西国三十三所巡りも朝の9時半で終了。地元の葛井寺を除けば、もっとも早い時間での一日のノルマクリアである。
これがクルマでの巡礼、あるいは徒歩でもその日のうちに善峯寺や総持寺を回ることができるが、私の回り方だと亀岡だけで一枠である。そのわけは、また次の記事で書くことになる。
穴太寺からは仁王門から伸びる参道を歩き(参道と言っても商店はわずかばかりで、のんびりした田園風景が広がる)、京都学園大学に近いバス停から亀岡駅行きのバスに乗る。車内に、かやぶきの里で有名な美山町への往復バスの広告がある。JR園部駅から、途中スポットに立ち寄りながら美山町を見物できるようになっている。
こんなのがあったのかと、惜しい気分。時間としては今からでも園部発には間に合う。ただ、バスは事前予約制。当日でも空きがあれば飛び込みでもいけるのだろうが、桜が見られる最後の週末、おそらく満席だろう。最初から知っていれば、亀岡と美山町を組み合わせるプランにしてバスの予約をしていたことだろう。まあ、美山町にはこういう行き方があると知ったことで、いつか利用したいと思う。
亀岡市役所前でバスを降りる。時間ができたので亀岡の町を歩くことにする。町の名前は亀岡だが、中心にあるのは丹波亀山城。亀山と言えば三重県のJR西日本と東海の境界で、昔からのジャンクション。某家電メーカーの巨大な工場があるが、あの会社の業績の波も結構激しいものが・・・。

で、亀山城の城下町の亀岡。昔ながらの商店街に加えて多くの寺院が並ぶ。亀山城を築いたのは明智光秀。戦国史上、いや日本史上最大の謀叛人、裏切者扱いをされている明智光秀だが、丹波では英雄である。福知山のキャラクターも光秀をモチーフにしたものだし、事実、領主としての能力や評判も高かったのだろう。亀岡の観光協会も、光秀にも脚光をということで、大河ドラマにしてほしいというキャンペーンを展開している。まあ、それはそれでいいのでは。少なくとも「吉田松陰の妹」や「新島襄の妻」よりは多くの人に受け入れられるのではないか。なぜ本能寺の変が起きたか。いろんな方がいろんな要因を唱えているが、それぞれ一理あると思うし、それらが複合したものだろう。ちょうど、現代の複雑な社会構造の下で悩むエリートにも通じるのでは。
亀山城は明智光秀が討たれた後は豊臣配下の所領となったが、関ヶ原後は山陰道と豊臣秀頼の抑えとして譜代大名が藩主となった。ただ、国替えも頻繁に行われて藩主の家もころころ替わったから、歴史上最も名のある城主は明智光秀ということになる。
明治維新以降、全国の城は軍事拠点、行政施設、史跡、学校、公園などの形で保存されたものも多いが、朽ちてなくなったものも多い。そんな中で、亀山城は何と宗教の本拠地になっている。それが大本教である。城の敷地に神を祀り、修行の場がある。
大本教・・・日本史の受験勉強でその宗教名と、出口王仁三郎(おにさぶろう)という名前を見たことはあるなというくらいの知識である。新興宗教でも天理教とか金光教などと並んで先発組だったような。
はじめは「由緒ある城が宗教の手に落ちた」と思ったのだが、改めて歴史を見ると、王仁三郎がいたから亀山城が保たれたというくらいのものである。宗教施設だから信者以外は入れなさそうだが、受付で申し出れば、史跡として一部の見学はできるようだ。また、この12日は花見のイベントがある。
西国三十三所のような古来からの仏教寺院や、神社なら何も気にせずに入るのだが、こうした新興宗教の施設は緊張する。駐車場の奥には巨大な建物がある。入り口で信者か否か尋問されたり、無理やり入信や寄付を迫られるのではないかとか、勝手にイメージする。そんな中、京都以外のナンバーのクルマが次々に敷地に入る。私もその合間に入るが、別に信者かどうか訊かれることはなかった。案内のテントで「パンフレットどうぞ」とか、「東日本大震災の復興支援で東北の物産展やってます、いかがですか?」とか、普通の対応である。
石垣を見ながら進むと新しい造りの拝殿がある。その前ではお茶の振る舞いがあり、拝殿からは謡曲が聞こえる。入場も自由のようだ。
その前にお参り。作法は、軽く一礼、深く一礼、四拍手、深く一拝、最後に一礼というもの。出雲大社のようだ。そして拝殿に入る時には神官からお祓いを受ける。古来からの仏教や神道とさほど変わるものではない。
中には能舞台があり、そこでは謡曲の上演の最中。少しだけ鑑賞したが、そそくさと出る。

拝殿の前に桜の木がある。特別な意味があるのか、縄で仕切られて御神酒徳利(と呼んでいいのかな)が供えられている。ここに、若者と子どもたちが集まってくる。和服姿の子どもも何人かいて、この後で能舞台に立つのか。すると、この木に向かって整列し、若者のリードで祝詞か誓願か(こういう呼び方でいいのかな)を唱和し、「二礼四拍手一拝一礼」する。この子どもたちの唱和もちゃんとしていて、一家揃って大本教の信者なのかなと思う。
現在、大本教の信者がどのくらいいるかは私も調べる必要があるが、設立された明治大正期は結構勢いがあったそうである。司馬遼太郎『坂の上の雲』の主人公の一人、秋山真之も入信するなど、軍部にも信者、支持者が結構いたようだ。その反動なのか、大本教は戦前二度に亘り大弾圧を受けている(大本事件)。
そのことを書いた『大本襲撃』という著作の文庫版を、この日の帰りに梅田の紀伊國屋書店で購入した。著者は、元毎日新聞記者の早瀬圭一氏。『無理難題「プロデュース」します』の著者でもある。まだ「つん読」状態だが、こういうところから大本教についてもう少し見ようと思う。
肝心の亀岡の人たちは、大本教についてどんな想いを持っているのかな。町そのものが天理教で発展した天理市のようなものなのか、真逆で忌まわしい存在なのか。はたまた、別にどちらでもないとか・・・。
前の記事で書いた心学の石田梅岩も含めると、明智光秀、出口王仁三郎、大本教と、亀岡は結構濃い。この町の居酒屋などで歴史思想宗教の話をすれば、泥沼のように話が広がり、収拾がつかないかもしれない。
さて、この辺りで今回のコラボイベントに目を向けることにする。駅窓口でJRの西国三十三所のスタンプをいただき、向かうは隣の馬堀駅・・・。
これがクルマでの巡礼、あるいは徒歩でもその日のうちに善峯寺や総持寺を回ることができるが、私の回り方だと亀岡だけで一枠である。そのわけは、また次の記事で書くことになる。
穴太寺からは仁王門から伸びる参道を歩き(参道と言っても商店はわずかばかりで、のんびりした田園風景が広がる)、京都学園大学に近いバス停から亀岡駅行きのバスに乗る。車内に、かやぶきの里で有名な美山町への往復バスの広告がある。JR園部駅から、途中スポットに立ち寄りながら美山町を見物できるようになっている。
こんなのがあったのかと、惜しい気分。時間としては今からでも園部発には間に合う。ただ、バスは事前予約制。当日でも空きがあれば飛び込みでもいけるのだろうが、桜が見られる最後の週末、おそらく満席だろう。最初から知っていれば、亀岡と美山町を組み合わせるプランにしてバスの予約をしていたことだろう。まあ、美山町にはこういう行き方があると知ったことで、いつか利用したいと思う。
亀岡市役所前でバスを降りる。時間ができたので亀岡の町を歩くことにする。町の名前は亀岡だが、中心にあるのは丹波亀山城。亀山と言えば三重県のJR西日本と東海の境界で、昔からのジャンクション。某家電メーカーの巨大な工場があるが、あの会社の業績の波も結構激しいものが・・・。


亀山城は明智光秀が討たれた後は豊臣配下の所領となったが、関ヶ原後は山陰道と豊臣秀頼の抑えとして譜代大名が藩主となった。ただ、国替えも頻繁に行われて藩主の家もころころ替わったから、歴史上最も名のある城主は明智光秀ということになる。
明治維新以降、全国の城は軍事拠点、行政施設、史跡、学校、公園などの形で保存されたものも多いが、朽ちてなくなったものも多い。そんな中で、亀山城は何と宗教の本拠地になっている。それが大本教である。城の敷地に神を祀り、修行の場がある。
大本教・・・日本史の受験勉強でその宗教名と、出口王仁三郎(おにさぶろう)という名前を見たことはあるなというくらいの知識である。新興宗教でも天理教とか金光教などと並んで先発組だったような。
はじめは「由緒ある城が宗教の手に落ちた」と思ったのだが、改めて歴史を見ると、王仁三郎がいたから亀山城が保たれたというくらいのものである。宗教施設だから信者以外は入れなさそうだが、受付で申し出れば、史跡として一部の見学はできるようだ。また、この12日は花見のイベントがある。






現在、大本教の信者がどのくらいいるかは私も調べる必要があるが、設立された明治大正期は結構勢いがあったそうである。司馬遼太郎『坂の上の雲』の主人公の一人、秋山真之も入信するなど、軍部にも信者、支持者が結構いたようだ。その反動なのか、大本教は戦前二度に亘り大弾圧を受けている(大本事件)。
そのことを書いた『大本襲撃』という著作の文庫版を、この日の帰りに梅田の紀伊國屋書店で購入した。著者は、元毎日新聞記者の早瀬圭一氏。『無理難題「プロデュース」します』の著者でもある。まだ「つん読」状態だが、こういうところから大本教についてもう少し見ようと思う。
肝心の亀岡の人たちは、大本教についてどんな想いを持っているのかな。町そのものが天理教で発展した天理市のようなものなのか、真逆で忌まわしい存在なのか。はたまた、別にどちらでもないとか・・・。
前の記事で書いた心学の石田梅岩も含めると、明智光秀、出口王仁三郎、大本教と、亀岡は結構濃い。この町の居酒屋などで歴史思想宗教の話をすれば、泥沼のように話が広がり、収拾がつかないかもしれない。
さて、この辺りで今回のコラボイベントに目を向けることにする。駅窓口でJRの西国三十三所のスタンプをいただき、向かうは隣の馬堀駅・・・。