11日のベイスターズ戦にも勝利して、これで5連勝と勢いに乗るオリックス・バファローズ。交流戦も残り7戦であるが、ここに来て2010年以来の交流戦優勝も見えてきた。後の試合、先発は(本日投げた)西、金子、東明、ディクソンの4人で回せる。その分、故障から昇格してきた比嘉が加わりブルペン陣にも厚みが増して、それこそ6回からリレーできる布陣。打線も復調傾向で楽しみである。
・・・それがいい方向に向かったのが、甲子園での阪神2連戦に2つ勝って乗り込んだ広島かなと思う・・・(という風にでも書くことで、遅れの観戦記が少しでも浮かんだらと思うのである)。
試合前のイベントも終わり試合開始。カープはバリントン、バファローズはディクソンの先発。いずれも打たせて取るというタイプの投手だけに、試合前には「より多くの内野ゴロを打たせた投手が勝ち投手になる」と思ったものである。特にカープは前のソフトバンク戦で2試合とも序盤からいきなりの大量得点を浴び、戦意喪失状態ではあるが、相手が代わったことで勢いを出してくるか。
一方で球場がどよめいたのが、カープのスタメン発表で4番の時。私を含めて観客の99%が、エルドレッドのコールだと思ったところ・・・のはずが、読みあげられたのは松山。前日も本塁打を放った4番に何かあったのか。後で報道されたところでは、本人ではなく「奥さん」の体調が悪くなり、病院に付き添うために「休暇願」を出したのだとか。まあ、日本と外国の考え方の違いで、奥さんに何かがあった場合に試合よりも付添や見舞いを優先するのと、「親の死に目にも会えない」のを美徳とするのと、これまで育んできた文化の違いが出てくる。
ある意味でカープの最後の砦ともなったバリントンであるが、初回、2者連続三振に打ち取ったのはいいが、3番に入ったヘルマンにレフトへの一発を浴びる。「3番・ヘルマン」という打順にはいささか違和感を覚えるのだが、それが結果を出したということであれば、それもありかなと思う。
続く2回はペーニャ、安達のヒットなどで一死一・三塁のチャンスを作り、この日スタメンの山崎のタイムリーで2点追加。山崎のタイムリーなどというのは滅多に見られるものではないし、どこからでも得点できる勢いというのを感じる。
バファローズのディクソンも序盤からの打線の援護で気が楽になったか、ランナーは出すものの落ち着いた投球が光る。視線を変えればカープ打線の勢いのなさが目立つのだが・・・。
バファローズは3回には糸井の2ラン、5回にはヘルマンのこの試合3打点目となるタイムリーでじわじわと追加点を挙げ、5回まで6対0と大きくリードする。
これまで毎年のようにカープ対バファローズ、あるいはその逆のオリックス対広島というカードを観戦したのだが、乱打戦はあっても、先発投手があっけなくKOされるというのもなかなか見られないものである。三塁側スタンドにあっても安心して、落ち着いて観戦できるというものである。
さてそんなスタンドを見渡すと9割方カープファンで、それぞれが思い思いの出で立ちで応援しているのだが、中でも目立ったのはこのお方。頭髪モヒカンで、頭部にはカープ坊やだの「H」や「C」のマークだのいろいろとあしらっている(これはホンモノなのかな)。そして衣装はタテジマ時代の背番号2・東出をイメージしたものである。昨年この球場で観戦した時は、最後はゲタを両手に持って応援するおじいさんを見かけたのだが、インパクトということではこのお兄さんこそ最強だろう。もし指定席の順番の巡り合わせで隣り合うことがあったら・・・う~ん、それこそ「仁義なき戦い」の世界のプチ版が繰り広げられていたか。
ただ見た目のいかつさとは別に、座っているとあちこちから声がかかったり、「お疲れ様です~」と言いながら若い女性も結構寄ってくる。なるほど、これはこのスタジアムにおいては有名な人なのかもしれないなあ。
この試合前まで序盤の大量失点で試合を作れなかったカープ、6点目が入ったところで左腕の戸田に交代。6回は自身の暴投と駿太のタイムリー内野安打でさらに2点を献上する。
ディクソンはランナーを出すもののさすがは粘りの投球。6回にこの日4番の松山にタイムリーを浴びるが、大量リードに守られて失点はこの1点だけ。逆にいえば、カープ打線も完全に勢いをなくしていた。試合前にベンチ入り選手の読み上げ時には名前のあったエルドレッドはいつ代打に出るのかと思っていたが結局出番がなかった(前に書いた「奥さんの体調不良」というのはこの時は知らなかったことである)。ここまでリードすれば、さすがに連投の救援陣も久々にお休みとなる。
カープはこれだけリードされていても8回に中田、そして9回には今季新加入の一岡という、どちらかといえば勝ちパターンで起用される投手が登板。連敗で登板間隔が空いているための調整もあるのだろうか。さすがに「ここで意地を見せる」というのはちょっと違うだろうが。早々と球場を後にするファンもいる中、私としては今季のカープのここまでの躍進を支えてきた両投手を見ることができてよかった。特に一岡は140キロ台後半の威力ある直球を投げ込んできて、「これだけのいい投手が巨人では出番がなかったんやな」と感心した。
・・・ただ一岡、この試合終了後に肩痛を訴えて登録抹消となってしまった。評論家の間では、何も8日のような展開で投げさせることはなかったのではと、球団のマネジメント能力への疑問の声が挙がっていた。素材はいいのだが一年を通して働いたことがなかったのにとか、巨人がFAのプロテクト選手から一岡を外していたのは肩痛を見越していたからとか。まあ、後からなら何とでも言えることだが、戦力的に痛いのは確かである。また外国人クリーンアップもキラが2軍落ち。その前にロサリオを落としたのも「落とす選手が違うのでは」という声が挙がっており、どうもよろしくない。
そんな中田、一岡の登板にも打線は奮起せず、8回まで投げたディクソンの後は9回に平井が登板。ランナーを許すものの無難に抑えて試合終了。この日の試合前、それぞれ0.5差で巨人とソフトバンクがリーグ首位をうかがっていたが、巨人が勝ち、ソフトバンクは敗れた。このため、カープは首位陥落、バファローズは逆に1.5差をつけるという明暗を分けた。
ヒーローインタビューはディクソン。相変わらずのセ・リーグ品質で選手の声は聞こえない。それでもクールに淡々と仕事をこなす様というのはうかがえ、これからも頼もしい存在であることは間違いない。
試合終了後は広島駅までの道路にびっしりとカープファン。ただやはりその足取りは重そうだった。毎年鬼門となっている交流戦。その原因に「パ・リーグ対策ができていない」というのがあるそうで、一説にはスコアラーを派遣していないというのもあるとか。もしそれが本当ならヤル気があるのかというところだし、いやいやデータはあるのだがベンチがそれを利用していないというのもある。それならば完全に采配の問題。今やビジターでもカープファンが大量に押しかけるので、球場の雰囲気にのまれるということもないだろう。カープファン諸兄のブログでも怒りの声が満載だが、それでも優しいのが中国新聞や広島のテレビ局である。まあ広島のマスコミにはマツダの息が・・・・いやこれ以上はやめておこう。
さてこの試合前は、これも楽しみである広島プチ探訪。今回訪れたのは呉である。その様子はまた稿を改めて・・・。