このところまた賭博疑惑だの、暴力団への利益供与だの世間を賑わせている相撲協会。その発端ともいえる、大関琴光喜の野球賭博関与疑惑。
夏場所中の事情聴取では本人は否定していたが、ここに来て一転、賭博への関与を認めた。これで、先日発表された複数の現役力士とともに、改めて角界の実情、そしてそれを隠して何とかやり過ごそうとしていた相撲協会の体質が明らかにされた。
・・・広報部の部長である陸奥親方(元・霧島)、副部長の八角親方(元・北勝海)、平成の初期の土俵を賑わせていた、筋肉質で力強い相撲の大関と、突き押しと気力で千代の富士とともに一時代を築いた横綱がなんともまあ歯切れの悪い答弁。「そんな情けない顔をしなさんなや」と思ったものだが、こういう状況になると「そりゃ情けなくもなるわな」と言いたくもなる。
かねてより「国技はその国の諸相の一つを表す」という考え方を持っていたのだが、その伝で日本社会の体質というのかな、切ろうにも切れない悪い側面が出たというのか。ただ、これまで幾度となく報道されてきた「不祥事」とされる事件、その多くは協会が否定し続けてきたものの、ここまで来ればそれらは全て事実だったんだろうなと思わざるを得ない。
相撲というのは競技、いや神事として面白いと思うものであるが、それらを運営している人たちがこのありさまではね・・・。
かつて、立石泰則さんの著作『魔術師 三原脩と西鉄ライオンズ』というのを読んだ時に、主人公の三原脩氏が西鉄などの監督、そして日本ハムの球団社長を務めた経験から、「大相撲は元力士だった人たちが、興行の運営から何から全て自前で行っている。そこへ行くとプロ野球は現場を知らない外の人たちがあれやこれやと経営に口を出す。プロ野球も、もっと現場を知っている人が球団の経営にも関わるのが健全な姿である」という内容のことを話していた、というくだりがあった。
ただ、その相撲のこの有様を見るに、「三原さん、それはちょっと違うようですね」と言いたくなる。ここまで来ればどうしようもないほどなのではないだろうか。
週刊ベースボールの隔週発行で『国技大相撲』という、DVDもついた冊子がシリーズで売られている。これまで買い集めてきたが、何だかこのところの不祥事続きに、それらを次のゴミの日に出してしまおうとすら思ってしまう。
・・・ところで、このところの騒ぎにあの内舘なんとかいう作家やら、大して面白くもない毒舌だけの横浜ファンの役満とかいう漫画家、10万何歳だかの悪魔とか、その辺の朝青龍の時には好き勝手言っていた連中は今回のことについては何を言うのだろうか。こういう時だけ都合よく黙っているのか??