牟岐線の新野から海部行きに乗る。2両で10数人の乗客である。後ろの車両に乗ったが、これは途中の牟岐で切り離すという。

夏の間だけ臨時駅となる田井ノ浜を通過する。牟岐線はシーサイドラインの愛称がつけられているが、海が見えるのもわずかな区間である。それだけ険しい地形を行く路線である。早朝に来た日和佐を8時24分に発車。ここが最寄りの第23番の薬王寺はまたも素通りとなるが、この夜の初詣でお参りすることにしている。

牟岐に到着。下車客も多く、車内は一桁の乗客となった。年末年始はローカル線といえども青春18の乗客で混む列車もあるのだが、牟岐線は行き止まりの路線ということでなかなかそうはいかないのだろう。
終点海部に到着し、反対側のホームの阿佐海岸鉄道の列車に乗り換える。こちらも先客を入れて一桁の乗客である。車両は昨日乗ったのと同じもの。阿佐海岸鉄道は保有車両は2両しかなく、1両が一日中行ったり来たりしている。稼働していないもう1両は何かの時の控えのようだ。もう1両の車両にもイルミネーションが施されていて、整備の人が手作業でLED電球を取りつける様子が阿佐海岸鉄道のホームページでも紹介されていた。ちなみにイルミネーション列車は1月5日までの運行で、この記事を書いている時点でもう終了しているのでご注意を。
海部を9時12分に発車し、連続するトンネルでは青と白のイルミネーションに彩られる。終点の甲浦までは11分。やはり全線乗ってもそれだけの時間とは、鉄道としての規模の小ささを改めて感じる。これでは、いかに経営努力をしようにも収入の増加につなげるのは難しそうだ。高架の線路が中途半端なところで切られたようになっているのももの悲しい。今さら室戸経由の阿佐線建設はできない話だが、土佐くろしお鉄道との経営統合というのも考えたほうがよいのではと思う。
さてその両区間を結んでいるのは高知東部交通の路線バスである。このうち甲浦から室戸までは1日6往復で、これから乗る9時59分発を逃すと2時間待ちとなる。ちなみに室戸から先の安芸までは1時間に1本の割合で出ている。私のこの先の行程は、室戸岬までバスで行き、第24番の最御崎寺を訪ねる。その後の室戸市内の第25番の津照寺、第26番の金剛頂寺は、バスを少しずつ乗って回り、最後は金剛頂寺最寄りの元橋を16時20分に出るバスで一気に甲浦まで。後は鉄道乗り継ぎで連泊の日和佐に戻る。





甲浦からのバスまで少し時間があるので、駅の横にある八幡宮にお参りしたり、駅舎内でパンフレットなど見ながら時間を過ごす。やたら高知の内容が多いなと思うが、手前の宍喰までは徳島県だったが、甲浦は高知県の東洋町である。おおっ、まだ徳島県の札所は残っているが、ここで高知の地を踏んだことで、私の四国八十八所めぐりも第2ステージに入った感がある。金剛杖に貼った四国アイランドリーグのマスコットも、インディゴソックスの蜘蛛からファイティングドッグスの闘犬に替わる。




安芸行きのバスが到着した。ここから乗るのは私の他に二人。いずれも旅行者の格好である。しばらく走ると55号線に入り、早速海岸沿いを走る。この時間は太陽も照りつけ、バス内も暖房が入っているので暖かいを通り越して暑いとすら感じられる。ただバスはそんな感じだが、途中で歩き遍路を追い越す場面もある。あの人は国道を走るバスを見てどのような心境なのかなと思う。
そんな歩き遍路の中でも、室戸まで全て歩くのではなく一部はバスに乗ろうという向きもあるようだ。途中、集落が切れたところからバスに乗った人がいた。バスから見るぶんには絶景の区間は乗っていたが、再び集落に入ると、観光スポットでもないバス停で降りていった。

別にその人と会話しなかったので何とも言えないが、一連の動きを見て、なるほどと思った。これは甲浦駅に地元新聞の切り抜きか貼られていたのを見たのだが、55号線の中でも景色が特によいとされているこの区間に「海の遊歩道」を造ってほしいという記事があった。記者は歩き遍路で四国を回ったそうだが、その中で、室戸までの区間の歩道の整備が十分でないことを残念がっていた。地形や安全性のこともあるのだろうが、海側は車道のみ、歩道は山側に細くあるだけだ。
これはバスに乗っている私もわかる。また、クルマで移動する方も実感するところではないだろうか。景色がいいからといっても、ちょっと路肩に寄せて写真でも撮ろうかというスペースはない。交通量はそれなりにあるので停車することもはばかられる。先ほどこの区間だけバスに乗った人も、歩き疲れたり時間短縮の意味もあるだろうが、歩行者に厳しい区間だという情報があったのかな。乗り合わせた地元の人にやたらバス停の名前を確認していたから、そうした情報が出回っているのかもしれない。
いくつかの集落と海岸を抜けるうちに、室戸のエリアに入った。夫婦岩に代表される奇岩や、室戸海洋深層水の拠点などが車窓に見え、オーシャンビューを売りにする宿泊施設も出てきた。そんな中、大師像前のバス停で下車した。ここで上着を脱いで再び白衣姿となる。すぐのところに真っ白な大師像が太平洋に向かってそびえ立つ。なおこの像は、麓にある明星来影寺のシンボルマークというが、実際に来てみると、大師像そのものは立派だとしても、必要以上に拝むものでもないかなと感じる。


まずは室戸の奇岩を見る。弘法大師が行水したとされるところも。


そしてやって来たのが御厨人窟(みくろど)と神明窟。弘法大師がここに住み着いて修行し、難行の時に明星が口に飛び込んで悟りを得たとされている。御厨人窟から見える景色は空と海だけで、そこから空海の名前をつけたとされる由緒あるところである。四国八十八所の遍路、巡拝の人たちの憧れの場の一つと言える。
ただ、今は洞窟の中に入ることができない。長年の風雪で落石の恐れがあり、安全確保のためという。立ち入らないようにフェンスが張られて、監視の人もいる。普通の洞窟ならコンクリートで補強工事をするのは簡単だが、弘法大師のそうしたゆかりのところとあればなかなか手をつけることもできないようだ。次年度あたりからぼちぼち工事するような看板はあったが・・・。
さらに岬方面に歩くと、室戸岬灯台、そして最御崎寺方面への遍路道が出ている。こちらに回ると中岡慎太郎像のある岬の先端に行くことができなくなるが、今回は直接寺に向かうこの道を上ることにする。八十八所めぐりとしては室戸岬は今回でクリアだが、おそらくもう一度、この地を回ることになるはずである・・・。






さてその両区間を結んでいるのは高知東部交通の路線バスである。このうち甲浦から室戸までは1日6往復で、これから乗る9時59分発を逃すと2時間待ちとなる。ちなみに室戸から先の安芸までは1時間に1本の割合で出ている。私のこの先の行程は、室戸岬までバスで行き、第24番の最御崎寺を訪ねる。その後の室戸市内の第25番の津照寺、第26番の金剛頂寺は、バスを少しずつ乗って回り、最後は金剛頂寺最寄りの元橋を16時20分に出るバスで一気に甲浦まで。後は鉄道乗り継ぎで連泊の日和佐に戻る。











そんな歩き遍路の中でも、室戸まで全て歩くのではなく一部はバスに乗ろうという向きもあるようだ。途中、集落が切れたところからバスに乗った人がいた。バスから見るぶんには絶景の区間は乗っていたが、再び集落に入ると、観光スポットでもないバス停で降りていった。











