まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第27番「鶴林寺」~新西国三十三所めぐり・26(「西の法隆寺」も実は・・・)

2017年02月04日 | 新西国三十三所
何やら鉄道ネタの記事になった前回の続きで、鶴林寺の山門に着く。

新西国三十三所は聖徳太子の「和の道」もベースにしているということを触れているが、鶴林寺は太子建立の七大寺の一つとされている。太子は当時播磨にいた高句麗の僧・恵便を慕って仏の教えを受け、そのお礼とこの地での仏教興隆のために寺を建てたとされている。ただしこれは伝承で、史実とは合わない話とする説もあるようだ。それでも、太子が推古天皇から播磨に土地をいただいたという史実はあるようで、いずれにしても太子ゆかりの地の一つであることは間違いないとされている。

現在の鶴林寺という名前は、平安末期に鳥羽天皇の勅願所になってからつけられたそうだ。鶴林寺と聞いて思い浮かべるのは、四国八十八所20番、阿波の勝浦にある札所であるが、別にその寺との因果関係があるわけではないようだ。縁起が良いとつけた名前がたまたま同じというだけのことだろう。

前日の1月8日は修正会(鬼追い)という行事で、多くの人で賑わったというが、この日はごく普通の境内である。山門をくぐったところで入山料と宝物館の入館料のセット800円を納める。「降ってきましたねえ」と係の人に声をかけられる。まあ、変わりやすい天気の中での雨だし、まずは正面の本堂まで行けばいいので、傘はささずにそのまま駆け込む。靴を脱いで本堂に入る。室町時代の建造で、和様と大仏様(禅宗様)が折衷した独特の構造という。で、国宝。

ちょうど地元のボランティアガイドの方がいて、案内しようかと声をかけられるが、申し訳ないがお断りした。これからお勤めもするし、やはり自分のペースで回りたいなと思う。

本堂は天井が高く、外陣にも長椅子が並べられて多くの参詣者を受け入れることができる開放的な感じである。一方で内陣との間は格子で仕切っている。その奥に祀られている本尊は秘仏の薬師如来。またも新西国の観音霊場というグループから離れているが、どもかくお勤め。

本堂の中に納経所があり、ともかく新西国の納経帳に朱印をいただく。一緒に写っているのは、鶴林寺のマスコットキャラクター「聖太くん」で、聖徳太子の少年時代をモデルにしたとされている。

本堂の右手には太子堂がある。内部は公開していないが、釈迦三尊像を祀り、聖徳太子の壁画像がある。こちらも国宝の建物である。

さらにその右手に観音堂がある。鶴林寺が新西国の一つに選ばれている根拠は一応ここにある。ここは上がれるようになっており、先ほどと同じくここでもお勤めとする。

境内の奥には立派な宝物館がある。太子堂の壁画の様子を再現した展示や、聖観音立像、聖徳太子絵伝など、文化財的に価値の高いものが安置されている。この辺りを見ると「西の法隆寺」と称されるのもわかる。管理体制もしっかりされているようだ。

しばらく見物して出ようとすると、最後に阿弥陀三尊の掛け軸の紹介が目に留まる。これによると、この宝物館を建てたのは2002年にこの掛け軸が盗難に遭ったことにあるという。

つい先日、対馬の寺から韓国に仏像が持ち去られた事件で、韓国の裁判所がその仏像が14世紀に日本の手で略奪されたものだとして韓国の寺に仏像の所有権があるとする判決が出た。誰がどう見てもおかしな判決だと思うのだが、実は鶴林寺の掛け軸を盗んだのも韓国人の窃盗グループだった。この事件で犯人は逮捕されたが、掛け軸は戻っていない。窃盗ビジネスのルートで転売されたのではないかとされている。何とも、やりきれない話である。

宝物館を出て、今度は境内の反対側にある新薬師堂に向かう。本尊の薬師如来が秘仏のため、いつでも拝めるようにと江戸中期に彫られた薬師如来が安置されている。また薬師如来の周りにはいつも日光・月光菩薩と十二神将という「チーム薬師」が控えているのだが、そのうち一体が「ウインクしている仏像がいる」として、かつてフジテレビの「トリビアの泉」で紹介されたとの説明があった。へぇ~。「トリビアの泉」か。私もかつてこの番組の取材を受けたことがあり、懐かしいなと感じる。

それを受けて次のサイコロである。

1.比叡山(延暦寺)

2.西神明石(太山寺)

3.赤穂(花岳寺)

4.京都市街(大報恩寺、誓願寺)

5.大阪市街(太融寺、鶴満寺)

6.龍野(斑鳩寺)

そして出たのは「3」。加古川からさらに西の播州赤穂である。ここは青春18で来ているのだし、時間的にも昼過ぎなのでこのまま行ってもいいところだ。ただ、ここは惜しいが次の機会とする。やはりメリハリというのもあるが、たまたまこの日はそれなりの時間に大阪に戻る必要があったのでここで折り返すことにしていた。不安定な天気ということもあり、駅まではコミュニティバスで戻る。

そして昼食は駅前の「いろはーず」にて加古川のB級グルメの「かつめし」を初体験。ビーフカツとデミグラスソースがごはんと合うかというところだが、個人的には中途半端な味に思えた。これなら加古川駅にもある姫路の「えきそば」にすればよかったかな。

まあ昼食のことは余談として、これまで新快速で通るか加古川線の乗換駅でしかなかった加古川の隠れたスポットを回ることができた。その点ではなかなかの反日、もとい半日であった・・・・。
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