先月27日、「東洋のマチュピチュ」別子銅山を訪ねた後、昼食をとって新居浜から松山道へ。川之江から高知道に入る。この高速道路、四国山地を抜けていくのだが、これがトンネルに次ぐトンネル。この先高知まで20以上のトンネルがあるといい、地上を走るよりトンネルに潜っている時間のほうが長いくらい。四国の急な地形を感じさせられるとともに、高知といえば「黒潮」のイメージだが実はそのほとんどが山がちな地形であることを思い知らされる。
さて、高知に向かう前に、一つ手前の南国インターで下車。少し来た道を引き返す形になり、また山道を登っていく。この日は別子銅山の東平(とうなる)訪問といい、このドライブといい、四国の山道を登ってばかりだ。
インターから下車して20分、小さな集落を過ぎ、さらに離合不可能な道を登る。途中、建設会社の資材置き場に迷い込んだりもしながらだ。
・・・そんな思いまでしてたどりついたのが、JR土讃線の新改駅。ここは高知駅から20キロほどの距離にあるが、完全な山の中にあるスイッチバック駅。
そしてここは、いわゆる「秘境駅」の中にあってその上位にもランクされている駅だ。四国の山中のスイッチバック駅といえば、香川と徳島の県境にある坪尻駅が有名だが、クルマではたどりつけない坪尻に対し、ここはまだクルマでたどり着ける分、「秘境度」では落ちるそうだが・・・(落ちる、といわれてもなあ)。
駅のところで道路が行き止まりなのだが、ここでいきなり対向車に出くわしてビックリする。クルマで来訪の「その筋」の人と思われる。
するとどうだろう、ちょうど阿波池田行きの列車が発車していくところ。慌ててカメラを取り出してホームに出て、引き上げていく列車を撮影する。
ここで列車は一旦引込み線に入り、再び本線に出てエンジン音高らかに山を登っていく。
もう一台のクルマは列車が出て行くと見えなくなり、訪れた時にホームで何かの測量を行っていた人も作業を終えてクルマで立ち去る。山の中に静寂が訪れる。
列車で訪れたわけではなくクルマで訪れたわけだが、何も音がしない風景というのにはなかなか出会えるものではない。ここでしばらくたたずんだり、駅ノートに書き込みを行ったりして時間を過ごす。
それにしても、先ほど高速道路を通ってきた者としては、この土讃線というのは急カーブあり、スイッチバックありで現代の交通体系からすればどん臭いようにも見える。それでも、鉄道好きとしては「このレールが全国につながっているんだな」と、ロマンに思いを馳せるのだからわからないものだ。
新改駅を後にして、高知市内へ。この日宿泊したのは駅前の「港屋」。部屋はこぢんまりとしていたが、大浴場あり、格安の朝食つき料金で結構気に入った。この日はバスケットボールか何かの部活動の生徒の団体がいて賑やか。
さて、高知とくれば夜の部である。まずははりまや橋まで歩き、帯屋町のアーケード街を歩く。
大河ドラマの舞台ということで、坂本龍馬やら岩崎弥太郎などの写真をあしらった垂れ幕が街を彩っている。観光客らしい人の姿も多い。
この日入ったのはそんな中にある「一本釣り」。気取った郷土料理店というよりは、土佐の味をリーズナブルに味わえるという居酒屋である。
ここではまずもってカツオのたたき。おすすめはほとんどレアにあぶったものを塩でいただくという「塩タタキ」。普通の倍はあろうかというくらい大胆に切っており、新鮮なものでなければ塩タタキにはならないそうだ。これをにんにくと合わせて豪快にいただく。
続いてはクジラの赤身。居酒屋でクジラを見ると必ずといっていいほど注文するのだが、さすがはクジラの食文化が行き続ける高知という感じ。
そして、カツオ、クジラに続いて「三本柱」に名乗りを挙げだしているのがウツボのタタキ。コリコリとした食感を楽しむことができる。
このほかにもアナゴの稚魚である「のれそれ」も。これでもかというくらいの味わい。
これらの相手となるのが、清流・四万十川の水をベースにつくられた地酒・藤娘。土佐の魚たちとよく合う。合計すれば結構な値段となったが、まあ高速道路の割引分が料理代に回ったと思えば結構な話である。店の雰囲気も賑やかなもので、地元の人、観光客ともにあっという間に満席になるくらい。
さて外に出ると雨が降り出した。この日一日ははっきりしない天候だったが、雨なら今晩のうちに降っておいてくれといったところ。翌日のオープン戦が無事観戦できればそれでよしということで、早朝からのドライブだったこともあり、この日は早々と横になった・・・・。(続く)