まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

大相撲平成30年春場所初日観戦~やはり春場所は荒れる・・・混戦になるのか?

2018年03月13日 | ブログ
春場所観戦の続きの記事である。先の記事ではまだ三段目の取組のところだったが、この後で残り時間を埋めていく感じとなる。三段目くらいになると体格もかなり立派になるし、若手とベテランがまじりあって独特の面白さがある。階級社会の中で、関取と呼ばれない幕下以下の力士は「その他大勢」の扱いをされているが、三段目、幕下まで来ると、ライバル争いはより熾烈になるものの、チャンスがあればすぐに関取になれるくらいの位置である。特に幕下くらいになると、つい先ほどまで幕内の第一線で活躍し、上位からも白星を挙げたことのあるベテラン力士が並ぶ。関取復帰をかけた争いと、一方では若手力士のアシスト、また逆に若手力士の強大な壁となりながら相撲人生を続ける者も多い。

14時を回ったところで十両の土俵入りが始まる。新十両として貴乃花部屋の双子関取となる貴公俊(たかよしとし)や、白鵬の内弟子である炎鵬らに大きな拍手が起こる。もうこの辺りになると会場も多くの客が入っており、私の周りの席もびっしり埋まるようになった。

その中で一際大きな声援を受けていたのが貴ノ岩。例の鳥取での暴行事件の被害者で、その後本場所には来ずに休場を続けていたが、この日初めて出場。十両の最下位の番付だが、この場所勝ち越しでもすれば幕内復帰への可能性も少し広がることになる。

その貴ノ岩は十両の取組の半分を過ぎたところで翔猿(とびさる)との対戦となる。さてどのような結果になることやらで注目するが、序盤の翔猿の攻めをうまくかいくぐって寄り倒しで勝利する。(ちなみに、貴ノ岩は2日目も勝利して2連勝としている)

一方で気がかりなのは照ノ富士。ケガ、病気のためにとうとう十両まで落ちてしまった。こちらも元幕内の臥牙丸との巨漢対決となったが、元気なく上手投げで敗れる。この場所踏ん張れないようならズルズルと行ってしまいそうな気がする・・。(照ノ富士は2日目に勝利し、昨年秋場所以来の白星を手にしたが、この先まだまだ我慢のしどころだ)

照ノ富士の一番の後、いったん間が空く。東西の花道から、八角理事長、今場所一人横綱の鶴竜、そして大関、三役力士が入ってくる。初日の協会挨拶である。その前に、初日がちょうど3月11日ということもあり、東日本大震災の犠牲者への黙祷が行われる。かつて2012年、震災からちょうど1年後の春場所を観戦した時、全幕内力士が土俵下に勢ぞろいして黙祷を行ったのを思い出す。その後で理事長挨拶となったが、やはり2横綱の休場は残念だとしながら、一連の相撲協会をめぐる騒動には触れなかった。客席からは「貴乃花に負けるな!」との声も飛ぶ。そういえばその貴乃花親方は、春場所に姿を見せていない。初日は「無断欠勤」のような形となり、2日目にFAXで「全休」を伝えてきたという。このところの内閣府への「告発」とか、この動きもまた不穏なものである。

さて取組再開となり、十両の最後には安美錦と豪風という、幕内復帰を狙う両ベテランが登場。最後は豪風がはたき込みで勝つ。

幕内の土俵入りである。館内は大いに沸く。優勝争いは混戦が予想されるところだが、名前が挙がるとすれば横綱大関、そして栃ノ心あたりだろうが、また平幕優勝もあるのではないかという予想もまったく的外れではないところが難しい。

そして横綱鶴竜の土俵入り。場所前は3横綱ともすべて休場かとも言われていたが、万全ではないが鶴竜は出場に踏み切った。これ、テレビで見るだけなら、3横綱休場、土俵入りなしも仕方ないかなと思うが、やはり観戦に来たならば横綱の土俵入りは見たいところである。まずはよかった。

中入の時間には初場所優勝の栃ノ心が賜杯、優勝旗を返還する。周りの人がプログラムを見て「賜杯返還って、昨年の春場所の分?それやったら(昨年優勝した)稀勢の里が来るんかなあ」と言っていた。あ、そういう解釈をしている人もいるということか。賜杯が本場所の数だけあって、春場所なら春場所、秋場所なら秋場所でそれぞれ授与されて返還すると。

中入り後は碧山と十両の旭大星の取組から始まる。いつも思うのだが、テレビだと仕切りの間の時間が長く感じることがあるが、現地で観戦すると制限時間いっぱいまであっという間に過ぎるように思う。土俵の上以外の周りの観客の様子を見たり、行事や呼出の動きを見ていることもあるだろう。

交野出身の勢が登場すると、向正面上段のイス席から「勢」と書かれた黄色のうちわが一斉に上がる。大きな声援に応えて蒼国来を寄り切りで破る。

その後も取組が次々に進み、電光掲示板の勝敗を表示する赤ランプの数もあっという間に増える。幕内後半になると貴景勝も登場するが松鳳山に力負け。

力相撲といえば逸ノ城と琴奨菊。以前の「琴バウアー」を封印した琴奨菊ががぶって寄りたてるが、これをこらえた逸ノ城が一気に寄り返す。幕内に上がって来た当時の力強さが戻った逸ノ城も優勝争いで手ごわい存在になりそうだ。

そして栃ノ心が登場。場所前に足を痛めたそうだが、宝富士相手にがっちりとまわしを取って吊るように寄る。こちらも力強い取組を見せてくれそうだ。(ただし、2日目は玉鷲に敗れた)

心配なのが大関。まずは大歓声に迎えられた豪栄道。こちらも、先ほどの勢と同じく向正面の上段イス席から黄色のタオルなどが掲げられる。また一時自然と手拍子が起こる。逆にそれで硬くなったかどうかはわからないが、玉鷲に上手く攻められてあっさりと土俵を割る。また続く高安は遠藤との一番。こちらも遠藤に上手く取られて土俵を割ってしまう。どうも初日から波乱の予感である。(2日目は豪栄道は荒鷲に勝ったものの、高安は逸ノ城に敗れて連敗となった)

両大関が敗れてプレッシャーがかかるのは結びの一番の鶴竜。相手は馬力のある千代大龍。これも敗れるようなら座布団が飛ぶのかどうかと、見たいような見たくないような気持ちだったが、ここは落ち着いた取組で危なげなく勝利。まずは初日横綱が締めた形になって何とか大崩れは防いだ形になった。(鶴竜は2日目も遠藤を破り連勝スタート)

弓取式は中川部屋の春日龍が務め、まずは初日が打ちだし。朝8時から10時間近く体育会館の中で過ごした形になったが、時間が経つのがあっという間に感じた。途中いろいろな席で見てみたり、食事などもしていたこともあった。もっと楽しむなら、例えば支度部屋の前まで行って幕内力士も間近で見てみてもよかったかなと思う。今場所行ける機会はこの日だけだったので、また来年を楽しみにしたい。

土俵の外ではまだ貴乃花問題がくすぶっているところではあるが、ここは本場所、土俵の上では幕内だけではなく序ノ口から始まる若い力士たちが関取を目指して連日熱戦(彼らには「7番」しかないと言ってもいいだろう)を繰り広げている。もしラッキーにチケットを確保された方は、ぜひともこうした下のほうの取組も見てほしいものである・・・。
コメント