風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画三題・ゼロの焦点、笑う警官、カムイ外伝

2009年11月20日 | 映画
映画三題。
秋になって寒くなったり、雨の時映画を見た。

ゼロの焦点

広末涼子は演技も台詞も下手であった。
この映画では、広末演じる主人公の独白=ナレーションが多いだけに残念であった。
もう一人の主人公中谷美紀だが、途中で表情が急変する。
それは化粧と照明の影響が大なのだが、過剰すぎるなと思って見ていた。
もう一人の主人公は、薄幸の女が代名詞となっている木村多江でやはり薄幸であり、驚きがなかった。
私は実は、木村多江はコメディが似合うし、うまいと思っているのだが。
つまり、良くも悪くもこの三人が映画の出来を左右するだけにここいらの事情は残念という他ない。
そしてもう一人の主人公で、広松演じる禎子の夫の人物像が何とも情けないというか影が薄いのだ。
また、中谷の夫の描き方はもっと乱暴と言うか単純でステロタイプ。
私は松本の原作を読んだことはないのでそこいら当たりの事情はわからないのだが、
主な登場人物の人間像が何とも薄っぺら過ぎるのが気になった。
私としてはそれだけ期待が大きかったと言うことなのだが。
それぞれの人々が戦争直後の社会の中でどのようにもがき苦しみ、犯罪に走らざるを得なかったのかは伝わらなかった。
人生経験もそれほど豊かでない禎子が簡単に謎を解いてしまうのは無理がある。
まっ、いいか。
旧作も是非みたいものだ。
松本清張のタイトルは凄い。点と線、ゼロの焦点、わるいやつら、けものみち、砂の器など。
焦点はわかるのだが、ゼロはどんな意味があるのだろう?

笑う警官

タイトルからは、コメディなのかなと思っていたが、B級のアメリカ映画の刑事物のぱくりだけの駄作であった。
角川春樹が久しぶりに作り、世界に通じるなどと豪語し、追うのも警官追われるのも警官とうたい、
裏金作りの警察の悪を暴く社会派映画と宣伝されていたので胡散臭くは思っていたのではあるが、
やはりそうであった。
冒頭と終わりにもの悲しいサックスが流れ、もうまるでかつての二流のアメリカ映画そのものの世界。
続くローマ字によるキャスト紹介にはあきれ、この映画の出来の予想が付いてしまった。
角川春樹が台湾マフィアの親分役で登場し、挙げ句の果てに日本刀を振り回し、
テーブルをひっくり返すシーンはアキレさを通り越してもうがっくりであった。
最後に主人公がライフルで狙撃されるのだが死なずに軽傷で幕切れ。
警官トップは何事もなかったとあざ笑う=これが言いたかったの?
完全にB級の下の映画であった。

カムイ外伝

白土三平原作・崔洋一監督というのでほんの少しは期待した。
崔洋一監督は、ビートたけし主演の『血と骨』で在日朝鮮人の貧困・苦しみと祖国へのあこがれと挫折、
そしてそのどうしようもなさを暴力として描いた。
崔洋一監督なので少しは期待したが、やはり白土作品の実写映画化は難しいなと思った。
この種の映画に合理性とかリアリティとかは関係ないし求めない。
小気味よいストーリー展開やどんでん返しやアクションや特撮などが持ち味なのだから。
もちろん不条理としか言えない絶対的である封建的身分制度を背景に描く白土作品を動く映像で、
しかも短時間で描くのはもちろんたやすいことではないが、残念ながら失敗作であった。
抜忍スガルとその夫の漁師が暮らす漁村の生活は映画の中だるみ、
たしかにこれらのシーンは、これら平和的な日常がすべて破壊される前景で大事だとは思うのだが、
あまりに退屈で居眠りしそうになってしまった。
突然、伊藤英明率いる“渡り衆”が登場した時、その嘘っぽさは頂点に達してしまった。
彼らが平和な漁村を破壊するのかと思っていたらそうではなく、
彼らは抜忍集団で凶暴なサメを殺してくれる善意の人であった。
だが、頭領の伊藤英明だけが抜忍の追跡者であった。
どんでん返しはこれだけであった。
活劇シーンは、中国映画のHEROなどの方が奇想天外さと迫力があるが、
カムイの方はそれに比べてシンプルでかえって良く、優越は付けがたいかな。
CGや特撮はどんどん進歩している。
B級はB級なりの楽しみ方がある、のである。

いずれにしても、映画は事前におもしろいか、つまらないかはわからない。
いわば、ギャンブルである。シニア料金1000円で2時間だから良しとするか。
劇場とビデオ・DVDの違いは、画面の大きさもあるが音響の差が大きい。


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