まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第73番「高信寺」~広島新四国八十八ヶ所めぐり(平和への祈りとえびす講)

2023年11月24日 | 広島新四国八十八ヶ所

広島新四国八十八ヶ所めぐり、次は第73番・高信寺である。

高信寺、「こうしんじ」という読みなのだが、寺の名前に触れた時、私の頭の中では「高信二」と変換されていた。カープの元選手で、引退後はカープのコーチを務め、一軍ヘッドコーチ時代にはカープのリーグ3連覇にも貢献した。その後は2軍監督となり、2024年も継続が決まっている。どのタイミングだったか、一軍監督に推す声もあったと思う。

高信寺があるのは平和大通り、本川にかかる西平和大橋のたもと。河原町バス停を降りるとある石碑に出会う。これも原爆で犠牲になった人たちの慰霊碑なのかなと見ると、「広島県送出 元満州開拓青年義勇隊の物故者をまつる」とある。戦前、新天地を求めて各地から満州に渡った人たち。中国やソ連との戦いで戦死した人、あるいはソ連に抑留された人、命からがら帰国できた人とさまざまいる。また中国といえば、中国残留日本人孤児の問題もある。この石碑は生還者や有志の手により建てられたものだが、原爆とはまた違った意味で平和の尊さ、民族融和というのを祈念している。

さて、通りを渡った4階建てのビルが高信寺である。入口には「祈りの殿堂・高信寺」とあり、一瞬、このまま入っていい者かどうか迷う。寺のように山門があって、境内に本堂があれば、仮に本堂の扉が閉まっていて外からのお勤めであっても一応形にはなる。ただ、ビルの前で手を合わせてお勤めというのは妙なものだ。

そこで扉を開けるとスリッパに履き替えるよう貼り紙があり、エレベーターまたは階段で上がるようになっている。2階が本堂、4階が八角堂で、六観音を祀っているとある。このまま自由に入ってよさそうなので、まずは2階に上がる。

本格的な祭壇があり、ここで法要もできそうだ。

高信寺を建立したのは高さんという信心深い一人のご婦人という。原爆の熱風に耐えかね、川に飛び込んでそのまま命を落とした大勢の人たちを弔うため、私財を投げ打って寺院と観音像を建てたのが初めてだという。後に、世界平和と人類和楽を祈るスポットとして、現在地に新たに建てられた。本尊の十一面観音は「平和観音」とされている。

朱印は祭壇の脇に書置きがあったのをいただく。また4階に上がると小ぶりな六観音が揃う。外に出ることもでき、平和大通り、本川の景色も望める。

参詣を終え、そのまま本川に沿って歩き、平和公園に入る。欧米人の観光客姿も目立つ。コロナ禍明けでインバウンドの客が回復基調にある中、先日訪ねた宮島といい、広島を訪ねる外国人には欧米人が多い印象がある。爆買いを目的としたアジア人にとっては魅力がそれほど感じられないのだろうが・・。

この日は11月19日。そのまま本通りのアーケードを抜けると、「胡子大祭」として歩道には多くの出店が並ぶ。「えびす講」だ。広島の胡子神社が開かれたのは江戸時代の初めで、以後、毎年の大祭は400年以上欠かさず執り行われている。原爆の被害に遭った1945年でも、11月にはバラックの仮社殿を建てて奉納したという。またコロナ禍の時は規模を縮小しながらも大祭は行われたそうだ。

熊手が縁起物で、それは通りの屋台で買うことができるが、「ごまざらえ」という祈禱をしてもらって初めてご利益があるとされている。そのため、「ごまざらえ」を待つ長い列ができている。私はそこまでの信仰もないし、今の仕事でいえば商売繁盛というよりは交通安全、無病息災を祈願するのが近いかなということで、普通の参拝とする。

賽銭箱代わりに通りの真ん中に樽が置かれるのも広島らしい光景である。

さて「えびす講」といえば、1999年には暴走族が中央通りを占拠して、警察の機動隊と衝突、少年ら45人が逮捕されるという事件があった。当時私は1回目の広島勤務当時で、そもそも人混みがあまり好きでもなかったのでその場にはいなかったのだが、連日ニュースになっていたのは今でも微かに憶えている。暴走族といっても、単にバイクやクルマで暴走するだけではなく、暴力団が背後にいた点も問題になった。この1件で「広島は怖いところ」という悪評がより広まったように思う(ただでさえ、「仁義なき戦い」の影響で広島は・・・というのがあったのだが)。

ただ、その後は警察の取り締まり強化や、暴走族根絶に向けた条例の効果によりそうした暴動はなくなり、現在はあくまで平和に祭りを楽しむことはできる。ただ、今はネット社会の広まりにより、ある種の暴走行為や犯罪については形を変えて、しかもより陰湿に行われているようにも思う。

まあ、とにもかくにも「平和」を願うばかりである・・・。

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