まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第7回四国八十八所めぐり~安芸の武家屋敷

2017年02月13日 | 四国八十八ヶ所
シーズンオフということで、拙ブログでもこのところ野球のことを書いていないのだが、2月はプロ野球のキャンプ時期である。今年はWBCがあるということで(私の勤務先企業も日本代表のスポンサーである)、出場選手たちの早い調整が注目されている。オリックス・バファローズからは平野投手が選ばれているが、終盤の勝負どころでの登板があるかというところである。

・・・さて、記事の最初に野球の話を持ってきたのは、四国八十八所めぐりで下車した安芸といえば阪神のキャンプ地である。今は一軍は沖縄でキャンプをするようになり、安芸は二軍のみのキャンプ地だが、キャンプ時季となると関西からも大勢のファンが訪れる。今回、1月末というタイミングで私がごめん・なはり線シリーズを直前の体調不良の中「強行」したのも、その期間を避けようという理由からである。

ホームの外れにある側線には気動車が停まっており、そのうちの1両が、本家阪神電車にも見られない黄色のタイガース列車。以前にごめん・なはり線に乗った時にこれに出くわしたことがあり、何ともあきれ返ったのを覚えている。ただ一方で、今回乗ることがないかなと楽しみにしていたこともある。タイガース列車に、バファローズとアイランドリーグのステッカーを貼った金剛杖を持って乗り込むのもしゃれが利いている。ただ、この時間で側線にいるとなるとこの日の稼働はなさそうだ。

改札を出る。これから武家屋敷を目指すが、およそ2キロほどある。好都合にもコインロッカーがあり、リュックは中に入れる。金剛杖はさすがに入らないのでそのまま持参。

駅前には安芸の観光案内の看板があり、弘田龍太郎の紹介がされている。作曲家として数々の童謡を手掛けた人である。また童謡つながりで、作詞家・三木露風の出身地である兵庫県たつの市とは姉妹都市の関係にあるそうだ。

駅の北側の道を杖を突いて歩く。最初は幅が広い道も、昔ながらの集落に入ると狭くなる。ところどころに水切り瓦の造りの家が点在する。農家とか商店のようだが、結構広い範囲に分布しているようだ。

それが急にふっと、格式を思わせるような家々になる。ここからが、土居廓中(どいかちゅう)と呼ばれる土佐藩の武家屋敷群となる。安芸は中世から安芸氏が支配し、その後長宗我部元親を経て、関ヶ原の戦い以降は山内氏の治世に入った。山内氏は長宗我部氏の流れを汲む武士団の反乱に遭ったこともあり、支配を強めるために自身の家臣を上士として土佐の要所に配置し、長宗我部など在郷の武士たちを郷士として差別化した。安芸の土居廓中は、山内氏の家老である五藤氏が形成したものである。

安芸の観光のシンボル的存在である野良時計を外から見た後で、武家屋敷群に入る。瓦で固められた外塀もあるが、生垣で囲まれた屋敷もある。武家屋敷群といっても現在も普通に居住している家がほとんどである。

それらを回るうちに安芸城跡に出る。かつては安芸氏の本拠地だったが、山内氏の土佐藩では家老の五藤氏の屋敷が置かれた。ちなみに、安芸出身で有名な岩崎弥太郎の生家は、土居廓中にはない。それは岩崎家が上士ではなく郷士の家だからだ。逆に、坂本龍馬もそうだが、明治維新や日本の近代化に貢献した人というのが郷士層から出ているということである。

安芸城跡の中に郷土資料館があるが、ここは入らなかった。時間的に、そろそろ昼食をというところである。そこで入ったのが、安芸城跡に近い「廓中ふるさと館」。観光客向けの店だが、ここにしようと決めたのは、安芸の名物であるちりめん丼がメニューにあること。駅のパンフレットにもちりめん丼の店が紹介されているし、海のほうに行けばテレビの旅番組の常連の店があり。まあ、ここは「安芸でちりめん丼をいただいた」ということで。

やって来たのは、ゆでたちりめんじゃこに紫蘇、大根おろしにゆずポン酢をかける一品。これはこれでなかなかのものだった。あとでしまったと思ったのが、かき揚げのちりめん丼のほうがよかったかなと。これは普通のちりめん丼の上にちりめんのかき揚げが乗ったもので、二通りの味が楽しめそうだったので。

これで再び30分歩いて駅に戻る。少し時間があるので、駅に併設された「ぢばさん市場」に入る。安芸や高知の土産物、さらには地元産の農産物や魚、昼食用の弁当や寿司、パンなども豊富に売られている。観光客だけでなく地元の人たちもレジに並ぶ。タイガースグッズもあれこれ並ぶ。

駅の窓口ではごめん・なはり線のグッズが販売されていて、その中に「とうのはま へんろ君」のお守りというのがある。午前中に降りた唐浜駅のキャラクターだが、それをお守りにしている。また、お守りも神峯寺にご祈祷してもらったものという。四国八十八所めぐりのこれまででお守りやお札を納経所で購入したことはないのだが、鉄道の駅で、こうしたところのお守りが頒けられるのも新鮮である。これからの四国八十八所めぐりでも持ち歩くことにする。

乗るのは12時35分発の快速の高知行き。これは次の大日寺最寄りののいち駅に停車するのでいい。発車を待っているとホームの向かいに奈半利からの列車がやってきた。「しんたろう1号」で、オープンデッキつきの車両である。安芸でこちらの快速列車に接続し、12時49分に発車する。あれも一度乗ったことがあるが、オープンデッキで開放的な潮風を受けることができる面白い車両である。時間はあるのだから急いで快速で移動せずにあちらに乗りなおそうかとも思ったが、そうするうちにドアが閉まった。

発車すると次は球場前。この時はまだだったが安芸キャンプの開催地で、球場にかけての道には阪神タイガース歓迎の幟が並び、取材関係者とおぼしきクルマも何台か停まっている。

ごめん・なはり線は高架で建設されたところがほとんどで、だから海岸線の眺めがよい。歩き遍路の方の中にはあえて砂浜を歩く人もいるそうである。夜須駅前の道の駅「ヤシィ・パーク」も大勢のドライブ客で賑わっている。ただ曇り空は続いており、これならオープンデッキ車両に乗っても寒く感じるだけかなと思う。

13時、のいちに到着。高架駅には駅員はいないが売店が併設されている。また駅前には大型ショッピングセンターや郊外店が並んでおり、高知に近いこともあってだいぶ街中に入って来たなと感じさせる・・・・。
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