まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第6回四国八十八所めぐり~第24番「最御崎寺」

2017年01月11日 | 四国八十八ヶ所
室戸岬にある最御崎寺(ほつみさきじ)には以前にも来たことがある。最初は社会人になって間もない頃で、週末の休みを利用してJR乗りつぶしと路線バスでの徳島~高知への路線バスの旅行で来た。その頃はユースホステルの会員でもあったので、最御崎寺の宿坊「へんろセンター」に泊まった。3人部屋を一人で使ったり、夕食に鰹のタタキが出たり、プロ野球のオールスター戦をテレビで観た記憶がある。その後は宿泊の機会はないものの、ドライブで立ち寄りでお参りしたことがある。ただいずれにしても、その時は四国八十八所を(公共交通機関利用ではあるが)回ることになるとは思っていなかったし、まして遍路道を歩いて上ることになるとは思っていなかった。

ガイドブックではバス停から徒歩20~30分とある。ただここに来るまでに回った22番の平等寺のように駅から平坦な道を25分歩くのとは違い、小高い山を上るのである。室戸岬に行かれたことのある方ならご存知だと思うが、奇岩が広がる室戸岬から振り返って中岡慎太郎の像を見ると、背後が小高い山になっている。それを上ったところに最御崎寺がある。何かの慰霊碑の横手の階段を上がる。途中から勾配もきつくなる。徒歩20分とあるからその時間をこらえればいいのだが結構きつい。やはり四国遍路の寺というのは山上りが避けて通れないのかなと思う。まあ、弘法大師が寺を開創した時は室戸岬を回る国道などなかったわけで、海べりの厳しい道を歩いた後でようやく高いところに上がることができると安心できたのかもしれない。

この最御崎寺を「ほつみさきじ」と呼ぶのは、「ほつ」は「火つ」、御崎は「岬」で、海に向かって火を焚いて修行をしたところというのが由来だとされている。また通称では「東寺(ひがしでら)」というそうだ。東があるなら西もあるわけで、それがこの後で訪ねる26番の金剛頂寺、「西寺(にしでら)」という通称がある。

少し息が上がったところでようやく最御崎寺の山門に出た。時間は20分を少し切るところ。初めて白衣を着けて山門をくぐる。境内にはクルマで四国巡拝をしているスタイルの人と、室戸岬のドライブという格好の人たちがまじっている。本堂の途中にある鐘石でキーンという金属音を鳴らした後で、本堂にお参りする。ドライブの客が「最御崎寺」の立札をバックに記念撮影するが「これ、何て読むんだろう?」「さいぎょさきてら?」などと言っている。ここの本尊は弘法大師が求聞持法の修行をしたこともあり、虚空蔵菩薩である。

お参りをした後、寺から50mほどのところにある室戸岬灯台に向かう。時刻はちょうど12時になるところで、太陽は南にある。室戸岬という南に向かっている岬の先端で南に太陽を見るとは、タイミングがいいなと思う。見方を変えれば、2016年の大晦日もあと半日、これから太陽が見られるのはあと数時間ということで、その中で残り2つの札所を回るわけだが・・。それにしても天候がよい。風も穏やかで、白衣姿でも寒さを感じないところである。

帰りは自動車の道を通って海岸べりまで下りることにする。クルマで来た時にはヘアピンカーブが続く区間だが、歩きだと室戸の町を見下ろすことができるいい眺めである。遍路道よりは距離があるが、歩くにはちょうどよいくらいの勾配で、これなら膝の後ろがピリッと来ることはないだろう。結構距離があるように思えたが、駐車場から海岸べりまで15分で下ることができた。

当初の計画では室戸岬を12時39分に出るバスで室戸まで移動し、次の札所である25番の津照寺に向かうようにしていたが、バスが来るまで時間はある。また、ここから札所までの区間、そして甲浦までの戻りのバスまでの時間を考えると、津照寺まで歩いてもいいのではないかと思う。距離は5~6キロというところで、歩きの所要時間は1時間あまりというところか。海を見ながらの歩きもいいかなということで、国道55号線の側道を金剛杖を突いて歩き始める・・・。
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