っている

でも人間をえがくその筆力は、いつかきっと本屋大賞も直木賞も受賞されるんじゃないかと期待しているわけ。

もう1冊。 天野節子さん『目線』

閑静な高級住宅街に佇む堂島邸には、主人である新之助の誕生祝いのため、
家族や友人ら11人が集っていた。だが、「めでたい発表がある」と言っていた新之助は、
自室のベランダから飛び降り、亡くなってしまう。その死は、自殺として処理されたが、飛び降りる直前に掛かってきた電話の内容は誰にも分からなかった。そして、初七日。哀しみに沈む堂島邸で、新たな犠牲者が出る。
謎に包まれた事件の真相を究明するべく、3人の刑事が独自の捜査を開始した。

「氷の華」と「午後二時の証言者たち」では早くから犯人が分かり、刑事との心理戦対決に引きつけられたけれど。
天野さん2作目の『目線』は犯人探し。もちろん内部の人の犯行。

読み終わって犯人が判明してから気付くたくさんの伏線、私の推理は見事大外れ。
タイトル「目線」の意味がなんとも悲しい。

この1冊も暑さ忘れて読み進めることができて、夏はやっぱり推理小説だなと。

こんなことを書いている今、台風の影響か涼しくて長そでTシャツ着用。あらま、の気分。

コメント
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