まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

『黄色い家』川上未映子著 『八月の御所グラウンド』⁠万城目学著 『存在のすべてを』塩田武士著

2025-01-08 08:54:21 | 

手に取ったときから、本の分厚さと川上さんの長編、これはきっと重たい小説だろうなと
想像でき、いつもなら4冊借りるところをこれだけにした。
いやあ、なかなか読み進められない、でも途中放棄もできない。面白い内容か惹きつけられるのか
と聞かれてもそんなことはないとしか。今の社会を映し出すような内容であまりの暗さになぜか
どきどきする、
次の展開が待たれる。
なんとも不思議な感覚で2週間かかってようやく読了した。
この小説が新聞小説とは、よくぞ続いたものだなんてこと言ったら失礼だわね。
翻訳のオファーがたくさん来ているそうだ。

 

『黄色い家』川上未映子

 十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、
 生きていくためにカード犯罪の
出し子というシノギに手を染める。

 危ういバランスで成り立っていた共同生活は、ある女性の
 死をきっかけに瓦解し……。人はなぜ罪を犯すのか。

 

 

 

 

 

重たい内容の本はしばらくやめだな、と思って借りに行ったら本棚で「どうぞこちらを」と。
『プリンセストヨトミ』が初読みで万城目さんの名字を「まんじょうめ」と読んだりして。
恥ずかしや。今なら正確に「まきめ」と読めますけど。
私、ファンタジーっぽいというかワープするような小説は好きじゃなくて、恐る恐る手に取った
けど、これが面白かった。で、躊躇なく、

 

 

八月の御所グラウンド』⁠万城目学
表題作と「十二月の都大路上下ル」の二篇。

女子全国高校駅伝――都大路にピンチランナーとして挑む、
絶望的に方向音痴な女子高校生。
謎の草野球大会――借金のカタに、早朝の御所G(グラウンド)で
たまひで杯に参加する羽目になった大学生。
京都で起きる、幻のような出会いが生んだドラマとは--
死んだはずの名投手とのプレーボール
戦争に断ち切られた青春
京都が生んだ、やさしい奇跡

 

直木賞の選考委員からは、
「日常の中に非日常がふわっと入り込んでくる絶妙さとバランスのよさがすばらしい」
と高く評価されたそうな。

読み終われば、じわじわと温かい気持ちで満たされ、うーんと唸りたくなる。
これがファンが言うところの「万城目ワールド」ってやつか、なんて。私も引き込まれそうだ。
万城目さんご自身は「リアルが9で空想1」で書いてるとおっしゃっているけどね。

「なあ、朽木。俺たち、ちゃんと生きてるか?」

京都五山の送り火を眺めながら、静かに問いかけた多聞のこの言葉、こんなこと聞かれたら
なんて返事すればいいんだ。目を白黒させるだけだ。


次に、本屋大賞3位のこちらが手招きしていたから

 

 平成3年に神奈川県下で発生した「二児同時誘拐事件」から30年。
 当時警察担当だった大日新聞記者の門田は、令和3年の旧知の刑事の死を
 きっかけに、
誘拐事件の被害男児の「今」を知る。
 彼は気鋭の画家・如月脩として脚光を浴びていたが、
本事件最大の謎である
「空白の三年」については固く口を閉ざしていた。

 異様な展開を辿った事件の真実を求め、地を這うような取材を重ねた結果、
 ある写実画家の存在に行き当たるが――。
 「週刊朝日」最後の連載にして、『罪の声』に並び立つ新たなる代表作。

 

単純にミステリーとして読んでいっても展開が予想もつかずページをめくる手が早くなるが、
家族、芸術、それらが一体となって複雑に絡み合うこの小説も味わい深くとても面白かった。
結末に一筋の明るさが見えるところがまた読後の心地よさに浸ることができて、
そう初お目見えの作家さんだけど、他の本も読んでみたくなったわ。
それにしても、挿画の何とも素敵なこと、いいわあ惹かれる。


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