日本シリーズは4勝3敗でタイガースの日本一で終わった。あと一歩、バファローズがタイガースを破っての日本一とならなかったのは残念だったが、私お現地やテレビ桟敷でいろいろと楽しませてもらい、印象に残るシーズンとなった。これからはポスティングシステムやFAでの人の動きも注目されるところで、バファローズもまた新たな姿になることだろう。来季もまた観戦に出かけるとして、久しぶりに関東方面、あるいは北にできた新しいスタジアムも計画してみたい。
さて、話は再び10月9日の神仏霊場巡拝の道に戻る。野球の記事で断続的となっていたが、ようやく今回の神仏霊場めぐりで最後の札所である。
石山駅でJR西日本の西国三十三所キャンペーンのデジタルスタンプを入手し、石山寺に到着。これまで西国三十三所めぐりも何度か訪ねているが、クルマで訪ねるのは初めてである。駐車場が有料なのは仕方ない。
山門をくぐり、境内の参道を進む。受付で入山料を納め、石段を上がる。両脇に奉納した方たちの石柱が並ぶ中、「天皇陛下御即位記念」と刻まれたものもある。これは今の天皇陛下御即位のことだろう。
諸堂の向こうに、石山寺硅灰石と、その上に建つ多宝塔を見る。この硅灰石は石灰岩が変成してできたものだが、世界的にも珍しい地質のものとされる。石山寺のシンボルといえるスポットだ。
石山寺が開かれたのは奈良時代、聖武天皇の勅願で、東大寺を開いた良弁僧正が聖徳太子の持念仏だった如意輪観音を祀ったのが始まりとされる。聖武天皇は東大寺の大仏を造るに当たり、良弁に命じて黄金を得られるよう祈らせた。良弁は夢のお告げで石山の地で如意輪観音を祀り祈ったところ、ほどなくして陸奥の国から黄金が見つかったという。その後、如意輪観音がこの地から離れなくなってしまったので、そのままお堂を建てて祀ることにした。
本堂に向かう。その入口にあるのが源氏の間。石山寺は平安時代の文学とも関わりが深く、紫式部が「源氏物語」を執筆したところとされる。2024年の大河ドラマは紫式部、藤原道長が主人公ということもあり、石山寺も注目されているようだ。西国三十三所の中興の祖である花山天皇も登場するのかな。政争に敗れ、巡礼に出るシーンなんかがあっても面白そうだ(さすがにないか)。
中には紫式部の人形が安置されているのだが、お賽銭を入れて手を合わせる人もいる。実は石山寺では、この紫式部の人形の修復と、着ている十二単の衣替えのためのクラウドファンディングを募っているとのこと。もっとも、紫式部の衣替えだけでクラウドファンディングするのではなく、境内の未指定文化財である祠や宝物などを含めた修復事業に充てるものだという。
石山寺には本堂や多宝塔をはじめとして多くの国宝、重要文化財、滋賀県や大津市指定の文化財などが多数あるが、どうしても維持・修理費用はそちらに優先されるため、未指定文化財まではなかなか手が付けられないとのこと。いつも多くの参詣者で賑わっており、入山料も徴収しているのに・・とも思うが、歴史を後世に伝えるのには思った以上のお金がかかるということか。
本堂でお勤めとする。本尊の如意輪観音は秘仏とされているが、2巡目、3巡目で石山寺に参詣した時にいずれも御開帳の機会に恵まれた。2巡目で訪ねたのは2016年、ちょうど33年に一度の御開帳の時だった。硅灰石の上に設けられた木製の台座に安置された如意輪観音を間近で拝むことができた。本尊の後ろに松荒れている諸仏も拝観することができた。
また3巡目は2020年のことで、新天皇即位の翌年に「御吉例」として御開帳というタイミングだった。2020年か・・・ちょうど新型コロナウイルスの初めての感染拡大で世間も大変なことになっていた時期だ。その新型コロナも今や5類となり、ニュースになることもほぼなくなったが(そういえば、コロナワクチンの接種というのもどっか行ってしまったなあ)、こうした札所関連の方に言わせれば神仏の祈祷によるご加護のおかげということになるのだろう。まあ、そこは全否定しない。
そんなことも思い出しつつ、神仏霊場と西国先達納経軸への朱印をいただく。
この後多宝塔に向かう。瀬田川から琵琶湖方面は雲のため見通せなかった。
ちょうど秋の「石山寺と紫式部」展のため開いているとのことで、初めてとなる豊浄殿に入る。コンパクトながら密度の濃い展示室だ。2023年は、石山寺を開いた良弁僧正の1250年御遠忌と、弘法大師空海の誕生1250年が重なる年ということで、それを記念して石山寺の歴史や真言密教に関する展示が行われている。合わせて「源氏物語」関連の屏風、絵巻物やそれらをモチーフとした嫁入り道具などが紹介されている。「源氏物語」が嫁入り道具になるという感覚が私にはよくわらかないのだが、そこは教養を身につけているとかあったのだろう。ところで現在の嫁入り道具といえば・・・と頭をひねるが、そもそも男女平等、ジェンダーフリーの考えが浸透しつつある世の中、結納とか持参金とか嫁入り道具というのも前近代的な風習となっているのかな。いやそもそも「嫁入り」という言葉じたいが差別表現として狩られてしまうのかな。
・・・嫁入りだろうが婿入りだろうが、そもそも結婚できなかったおっさんが何を言っているのかというところ。はいはい、ここで次の行き先を決めるあみだくじとしよう。
予選のくじ引きで出たのは、
・勝尾寺(大阪24番)
・大原野神社(京都6番)
・道成寺(和歌山6番)
・永源寺(滋賀8番)
・西宮神社(兵庫2番)
・竈山神社(和歌山8番)
このくじを引いた10月9日の時点では、「次は西宮か。それなら、バファローズがこの後クライマックスシリーズを突破するとして、さらに10月28日の日本シリーズ第1戦のチケットをどうにか確保できたものとして、広島から大阪に移動して現地に行く前に、西宮神社に加えて近隣の廣田神社、さらに時間があれば清荒神清澄寺、中山寺といった阪神間の神仏霊場をクリアしようか」というくらいの気持ちだった。
その後、バファローズはクライマックスシリーズを突破した。そしてセ・リーグ、個人的にはカープが勝ち抜いて念願の「バファローズ対カープ」の日本シリーズかと期待したが、そこはタイガースがストレート勝ちして日本シリーズに進出した。
ファンクラブ先行抽選受付のおかげで、28日の第1戦のチケットが何とか手に入った。この日本シリーズは例年以上に「チケットが取れない」「転売ヤーによる高額転売」のニュースが目立っただけに、正価で入手できただけで感謝である。これも各霊場のご利益かとありがたく手を合わせた。
ただ、第1戦当日の28日にいざ大阪に向かうにあたり、ちょっと待てとなった。あみだくじで当たった西宮神社といえば、年明けの福男選びの競走で有名だが、廣田神社ともともタイガースの監督・コーチ・選手一同が毎年必勝祈願に参拝する神社であることに気づく。
普段ならともかく、いや公式戦中でもいいでしょう、それがよりによって日本シリーズ第1戦前にして、バファローズファンとしては絶対行くところではないだろう。
その一方で、第1戦の翌29日は西国三十三所の先達研修会が梅田で行われる。ならばそれに合わせて、西宮神社、廣田神社に先行する形で、中山寺くらいなら参詣してもいいかなと思う。結果的にそれも裏目に出たのだが、そのことは追々書くことにして・・・。
さて時刻は13時半すぎ。門前の土産物店で鮒寿司やしじみ、ウロリ(ゴリの稚魚)の佃煮などを買い求め、これから帰途につくことにする。瀬田西インターから名神高速に乗る。これから広島に向けて長躯することに・・・。