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米住宅公社危機の日本の金融機関への影響度

2008-07-12 11:34:05 | 金融全般
7月11日付けの日経テレコムで、首題に関しての日本の金融機関の関わり度が明らかにされております。

それによると、フレディマックとファニーメイの自己資本は両社合わせて7兆円程度ですが、不動産向けのエクスポージャー(リスクに晒される金額)は5兆2千億ドル(550兆円-7.15.日経記事で修正)に上るとのこと。(債務額は、ファニーメイが8千億ドル、フレディマックが7千4百億ドルの計1兆5千4百億ドルです。(イギリスのガーディアン紙)7.15日の日経は社債で1兆6千億ドル。

この金額は3月10日に、第一生命経済研究所の嶌峰 義清氏が「崩落する信用バブル(中)」で触れているとおり、両社の4.5兆ドルの住宅担保証券の数字とほぼ一致しております。

その両社が発行する住宅ローン担保債券(通称エージェンシー債と呼ばれている)を、日本の金融機関は大量に保有してます。

2008年3月度時点で、三菱UFJが3兆3千億円。みずほFGが1兆2千億円だそうです。(両社に加えて、ジニーメイ分を含む)三井住友は2000億円。その他、生保が合計で4兆円を超えるエージェンシー債を保有。(7月15日の日経の記事で修正)

ポールソン財務長官はフレディマックとファニーメイを政府管理下(国有化)におくことは、一旦否定しておりますが、それは両社のデフォルト(債務不履行)を避けるために投入する税金が、上記のような途方もない金額に膨れあがるため、財政赤字を更に悪化させ、このことにより米国債の格付け低下につながり、ひいてはドル安を更に助長することを恐れてのことと思われます。(米国債務9.5兆ドルの約半分) それに、共和党は元来、民主党とは正反対の、両公社の「民営化論者」です。

しかし、アメリカはデフォルトをそのまま容認することはできないでしょう。日本の銀行の上記のエージェンシー債の保有高からしても、世界中で550兆円(社債だけでも170兆円)がデフォルトした時のインパクトは想像を絶するものがあります。

まさに進むも地獄、引くも地獄の極めて危険な水域に達しつつあるのが、今のアメリカの住宅問題を巡る状況と言えます。

仮にFRBが資金供給するにしても、FRBの資産の現状からして、限界が見えております。既に4125億ドル(43兆円)を投入してきております。資産全体の半分程度を占めております。更に残りの半分まで投入するなら(それとて、500兆円の債務からするとわずかな金額)、それこそ中央銀行としての信認問題に発展します。ドル紙幣の信認を支えるFRBがこうして大きな債務超過になれば、これも大幅なドル安を招いてしまいます。

そして更に追い打ちをかけるだろうことが、大幅なドル安を招けば、ここまで耐えに耐えてきたアラブ諸国のドルペッグ政策が転換される可能性が高まることです。これが転換されればまさにドルの大暴落となり、ドル債券を大量に保有する中国や日本も大きなダメージを受けます。霞ヶ関の外為特会の例の「埋蔵金」は一瞬にして泡と消え、逆にマイナスに積み上がります。

本来は、FRBは物価の上昇を食い止めるため金利を上げなければならないところ、それをやるとまさに金融恐慌を招いてしまいますので、それも出来ない。

そうこうするうちに、市場では信用収縮が急激な勢いで進行しております。それは、6月18日までの13週間に、アメリカの商業銀行の貸し付け額が、年率で9.14%も収縮しているそうです。(ノーザントラストのチーフエコノミストのPaul Kasriell)これは1973年にデータを取りだして以来の最悪の状態。

まさにどうしようも手の打ちようがない状況に陥りつつあるのが、現在の世界の金融・経済情勢だと言えるでしょうね。

こんな中で、NYダウや世界の株が上がる訳はないか。。。

この「異変」を市場は敏感に嗅ぎつけ、政策金利を上げたユーロはドルに対してジリジリと上げ、ゴールドもオンス960ドルまで買われております。イランはミサイル発射で原油の価格下落を激しく牽制。まさに世の中、風雲急を告げつつあるようです。
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