この日二度目のあわら湯のまち駅下車。途中下車して、日帰り施設での入浴が目的である。
駅前には足湯や屋台村のある広場が整備されており、その一角に伝統的な建物と一組の像がある。藤野厳九郎博士と中国の作家・魯迅の若き日の像である。また建物は、三国にあった旧居を記念館として移築したものである。魯迅が若い頃医学を志して仙台に留学した時、仙台医専にて解剖学を担当したのが藤野博士。厳しい教授として勉強に不熱心な学生には嫌われていたが、魯迅のノートをきちんと添削するという面も持っていた。魯迅が留学した当時は日清・日露戦争を経て日本がアジアで台頭しつつあった頃で、日本人の中には中国(清国)人を見下す、差別する風潮があった。藤野博士はそうした○○人というのは関係なく、教育者として公平に接した(だから、ノートも厳しく添削した)ということで魯迅の中にも強く印象に残っており、この出会いを「藤野先生」という作品とした。
以前に初めて芦原温泉を訪ねた時にこの記念館を見つけ、「なぜ芦原温泉で魯迅?」と思ったのだが、記念館に入って納得した。藤野博士が三国出身であり、また医専を辞してからは故郷に戻って医者として地域の人たちに慕われたからである。残念ながら年末年始休館で今回は入れなかったが、中には二人の交流をうかがえる書簡なども展示されており、なかなか興味深いものである。
ここから徒歩でセントピアあわらに向かう。芦原温泉の日帰り入浴施設で、宿泊客以外も利用できる。大晦日のこの日は18時で閉館とあり、16時過ぎだとまだ間に合う。ただロッカーの数で人数が限られるため、しばし待つことになった。やはり年内最後ということで大勢訪れるのだろう。
ここは「天の湯」と「地の湯」の二種類の浴場があり、月ごとに男女が入れ替わる。前回は「天の湯」だったが今回は「地の湯」。5分ほどでロッカーの空きが出て中に入ることができたが、今度は洗い場で待つ。もっとも、その後に入った浴槽は広く、大勢の入浴客がいるといってもそうストレスは感じない。
風呂から上がってしばし休憩コーナーで憩う。思うに、ここが混雑の原因なのかなと思う。よくあるのが「入浴後はロッカーの鍵をフロントにお返しください」というものだが、ここはロッカーの鍵も下駄箱の鍵も共通となっている。鍵を返すとロビーで休憩もできないため、鍵を持ったままという客も多い。まあ普段はこれで足りることで、年末だから混んでいるというのが大きいのかな。
しばらく休憩して外に出ると日はすっかり暮れ、また大雨になっていた。慌てて折り畳み傘を取り出す。今夜はこのまま降り続けることになるのかな。えちぜん鉄道で福井に向かうが、まだ時刻は18時前というのに辺りは真っ暗である。沿線は大きな道路が近いわけでもなく、道路脇の店のネオンも見えない。
福井に到着。いつもの旅ならここから居酒屋探しとなるのだが、年末で休んでいる店もあるだろうし、その前に今夜は部屋でゆっくりしたいということで、食料だけ買い込んで今夜の宿である福井フェニックスホテルにチェックイン。フロントには大きく「鳳凰」の文字。部屋も机とは別にテーブルがあり、ゆったりしている。
大晦日ということでどのテレビを見るかというところだが、福井は民放のチャンネルが日本テレビ系の福井放送とフジテレビ系の福井テレビの2局しか ない。紅白を除けば、ダウンタウンか格闘技か。後はBSか。まあ、普段からあまりテレビを見ないこともあるが、ダウンタウンよりは格闘技のほうがまだいいか。一般の家庭ではテレビ環境をどう克服しているのだろうかと思う。ケーブルテレビに入っているのかな。
こういう「チャンネル格差」というのが今も存在するというのが、「地方創生」を謳うなら何らかの手をつけなければならない問題だと思う。これは勘ぐり過ぎだろうが、福井にあるテレビが日本テレビ(読売)系とフジテレビ(産経)系というのは、今の自民党政権にとってはまことに都合のいい配置ではあるな・・・・。
そんな中で夕食である。高級な越前ガニには手は出せないが、駅弁ならどうか。福井の駅弁で有名なのはかにめしであるが、今回駅で見つけたのは冬季限定の「越前ちゅんちゅんかにめし」。紐を引っ張って発熱させるというタイプ。これまで牛肉の弁当でこのタイプに出会ったことはあるが、カニは初めて。普通のかにめしも美味しいが、こうして温めるとカニの香ばしさがより漂ってくる。カニの釜飯、あれですな(ただ混雑する列車で食べるのは勇気がいるが)。
今回はもう一品、駅弁ではないが駅構内の土産物コーナーでのこちら。メスのズワイガニであるセコガニの内子、外子、脚をまるまる一杯分使ったちらし寿司。先のかにめしよりも贅沢な一品である。セコガニは漁の期間がオスより短いため、より希少価値がある。
後はアテとしてカニ味噌、そして福井の郷土料理に欠かせない鯖のへしこ。福井名物は他にもいろいろあるが、カニと鯖の両エースを押さえれば大満足である。
格闘技では把瑠都や曙といった相撲出身者の試合を見たが、今夜はこのまままったり年越し・・・とはいかない。どころか、これからの時間のために福井に宿泊したようなものである。22時を回ったところでホテルを出て、再びえちぜん鉄道の乗り場に向かう・・・。
駅前には足湯や屋台村のある広場が整備されており、その一角に伝統的な建物と一組の像がある。藤野厳九郎博士と中国の作家・魯迅の若き日の像である。また建物は、三国にあった旧居を記念館として移築したものである。魯迅が若い頃医学を志して仙台に留学した時、仙台医専にて解剖学を担当したのが藤野博士。厳しい教授として勉強に不熱心な学生には嫌われていたが、魯迅のノートをきちんと添削するという面も持っていた。魯迅が留学した当時は日清・日露戦争を経て日本がアジアで台頭しつつあった頃で、日本人の中には中国(清国)人を見下す、差別する風潮があった。藤野博士はそうした○○人というのは関係なく、教育者として公平に接した(だから、ノートも厳しく添削した)ということで魯迅の中にも強く印象に残っており、この出会いを「藤野先生」という作品とした。
以前に初めて芦原温泉を訪ねた時にこの記念館を見つけ、「なぜ芦原温泉で魯迅?」と思ったのだが、記念館に入って納得した。藤野博士が三国出身であり、また医専を辞してからは故郷に戻って医者として地域の人たちに慕われたからである。残念ながら年末年始休館で今回は入れなかったが、中には二人の交流をうかがえる書簡なども展示されており、なかなか興味深いものである。
ここから徒歩でセントピアあわらに向かう。芦原温泉の日帰り入浴施設で、宿泊客以外も利用できる。大晦日のこの日は18時で閉館とあり、16時過ぎだとまだ間に合う。ただロッカーの数で人数が限られるため、しばし待つことになった。やはり年内最後ということで大勢訪れるのだろう。
ここは「天の湯」と「地の湯」の二種類の浴場があり、月ごとに男女が入れ替わる。前回は「天の湯」だったが今回は「地の湯」。5分ほどでロッカーの空きが出て中に入ることができたが、今度は洗い場で待つ。もっとも、その後に入った浴槽は広く、大勢の入浴客がいるといってもそうストレスは感じない。
風呂から上がってしばし休憩コーナーで憩う。思うに、ここが混雑の原因なのかなと思う。よくあるのが「入浴後はロッカーの鍵をフロントにお返しください」というものだが、ここはロッカーの鍵も下駄箱の鍵も共通となっている。鍵を返すとロビーで休憩もできないため、鍵を持ったままという客も多い。まあ普段はこれで足りることで、年末だから混んでいるというのが大きいのかな。
しばらく休憩して外に出ると日はすっかり暮れ、また大雨になっていた。慌てて折り畳み傘を取り出す。今夜はこのまま降り続けることになるのかな。えちぜん鉄道で福井に向かうが、まだ時刻は18時前というのに辺りは真っ暗である。沿線は大きな道路が近いわけでもなく、道路脇の店のネオンも見えない。
福井に到着。いつもの旅ならここから居酒屋探しとなるのだが、年末で休んでいる店もあるだろうし、その前に今夜は部屋でゆっくりしたいということで、食料だけ買い込んで今夜の宿である福井フェニックスホテルにチェックイン。フロントには大きく「鳳凰」の文字。部屋も机とは別にテーブルがあり、ゆったりしている。
大晦日ということでどのテレビを見るかというところだが、福井は民放のチャンネルが日本テレビ系の福井放送とフジテレビ系の福井テレビの2局しか ない。紅白を除けば、ダウンタウンか格闘技か。後はBSか。まあ、普段からあまりテレビを見ないこともあるが、ダウンタウンよりは格闘技のほうがまだいいか。一般の家庭ではテレビ環境をどう克服しているのだろうかと思う。ケーブルテレビに入っているのかな。
こういう「チャンネル格差」というのが今も存在するというのが、「地方創生」を謳うなら何らかの手をつけなければならない問題だと思う。これは勘ぐり過ぎだろうが、福井にあるテレビが日本テレビ(読売)系とフジテレビ(産経)系というのは、今の自民党政権にとってはまことに都合のいい配置ではあるな・・・・。
そんな中で夕食である。高級な越前ガニには手は出せないが、駅弁ならどうか。福井の駅弁で有名なのはかにめしであるが、今回駅で見つけたのは冬季限定の「越前ちゅんちゅんかにめし」。紐を引っ張って発熱させるというタイプ。これまで牛肉の弁当でこのタイプに出会ったことはあるが、カニは初めて。普通のかにめしも美味しいが、こうして温めるとカニの香ばしさがより漂ってくる。カニの釜飯、あれですな(ただ混雑する列車で食べるのは勇気がいるが)。
今回はもう一品、駅弁ではないが駅構内の土産物コーナーでのこちら。メスのズワイガニであるセコガニの内子、外子、脚をまるまる一杯分使ったちらし寿司。先のかにめしよりも贅沢な一品である。セコガニは漁の期間がオスより短いため、より希少価値がある。
後はアテとしてカニ味噌、そして福井の郷土料理に欠かせない鯖のへしこ。福井名物は他にもいろいろあるが、カニと鯖の両エースを押さえれば大満足である。
格闘技では把瑠都や曙といった相撲出身者の試合を見たが、今夜はこのまままったり年越し・・・とはいかない。どころか、これからの時間のために福井に宿泊したようなものである。22時を回ったところでホテルを出て、再びえちぜん鉄道の乗り場に向かう・・・。