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明日のモニタリング銘柄(11.25.08)

2008-11-24 12:25:46 | 明日のモニタリング銘柄
明日の日本市場は為替とダウに大きく影響されるでしょうが、日経平均が8500から600円見当まで切り返す動きを見せるのかどうかは、現下の注目テーマである、シティバンクとGMの帰趨に大きく影響されるでしょうね。GMはじめビック3の首脳の議会へのカムバックは12月2日になっておりますので、今週の焦点はシティ問題ということになります。

このシティの救済で注目すべきは、合併相手の一角とされているゴールドマン・サックスが、政府支援を受けても買収を検討することはないと21日に明らかにしたことです。シティは、個人住宅用ローン担保証券(RMBS)に比べてまだ注目度の少ない商業用不動産ローン担保証券(CMBS)を大量(注)に抱えていると言われておりますが、これらの不良資産の大規模な損失発生の可能性を、さすがにゴールドマンといえども、背負いきれないようです。

これは、国が費用を100%保証するといっても、面倒な「介護老人」を引き受けたくないと言っているのと同じ事です。費用の回収が100%できても、この先何年もの間世話が必要な介護老人を、誰も好きこのんで抱え込みたがりません。

つまり、シティは「今や世間から疎まれかつ役立たない存在」となっている、このことの衝撃は大きなものがありますね。

筆者も5年ほど前に日本のシティバンクに、英ロイズTSBへの送金用に口座を作ったことがあります。詳細は省きますが、実に使い勝手の悪い不快なシステムばかりでした。こんな銀行は不要とばかりに、資金を1年ほどして全額引き上げましたが、当時は金融知識も少なく、シティに口座を作ってしまったのは全くの不覚でした。そのシティは日本でも程なく不祥事を起こしたのはご存じの通りです。

注)シティはダントツの約170億ドルで第1位。第2位はJPモルガンの約90億ドル、第3位はゴールドマンサックスの約30億ドル。なお、CMBSの市場規模は8000億ドルですが、BB格のCDSの保証料は4800bps(48%)にもなっており、既に崩壊していると言っていいでしょう。AAA格も11月20日現在700bp(7%)で急上昇中。

さて、また前置きが長くなりましたが、明日のモニタリング銘柄です。

1.8933エヌ・ティ・ティ都市開発
 不動産市況の影響が懸念されて、ここまで売り込まれておりますが、本来通常の商業用不動産市場とは一線を画した資金繰りには困らない安定収入を基盤としている筈の会社。大きな反発はないにしても、明日はどの程度の切り返しを見せるのか注目。

2.6503三菱電機
 通期18%弱の下方修正を、他の電機メーカー並にしておりますが、VR改も30%を越えたばかりであり、OSC38%のここからは紆余曲折を経ながらも一旦は500円を奪還するのではないかと。

3.5486日立金属
 自動車関連というだけで売られているようですが、ここまで売り叩かれるのがどうも不可解。ここは押し目で一旦拾っておく手か?

4.4063信越化学
 10月末に5360円まで戻した、その反動安で金曜日も上げが鈍かったようですが、ここまで押されて3600円の下値固めは完了した様子。OSCは+1%の37%と低位。

5.6890フェローテック
 新興からは、この意味不明の下げに見舞われているこの株を分析かたがた取り上げます。もうひと息の押し目からは反発がある位置取りですが、金曜日のあの好地合でも戻さなかった総悲観の状態がどこまで続くか。株は、山が高かったものほど谷が深いという好例。しかし、深すぎるね、こりゃ。。。

同じような6871日本マイクロニクス。7月28日の3Q決算で通期進捗率70%となりさほど悪くはなかったのですが、GSが下方修正して3700円の株価が一気に10月10日で790円まで5分の1になっております。しかし、これは来期の利益予想が今期の3分の1となることを先取りしてのこと。

この株も中間期までの進捗率は58.7%ですが、09年3月の本決算は利益-16%の予想が、成長イメージに大きな汚点を残しているのが下落の理由かと思います。日本マイクロニクスのように10年3月期は大幅減となるのではないかとの懸念?からであればもっと下に行くかも知れません。

そうであれば、この株の黄金期?の値段2000円見当が、500-600円までは行ってしまうかも知れません。そこまで行ってほぼマイクロニクスと月足で同じような軌跡も描くようですが、これは悲観の極致まで行った時の話。中国経済と太陽電池需要の絡みなど、ここから先は、専門のアナリストの詳しい取材情報でも交えないと、この株のビジネス展望はさっぱりです。今のような不況期は、設備投資抑制のしわ寄せが、新興銘柄ほど大きく行きますので、マイクロニクスのようになる危惧はありえなくもないと思います。何しろ売上げが89億円でマイクロニクスの430億円の5分の1ですからね。

以上です。
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ドルの価値下落を防ぐ方策(補足)

2008-11-24 01:24:06 | 金融全般
11月22日のブログで、「新金本位制」への移行の可能性について書きました。

これは、これまで海外から米ドル証券が海外から買われていたのは、1990年代からの株価高騰、2000年代の住宅価格高騰があったためですが、この2つの米証券買いを海外に促すドライバーが壊れた現在、1兆ドルとも2兆ドルとも言われているこれからのアメリカの財政支出を支えることが、今の世界経済ではできない、そのための解決策の1つでした。

その他に、これまでに議論されていることは、以下の2つがあります。

1.通貨バスケット方式
 各国通貨とCRB指数などを加重平均してバスケットにする方式です。ロシアやサウジアラビアの主張。この変形版として、アメリカ、カナダ、メキシコを統合した新通貨圏を作る案も出ているようです。しかし、こちらはちょっと奇想天外過ぎますね。

2.ドル建て以外の国債の発行
 例えば日本に対しては円建て国債、欧州に対してはユーロ建て国債をアメリカ政府が発行することで、特に金利が低い日本では日本の長期国債(現在10年物でたった1.3%程度)より高い金利をつければ、為替リスクなしですので金融機関が買ってくれます。

但し、これらはアメリカの基軸通貨国としての面子にかかわることです。

そこで、第3の方策としての、「新金本位制」への移行の可能性が、新ドル発行(新円、新ユーロ、新元など他通貨も巻き込み)での借金棒引きとセットで出てきている訳ですね。

更に補足すると、金には、通貨性のゴールドと商品としてのゴールド(金貨など)の2面性があります。中央銀行が金準備高として保有しているのは、ゴールドバーと呼ばれる通貨性のゴールドです。1999年段階で各国の中央政府が保有しているゴールドバーは3.35万トン程度と言われております。

(注:有史以来の金産出総量の約2割程度しかありません。なお、新規のゴールド産出量は年間2500トンであり、1オンス350ドル程度が産出コストです。)

しかし、この3.35万トンが本当に各国の中央銀行にあるのかどうかは誰も分かりませんが、1つ言えるのは、1999年9月のいわゆるワシントン合意で、金の金融機関へのリースを制限していることです。(このリース制度を利用して、金融機関は1-2%のリース料を払う代わりに、金鉱山へ3-4%の利ザヤを乗せて売ります。金鉱山は産出量を超えた需要に対して、このリースされた金を売り、後で金を生産して返します。)

リースをするに足るゴールドの保有量が、実際にはかなり減ってきているのではないかと推測します。

理論上は、各国政府・中銀が保有している金と、今後大幅に発行される貨幣量とのバランスがとれる値で、新金本位制下での金価格が決まる筈ですが、先日のブログのリンク先で書かれている、負債の10%の貨幣化で1オンス5300ドル、等の試算については、現段階では何ら裏付けが取れている訳ではありません。

いずれにしても、新金本位制、通貨バスケット制、ドル建て以外での国債発行、の3つぐらいしか、アメリカの今後の巨額のファイナンスを支える原資は出てこないものと思われます。

政策金利をゼロ金利に近づけながら、海外に新規米国債を1兆ドルも2兆ドルも買ってもらうことは、長期金利の急激な上昇を招き(これは日本にも波及)、それこそ各国政府財政の破綻を招くためできないと、筆者は思っております。
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