まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第25番「播州清水寺」~西国三十三所めぐり2巡目・16(気温より涼しい温泉)

2017年08月13日 | 西国三十三所
播州清水寺に到着。昭和40年の台風で全壊し、その後昭和55年にこの場所に新しく建った山門をくぐる。今はほとんどの参詣者がクルマ、もしくは1日2本の路線バスでこの駐車場に来るため、寺のシンボルといってもいいだろう。この日も大阪、神戸は気温が35度近くと暑い日だったが、さすがは山の中である。境内の木陰に入ると少しは涼しく感じる。祝日の「山の日」にふさわしいレベルの登山はしていないが、こうした木々の自然に触れるということで、多少はこの祝日の意義に接することができたかな。

手水で手を清め、まず向かったのは目の前にある薬師堂。こちらも昭和の再建であり、中央の薬師如来像を両側から囲むように十二神将が並ぶ「チーム薬師」のお出迎えである。前回も覚えがあるが、この十二神将は、奈良の「せんとくん」の生みの親でもある彫刻家・籔内佐斗司さんの制作によるものである。十二支が独特のキャラクター的にとらえられているのが面白い。

大講堂に向かう。こちらは靴を脱いで外陣に上がる。格子を隔てた内陣には千手観音が祀られている。西国札所としてはここが25番の本尊ということで、まずはお勤めである。盆休みに入ったということで他にも何組かの参詣者もいたし、先ほどバスに乗っていた人たちも清水寺が目的地だったが、お勤めをするのは私だけ。だからと言って別にえらいわけでもなく、そこは粛々と一連のお経を読んでご朱印をいただく。JRのキャンペーン期間中にいただく観音経の一文字の散華のほかに、播州清水寺オリジナルデザインの散華をいただく。現在次のオリジナルデザイン散華の図案を募集しているそうで、最優秀の作品は翌年度の散華で使われるという。

縁台からは明石海峡、淡路島の方向が眺められるのだが、やはりこの時季は空気中に湿気を多く含むためか、なかなか遠方は見えない。おそらくそれらしき建物群がもやっと見えるかなという程度である(この写真だと全然わからない)。

大講堂で西国札所のお勤めをしたり、ご朱印を受けたりお守り等の販売も行っているのでここが寺の中心に位置づけられているが、そのうえには天台宗としての寺の中心である根本中堂がある。前に来たのは2年半前のことだが、1月という時季もあり、根本中堂の前に大きな絵馬が奉納されていた。その奉納者というのが、私と同じ藤井寺市在住の川林栄二郎氏と書かれていた。播州清水寺の住職と、台湾の巡礼ツアーで意気投合したのがご縁で、2011年の末に、翌年の干支である「辰」の絵馬を奉納した。私が見たのは「未」だったから4作品目だった。その同じデザインの絵馬は地元の葛井寺にも飾られていたが、昨年の「申」、そして今年の「酉」というのは見覚えがない。どこかの記事だったか、川林さんがお亡くなりになったというのを見た気もするが・・・勘違いでご存命だったらすみません。

根本中堂には十一面観音が本尊として祀られており、厨子の前にはお前立ちの観音像が安置されている。今年の11月には30年に一度の御開帳されるとある。清水寺を開いた法道上人(西国、新西国で摂津、播磨の札所を回る中で何回か登場した、インドからやって来て鉄の鉢を飛ばして食物を乞うていたという、あのおっさん・・・もとい上人)の作と伝えられている。11月か・・・ちょうど播州清水寺の紅葉のタイミングでもある。西国2巡目は特にくじ引きやサイコロによる行先の縛りがないのでいつ行ってもいいのだが、どうせならその時季に来ればよかったかなとも思う。

さらに奥に進むと滾浄水(こんじょうすい)という湧水がある。法道上人が水神に祈ると湧き出たとされ、現在は「おかげの井戸」として、覗き込んで自分の顔が水面に映ると寿命が3年延びるという言い伝えがある。そこで覗き込むのだが、水面は確認できるが何も見えない。元々周りが木々に囲まれているし、屋根もついている。光線の加減もあるのだろうが、見えることじたい難しいのではないかなと思う。まあ、寿命が3年延びなかったので勝手に焦っているだけなのかもしれないが。

この後、昭和40年の台風で被害に遭い、その後取り壊された多宝塔の跡を見て、仁王門に戻る。相野駅行きの「最終」バスまで少し時間があるが、行きのバスに乗ってきた人たちはちゃんとバス停に戻っていた。また、先ほど麓の清水バス停から旧参道を歩いて上ってきた人も無事に間に合った。再び3キロの専用道路を下り、清水寺を後にする。

このまま相野駅に戻ってもいいのだが、往路で陶の郷に立ち寄ったこともあり、帰りもどこかに寄ることにする。それにぴったりなのが、清水寺から20分ほど乗ったところにある「こんだ薬師温泉」。清水寺からの「最終」バスを途中で降りて大丈夫かと思う方もいるかもしれないが、他にこんだ薬師温泉~相野駅間運転の便というのがあり、このバスの1時間後にも出る。1時間というのは入浴、休憩にちょうどいい感じだ。

「こんだ」は漢字で「今田」と書く。現在は篠山市の一部だが、合併前は今田町という町名だったところ。薬師というのは、近くの山に地元の人たちが薬師如来を祀っていることからつけられた。薬師如来は現世利益、病気を治してくれる仏様とあれば、温泉の名前には合っているだろう。あまり「不動明王温泉」というのは聞いたことがない(あったとしたら、むちゃくちゃお湯が熱そうだ)。こちらは地元だけでなく京阪神の人たちにも知られているようで、駐車場にも結構多くのクルマが停められている。

入ったのは丹波の岩(播州から再び丹波に戻っている)を使った浴槽で、大浴槽、源泉風呂、露天風呂、サウナがある。まずは屋内の大浴槽に入ると、こちらは41度という表示。ただ、その他の浴槽は39度、38度とぬるめの設定である。そして、浴槽が小さいということもあるが長く入っている人で結構込んでいるのが源泉風呂。少ししてスペースが空いたので入ってみると、何と温度は31度。この日だと、外の気温より低い温度だ。だから冷んやりと感じるし、長く入っていられる。かと言って水風呂ともまた違う。なかなか出る人がいなかったのも納得である。

湯上り、もう少しだけ時間があるので休憩スペースで一休み。テレビではちょうど高校野球の中継中で、それを見ながらビールというのも、夏の過ごし方である。これができるのは鉄道・バス乗り継ぎならではだなと思うし、結局はこの時季に訪れてよかったなと思うのである。帰りは売店にて丹波杜氏による地酒の「鳳鳴」と、黒豆、しいたけといった丹波名物を購入した。この日は札所としては「播州」だったが、まわり方として「丹波」を楽しんだ一日であった。

さて、西国の2巡目はこれで16ヶ所と、33ヶ所のおよそ半分となった。別に急ぐわけではなく、他の観光や札所めぐりとも組み合わせながら、いろいろと楽しんでみたいものである・・・。
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