まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

室戸岬と吉良川の町並み

2009年03月04日 | 旅行記G・四国

徳島・勝浦町を後にして小松島市内に戻り、国道55号線を南下。

P2285464小松島から阿南のあたり、開けた平地なのであるが、沿道にはやたら高いアンテナを立てている家が多い。そのためか電柱も長く、電線が高い位置にあるように見える。これはひょっとして関西のテレビを受信しようという試みだろうか。徳島の民放って確か「四国放送」1局だけだったと思うが、それではあまりにも娯楽がないからと、このようにアンテナを関西に向けて伸ばしているのだろう。さすが、四国にありながら関西文化圏の徳島らしい。

地デジの移行に向けてあれやこれやPRをやっている。地デジもいいが、こういう地域間のチャンネル格差をなくす取り組みはなされないのだろうか。せめて全国4つのネットワークくらいは、全国でカバーできるようにしようよ。

それはさておき、目指すのは四国の最東南端の室戸岬である。海岸沿いに走るイメージがあるが、南への道はほとんど山の中。そこをひたすら南へ走る。途中、何人ものお遍路さんを追い抜く。23番の薬王寺から24番の最御崎寺までは県境をまたぐ長い距離で、お遍路さんにとっては難関の一つと言えるだろう。クルマの中からではあるが、彼らに敬意を表するとともに、道中の安全を祈願する。

P2285469小松島から2時間以上の道のりで、ようやく室戸岬に到着。あいにくと雲が広がっているが、ともかく東南の端まで来たことで安堵する。

P2285482せっかく来たのだからと、急な坂を上って、24番札所の最御崎寺へ向かう。つまみ食いの遍路のようで申し訳ないが、薬師如来やら大師像に手を合わせる。南国の寺らしく、参拝客を温かく迎えてくれているようだ。

P2285484寺のすぐ横には室戸岬の灯台があり、ここから岬を見下ろすことができる。久しぶりに、「丸い水平線」を実感する。多様な顔を持つ四国の中でも雄大な風景。お遍路さんたちも、この風景を見ればそれまでの疲れが一思いに吹き飛ぶことであろう。

しばし絶景で英気を養い、今度は西に向かう。この日の宿泊地である高知まではまだまだ遠い道のりである。

P2285499ということを言いながら55号線を北西に走るうちに現れたのが、「吉良川の町並み」。ここは重要伝統的建造物群保存地区に指定されているとか。とはいうものの、吉良川の存在はついこの間、高知までどのルートで行こうか検討する中で初めて知ったところ。まだまだ、日本には知らないところがたくさんある。

かつては良質な備長炭で栄えたという吉良川。ここの特徴は、台風の通り道であり、強い雨風にさらされる地域ならではの商家の造りにある。

P2285495蔵の壁のところにまた屋根瓦を並べているのが目立つ。これは「水切り瓦」というもので、雨水をきることで直接雨水が壁にかかるのを避け、漆喰の色を保護するためだとか。

P2285488また、「いしぐろ」という、石でできた塀のある家も目立つ。これは風除けのためだそうだ。石の塀といえば沖縄の古い民家にもある造りで、いずれも台風の通り道となっている地域の特性を生かした造りである。こちらも南国らしい風情を演出している。

P2285496ここはまだ知る人ぞ知る町のようで(知らなかったのは私くらいのものでしょうが)、その分地元の生活の香りが強く伝わってくる。ちょうどこの日は雛人形のお披露目があちこちの家で行われており、近所の子どもたちなどが遊び回っていた。私もあちこちの縁側をのぞき、お菓子のおすそ分けもいただき、しばし散策して回る。

室戸から高知にいたる途中には、この吉良川のほかに、奈半利、安芸など、歴史的な景観を残すスポットもいろいろある。また時間があれば、山の中に入って自然豊かな馬路村に行くこともできる。高知東部、なかなか面白いところである。

さて吉良川をしばし歩いた後は、一路高知へ。途中、「ごめん・なはり線」の線路や、ちょうどオープン戦の試合が終わったばかりということで黄色い連中が町を占拠している安芸を通りすぎる。

033かつてその「ごめん・なはり線」に乗りに来たとき、本家阪神電車にもない「タイガース塗装」に気動車に乗り、外装はもちろん内装もタイガース一色の異様さに大いに気分を害したことがあるのだが、今となっては懐かしい出来事である。今でもあの塗装はあるのだろうか。今回列車に出会うことがなかったが、駅ごとにいるやなせたかしデザインのキャラクターといい、展望列車といい、何かと乗客誘致に熱心な路線である。今度来るときは、ぜひ列車に揺られてみよう。

夕方17時半、自宅を出て12時間かかりようやく高知着。ホテルへのチェックインもそこそこに、高知の味を楽しむとしよう・・・・。

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