まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第11回四国八十八所めぐり~黒潮を眺めて

2017年08月17日 | 四国八十八ヶ所
高知5時39分発の窪川行き気動車は1両、乗客も10数人で出発する。学生たちも夏休み中なので普段の乗客がどのくらいなのかわからないが、まずは空いた状態である。外は晴天。実は数日前までの予報では高知県内に傘マークが出ていて、歩く行程がある中で雨も気になっていたが、どうやらその心配はないようである。

伊野から佐川、そして須崎へと何回かの列車行き違いを繰り返して進む。高知方面に向かう列車は2両、時には3両というのもある。佐川には選手寮がある関係で高知ファイティングドッグスの幟が立つが、こちらもしばらくお別れである。今年はマニー・ラミレスの加入で話題となり、前期限りで契約満了、そのまま現役引退・・・という流れだったのが後期も再度契約した。さすがにこれが最後だとは思うが・・・。

ホームのすぐ前が海という安和から、しばらく黒潮を見ながら走る。

7時59分、窪川に到着。37番の岩本寺は駅から歩いて5分ほどのところだが、次に乗る中村行きは8時27分の発車である。さすがにバタバタするかなということでそれは見送る。この後乗る列車の線路がちょうど岩本寺の本堂の裏手を通るので、その時に手を合わせてみよう。

しばらく土佐くろしお鉄道の待合室で待機。日常利用の人や、自転車を輪行用カバーに入れた客などがいる。待合室には土佐くろしお鉄道の割引きっぷや観光案内のポスターやパンフレットがいろいろとある。前回利用した、土日祝日に普通列車が1日乗り放題で500円というフリーきっぷもある。16日は平日なのでこのきっぷは発売されていないが、今回は「四万十・宇和海フリーきっぷ」を持っている。また、四国と中国、九州間のフェリー(松山、三津浜、佐田岬、八幡浜、宿毛)利用客向けのフリーきっぷもあるようだ。

また、11月にはこんなツアーが組まれる。土佐くろしお鉄道は西部の中村線・宿毛線と、東部のごめん・なはり線と離れた区間で営業しているが、途中に土讃線を挟んで両方の路線を直接結ぶ特別列車ツアーである。ごめん・なはり線の展望車両を使い、奈半利発、宿毛発それぞれの設定がある。列車は2日かけて奈半利~宿毛を往復するが、参加者は1日は列車に乗り、もう1日はエリア観光を行う。同じ高知県でも室戸から宿毛というのは結構な長さがある。その意味では高知県も広いものだと思う。

中村行きに乗車する。岩本寺の裏手を過ぎ、若井からトンネルのループを抜けて高度を下げる。土佐佐賀から再び海である。前の時も思ったが、こういう車窓は缶ビールでも飲みながら眺めてみたいところだが・・・これから寺参りである。

土佐入野で下車する人がそこそこいる。駅から歩いて数分の入野松原は砂の美術館として知られている。前回はこの砂浜に出向き、波乗りを楽しむ様子を見たり、金剛杖を砂浜に立ててみたりしたところである。前日の15日は夏のイベントということで、キス釣り大会や夜の花火などが行われたそうだ。

中村に到着。次に乗る10時07分発の宿毛行きまで40分ほどある。ちょっと送金の用事があったので駅前の郵便局に行った後、待合室で列車を待つ。コンセントがあってスマホの充電もできる。中には、複数のスマホ、タブレットを接続して動画を見ている若者もいる。

そろそろ列車の時刻となり、ホームに向かう。そこにやって来たのが高松からの特急「しまんと1号」である。そこから宿毛行きに乗り継ぐ客も結構いる。実はこの「しまんと1号」、高知を朝の8時20分に出発する。実は私の持っている「四万十・宇和海フリーきっぷ」は、高知からの特急の自由席にも特急券なしで乗ることができる。つまり、朝の5時39分に乗らなくても、高知で朝をゆっくりと過ごして乗ってきてもよかったわけだ。一時は、はりまや橋の近くに24時間営業のサウナがあるので、そこで朝風呂に入ってから特急に乗ってもいいかなとも考えていた。ただ、やはり今回の四国八十八所めぐりの起点は中村だということがあり、そこをわずか3分の乗り継ぎで済ませるのはどうか・・・との思いもあった。そして、のんびり鈍行で黒潮を眺めることもできた。だから今回の移動はこれでよかったと思う。

中村から宿毛までは旧国鉄中村線ではなく、土佐くろしお鉄道となってからの区間である。そのため全線が高架である。まずは中村の市街地を抜ける。郊外型、大駐車場完備の全国チェーンの家電量販店や紳士服店などが並ぶ。市街地を抜けると田園地帯。国道56号線とも並走する。

そして10時27分、平田に到着。結局高知から鈍行乗り継ぎだと、乗り換えの待ち時間が合わせて1時間ほどあったとしても5時間かかったことになる。来るだけでも大変なものである。平田駅は高架ホーム1本だけだが、階段(エレベーターもあり)を下りると待合室、トイレもある。

今回、39番の延光寺へは3キロほどの距離があるとのことで、そのくらいならと、待合室で金剛杖を取り出し、笈摺を羽織る。いよいよここから巡拝開始である・・・。
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