まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第11回四国八十八所めぐり~宇和島でのルート選び

2017年08月25日 | 四国八十八ヶ所
17日、第40番の観自在寺で朝参りを済ませ、ホテルで朝食後再び観自在寺門前まで荷物を抱えて出て、8時56分発の宇和島駅行きのバスに乗る。行程としてはかなりゆったりしたものだ。

四国入りするまでに立てていた行程では、17日は午前中にゆったりと宇和島に移動して、午後は宇和島の町歩き、そしてナイターでの野球観戦というもの。翌日の18日は早朝から予土線で伊予宮野下駅まで行き、41番の龍光寺、42番の番の仏木寺と歩く。仏木寺は本数は少ないが宇和島駅との間に路線バスがあり、タイミングが合えばそれで宇和島に戻り、鉄道もしくはバスで卯之町に移動して43番の明石寺に行き、また宇和島に戻って連泊・・・ということを考えていた。また、もし仏木寺からのバスのタイミングが合わなければ、歯長峠を越える10キロ以上の道を歩いて明石寺に向かうことになる。それもまた四国歩きということでよいかな・・・というくらいに考えていた。

ただ、四国入りして(その前の大阪もそうだが)連日の暑さである。歩いて一度に回るのも、歩きの巡拝なら普通にやることなのだろうが、峠越えというのがどうかという感じである。そこで思い浮かんだのが、17日のうちに、龍光寺・仏木寺の2ヶ所と、明石寺のどちらかに行こうということだった。宇和島の町歩きを後回しにすれば、歩きでの峠越えが回避できるかなということである。

まずはそのことを考えながら、平城(ひらじょう)札所前からのバスに揺られる。まずは国道56号線でリアス式海岸の付け根を走る。路線バスではあるが、町中のそれとは違い結構スピード感がある。交通量がそれほど多くないのと、やはり周りのクルマが飛ばすからある程度流れに乗った走りをするのかなと思う。ローカルバスの場合、客がいなくても時折停留所で左に待避して後続車両を先に行かせることがちょくちょくあるが、この宇和島行きは乗降があるところは左に寄ったが、それ以外は結構攻めの走りをしていたように感じた。

そんな中で海にも近づく。入り江をぐるりと回り込んだり、また付け根を走ったりだが、景色にもバラエティがある。養殖用のいかだも多い。見ただけでは何を養殖しているかわからないが、鯛やハマチ、牡蠣、そして愛南町では高級魚のスマも育てているとのこと。こうした魚介類の名前を聞くと、黒潮から瀬戸内に移りつつあることを感じる。

少しずつ宇和島の市街地が近づく。途中で宇和島道路というのが分かれる。56号線のバイパス扱いだが、その先は松山自動車道に続いている。路線バスは市街地に入り、中心部にある宇和島城をぐるり回るように進む。途中には宇和島東高校もある。

ちょうど夏の甲子園の最中だが、宇和島東といえば一時甲子園に連続して出場し、センバツで優勝したこともある名門である。今は愛媛県では済美が強く、今年の大会にも出場しているが、両校を甲子園に導いたのが、今は亡き上甲正典監督である。確かにこの辺りには上甲さんという名字が結構目についた。話はそれるが、ここまで四国めぐりをする中で、高校野球の名物監督がチラリと出てくる。徳島は池田高校の蔦監督、高知は明徳義塾の馬淵監督、そして愛媛は宇和島東、済美の上甲監督。香川は誰だろう・・・とはこれからの楽しみとして、昭和・平成の四国の個性的な人物ということで、こういう方たちを並べてみる。

平城札所前から1時間15分で宇和島駅に到着。予讃線の終着駅で、ここに来るのも久しぶりとなる。ちょうど、予土線を走るトロッコ列車の発車時刻が近づいていて、家族連れなどが窓口で指定席券を買っている。私もふと、フリーきっぷを持っているからこの後はトロッコに乗って窪川まで往復してみようかと思った。ただ、そこまで行くとこの後の行程も影響が出るわけで、さすがにそれは見合わせた。またの機会とする。

さて先ほど、ここからどこかの札所を回れば・・・ということを書いたが、カギを握るのは予土線と、宇和島バスの愛治線の時刻表である。ここに来るまでにいろいろな組み合わせで時刻表をシミュレーションした結果、宇和島駅11時04分発の愛治行きでまず仏木寺を目指すことにした。この路線バスは平日で1日5本だが、そのうち1本は日祝日運休、もう1本は学校休みの日運休である。これから乗る便は幸い毎日運行だが、こうした数少ない本数の中で、実際に利用できる便が見つかるとなぜかニヤリとする。ガチの歩き遍路ではなく、クルマ利用の巡拝でもない、私のような中途半端な「公共交通機関メイン」の札所めぐりがうなることができる数少ない機会だ・・・ということはさておき、その後で、「逆打ち」の形になるが龍光寺まで歩き、最後は伊予宮野下から予土線で宇和島に戻るルートができあがる。龍光寺から伊予宮野下駅までは徒歩20分とある。伊予宮野下からの列車にうまく間に合えば宇和島には14時半すぎに戻るので、そのまま早めのホテルチェックインとしよう。

キャリーバッグをコインロッカーに入れて、駅売店で昼食におにぎりとじゃこ天を買う。じゃこ天ならビールでもほしいところだが、これから寺参りなので、ナイターまで我慢する。やって来た愛治行きだが、先客は地元の客が二人だけ。駅の北側に回り、御霊神社の前を通って宇和島の三間町方面に向かう。郊外型の大型店舗が並ぶエリアを抜けると峠越えである。予土線の線路も並走して、峠を越えると盆地のようにまとまった三間町に入る。そろそろ穂をつけた田んぼが広がる。

宇和島駅から30分ほどで、仏木寺のバス停に降り立つ。バス停の前が山門で、ここで笈摺を羽織り、カバーから金剛杖を取り出す・・・。
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