まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第20番「善峯寺」~西国三十三ヶ所めぐり2巡目・10(トレッキングポールの効果は・・?)

2016年12月14日 | 西国三十三所
12月14日~15日といえば、「時は元禄十五年~」と語られる赤穂浪士の討ち入り、忠臣蔵である。それにちなんで、先日は古舘伊知郎が当時の吉良亭からの実況風に討ち入りをテーマとした番組があったり(これはなかなか面白かった)、14日は赤穂で義士祭が行われたり。私が回っている新西国三十三所の札所の一つに赤穂の花岳寺があるのだが、これまで次の札所を決めるくじ引きでは何度も出たにも関わらず、サイコロの目に当たらない。今回記事にしている楊谷寺~善峯寺のお参りが、花岳寺だったらネタとしてはぴったりだったと思うが・・・。

まあ、「元禄15年12月14日~15日」というのは旧暦のことで、これを現在の太陽暦に置き換えると「1703年1月30日」なのだそうだ。ならば1月末に赤穂に行くほうが理にかなっている・・・というものでもないようだ。1月末に行っても赤穂で特別なことをしているわけでもないし、歴史ファン、忠臣蔵ファンの方からすれば、旧暦だろうが新暦だろうが「12月14日」というのが重要なのだろう。実際、それに敬意を表してイベントをやっている、大阪市内の立ち飲みチェーンの「赤垣屋」というのもあるくらいだ(今年は別に行ってません)。

・・・例によって話がそれたところから始まる記事だが、11日に楊谷寺を訪ねて、次は善峯寺まで西山古道を歩くことにする。楊谷寺の山門から少し戻った第二駐車場にフェンスがある。「私有地立入禁止」の看板はあるが、その横に小さくハイカー向けのチェーンがある。ここを通ってもいいが、チェーンは確実にしてくださいということである。これは野生動物を防ぐためか。熊への注意を呼びかける看板もある。以前、箕面の勝尾寺の旧参道を歩いた時に、その入り口に同じようなフェンスがあったのを思い出す。

フェンスをくぐってチェーンを巻き、少し行ったところにも同じようなフェンスがあり、同じ動作をする。ここからが最近整備しなおした西山古道に合流する。善峯寺までの道のり、道標もあるし何とかなるだろう。

まずは下り道。横を沢が流れており、歩道との区別がつきにくい。その中をまずは歩く。

今回、先の記事にも書いたが新たにトレッキングポールをリュックにくくりつけてきた。それを、西山古道を歩くに当たり取り出す。持参する時はコンパクトだが、最大で120cmまで伸ばすことができる。私が四国に持って行く金剛杖は長尺版の146cmなのでそれよりも短いが、山の中を歩くにはこのくらいの長さで十分である。

このトレッキングポールだが、グリップの形状によって「I型」「T型」などの区別がある。私も購入時に迷ったところである。現在の主流は、「I型」を2本セットでそれぞれの手に持ち、両手の力で歩くのが効果的とされている。その一方で「T型」は、昔のお年寄りが使うような杖に近い形状だが、下りの時に体重をかけやすく、負担が軽減されるという利点があるとされる。私個人としては、山や坂歩きの時には下りで悩まされることが多く、それを考えれば「T型」が適している。ただ一方で、最近の主流が「I型」であり、下りの時も「I」の字のてっぺんを包むように握って下れば大丈夫というコメントもある。

それを迷いつつ実際にモンベルの売り場に行くと、「2WAY」というのを見つけた、「T型」「I型」それぞれにグリップがある造りである。どちらかの形状の1本よりは1000円以上高いが、両方の使い方ができるのならとこれを買い求めた。見る人が見ればどっちつかずで中途半端な代物かもしれないが・・・。

その中で最初は下りである。まずはポールを使いつつ歩く。最初だし、このくらいの勾配なら下りでもポールなしでも行ける感じである。

かと思うと今度は上りに転じる。四国の「遍路ころがし」のような急勾配ではないのでまだ楽だが、それでも普通の平坦な道を歩くよりはしんどい。息を切らせながら、今度はポールの「I型」のグリップを使って身体を押し上げるようにする。

この古道はまずは尾根道を歩くようで、両側に下りがある中を歩く。ところどころには周りに生えている草木の名前を記した札がある。その中でも、低く生えているシダ植物のようなものが続いていく。西山古道はそれほどメジャーな道ではないのか、すれ違う人もいない。時折、この道で合っているのかと不安になるのだが、そういう気持ちになったところで地元のNPOが立てた道標に出会う。少しほっとする。

途中、軽トラなら十分通れるくらいに道幅が広がる。麓から続く道だろうか。そのまま進むと送電線が走っているところに出て、これが展望台になっている。送電線を伸ばすために切り開いたのだろうが、左手には京都方面、右手には高槻方面の展望が広がる。これにはまずうなってしまう。淀川流域の向こう側の山々もばっちりと見える。

その後進むとヒノキ林に入り、まだ新しい感じの木製のベンチのある広場に出る。大沢というところで、各方向への登山ルートの交差点のような位置である。一旦ベンチにリュックを下ろして休憩する。ここは「京青の森」というところである。ここから下りに転じて少し進むと、前方から木を打つ音が聞こえてくる。NPOの方だろうか、木のベンチを造るために金づちを打っている。こうした地元の人たちの力で、こうしたウォーキングコースが維持されているのだなと感心する。途中の道標を立てたり、坂道に階段状に板を打ちつけているのもその現れである。

さて京青の森から少しずつ下り基調になる。ところどころでは以前の豪雨の影響か、歩道が崩れた跡が残っている。ところによっては歩道の幅が私の肩幅より狭く、一歩踏み外せば崖を転がり落ちかねないというのもあった。トレッキングポールの力を借りつつ何とか通過する。こういうのも含めて、3本目、4本目の足として機能するポールや杖は必要なものだと感じる。

危険防止だけでなく足の痛みを予防するために購入したポールだが、歩くうちにやはり左膝の後ろがピリッと来てしまった。と言ってもひどいものではなく、歩く分には何とかなる程度である。少しずつ善峯寺までの距離が近づき、ところどころの道標で気持ちを切り替えていく。

善峯寺の展望所に続くポイントに着いた。少し横道に入るが、そこを行くとちょうど善峯寺の境内を右手(南西側)から眺めることができる。もちろん前回はこの位置からの眺めを見ることはなかったので新鮮な感じである。立派な山寺だなと感心する。

ここまで来れば後の道のりは早く感じることができて、境内の奥の駐車場入り口から境内に入る。楊谷寺から1時間半弱の歩きであった。天候にも恵まれたし、途中では良い眺めを楽しむこともできた。新西国の札所と西国の札所を歩いて結ぶということでそれほど有名なコースではないのかもしれないが、素朴な感じも残す古道であった。

駐車場から一旦正面の山門に行き、入山料を支払う。この日後半の目的地である・・・・。
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