観音正寺の参詣を終え、国道8号線を南下する。北陸と関西を結ぶ国道だが、意外にも滋賀県のこの辺りは片側1車線の区間が続き、車の列が絶え間なく続く。バイパスの計画もあるようだが、現在のところは渋滞回避なら名神高速に乗ることになるようだ。もっとも、インターまでの距離もそれなりにあるので、そのまま国道を走る。
野洲市に入り、国道沿いの御上神社前の駐車場に停める。神社の前であり、近江富士として知られる三上山への登山口でもある。御上神社は三上山をご神体として祀る神社で、社殿が設けられたのは奈良時代とされるが、近隣からは銅鐸などが出土しており、それより古くから山岳信仰の地であったとされている。
さて境内に入ると人だかりができており、法被姿の人や、裃姿の子どもたちも目につく。法被姿の人から「パンフレットをどうぞ」と渡される。そこにあったのは「ずいき祭り」というもの。以前は10月14日に行われていたそうだが、今は祝日(スポーツの日)が10月第2月曜日に定められたことで、この日を祭りの当日とされている。古くは「若宮殿相撲御神事」と呼ばれていたそうで、秋の収穫への感謝と、子孫繁栄を祈願する祭りとして、鎌倉、室町時代から行われているという。こうした祭りがあることは知らず、まったく偶然の出会いである。
そこに神輿が次々にやって来る。芋の一種であるずいきの茎で作られる「ずいき神輿」である。こんなにも太くて丈夫なものとは知らなかった。神輿じたいは数日前に準備され、今日は朝から町内を回り、祭りの場である御上神社に到着した。
この後どうなるかちょっと見てみようと、神仏霊場としての参拝をさっさと済ませ、朱印をいただく。その間にも、お供えを手にした方々が次々に受付にやって来る。
神輿は全部で5基あり、町内を練り歩いた後で楼門の前に出揃う。
そこで記念撮影となる。祭りに参加する子どもの親御さんやご親戚、三脚や脚立持参のカメラマン、そして全くの予備知識なしでたまたま祭りに出くわした私のような者を含め、一斉にカメラやスマホが向けられる。そしてお祓いを受ける。
この後、神輿が楼門をくぐり、1基ずつ本殿前の拝殿に納められる。それぞれの自治会ごとに場所が決まっているようだが、東西が逆だといったり、いややっぱりその場所で合っていたといったり、なかなか賑やかである。
ようやく神輿が落ち着く。金具を一切使っていないとのことだが、それでも先ほど大人4~5人がかりで拝殿に納めていたから、重さはそれなりのものだろう。
本殿前には雅楽の一団が控えており、昼の部では雅楽の奉納と神事が行われるそうだ。一方でハイライトは夜の「芝原式」という神事だという。昔は子どもたちによる奉納相撲も行われていたとか。さすがにそこまではいいかなと、神輿の姿だけ見て御上神社を後にする。
再び国道8号線に出て、草津近辺にて国道1号線と合流する。東海道と中山道が合わさる形で、ここからはクルマの流れもスムーズになる。大津市に入り、この先は建部大社、石山寺の順に回り、石山駅でのJR西日本デジタルスタンプもいただくことに・・・。