まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

「記憶がとぶ時があるのよ」

2017-08-23 08:44:47 | くらし

お盆に佐渡に帰ると14日に同級生が集まる会が毎年ある。
地元の人帰省の人14,5名、同級生が開いている食堂に集まる、飲む話す騒ぐ。

そこじゃゆっくり話せないねと女子4人でその前に喫茶店に。
話がはずめば当然のごとく時間に間に合わない。
いっか、律儀な私は、人はこうやって遅れてくるのねと妙なところで感心納得する。

というわけで「時間過ぎとるわ、行かんかっちゃ」と会計も済ませ立ち上がったらヨウコチャンが、
「この袋誰のかしら」と自分の横にあった紙袋を見せた。
そりゃあ異口同音、残りの3人は「あんたんのじゃないの、横にあるんだもん」

ところが、私のじゃないってヨウコチャン。こんな赤い袋のもの持って来てないものって。
「だって、あんたの横にあるんだもんあんたののだよ。前の人が忘れて行ったんだったら店の人が気が付くわよ」
と実に正しいモッチャン。そんなこと言われたってヨウコチャン、納得いかない。
「私、持ってきたかしら、それユーハイムって書いてあるのでしょ、そんなの買った覚えがない」って。
袋の中を取り出してみると、確かにユーハイムのバームクーヘンだ。佐渡には売っていない。
やっぱりそんなの持って来てないって、記憶にないって。顔がこわばっている。
あんたののに決まっとるわよ、忘れただけよ、と笑い飛ばせない。

「私が来たとき、あんたの横にあったわよ」ともうひとりのヨーコチャン。私も見た。
それでも、私持ってきたかしら、全然覚えてないと不安がるヨウコチャンにモッチャンが、
「あんたここに来る前にワタナベに寄ったでしょ、そこにあるか聞いてやる」
と電話した。
「赤い袋、あるってよ。だから二つ持って来てひとつワタナベにあげたんだよ、大丈夫だよ」
と、何が大丈夫か分からないけれどともかく慰める。

「私、前にも記憶がとんだ時があるのよね」とヨウコチャンが言い出す。
思い出そうとしても何も覚えていないんですって。怖い、自分がそうなったら怖い。
ヨウコチャン、挙句の果てに「私飲み物のお金払った?」とまで言い出す。
出した覚えがないって。それはね、あなた袋のことで気が動転してたから上の空で払ったのよ。
モッチャン、あんたが500円出したから私がおつり50円返したでしょ、払ったわよ、って。

ひきつった顔のまま喫茶店を出て。
電話じゃあヨウコチャンは納得しないから、ワタナベに行って確かめて来ようとモッチャンに付き添ってもらって。

結論は、そうなのよ、ヨウコチャンが持って来てたのお菓子入りの赤い紙袋ふたつ。
ひとつはワタナベに、もうひとつをいつも同級会で世話になっている食堂にと。
ヨウコチャンにとって良かったようなそうでもないような結末で、当然だけれど。
いやいや、かけらも記憶にないって、強張るヨウコチャンの不安はよおく分かる。
女子の、よくあるわよそんなの、なんて慰めは何の意味もなさないものね。
理性の勝つオヤジ同級生が、病院で検査してもらえとごくごく当たり前のアドバイスしてくれたそうだ。

2日前、ヨウコチャンから頼んでおいた印刷物が届いた。
相変わらず仕事が早い。私の方が頼んでいたことを忘れていた。うん、頼んだ記憶はある。

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