まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

おとこには自分の世界がある

2010-12-14 | フランス、ベルギー映画
 「ジャック・メスリーヌ パブリック・エネミーNO.1」
 実在したフランスの犯罪者ジャック・メスリーヌの激烈クライム・ライフを描いた前・後編の大作。
 前編は...アルジェリアでの兵役を終えパリに戻ったジャック・メスリーヌは、ギャングのギドのもとで用心棒や泥棒を。やがて娼婦のジャンヌと組んで強盗、高飛びした先のカナダで誘拐事件を起こし、逮捕されて刑務所に収監されてしまうが...
 ジャック、まさに狂犬。彼のハチャメチャな暴れっぷりは、怖いし非道いんだけど、すごく豪快なので見てて愉快痛快でもある。とんでもないワル、まさに社会の敵なんだけど、閉塞感でドンづまった社会をブッ壊してくれてるみたいで、思わず応援してしまう...けど、やっぱ私は犯罪者をヒーローとしては見なせないなあ。
 ジャックは悪人、というより病人っぽかった。血潮が熱すぎて、自分を制御できない姿に、刑務所より病院に入れたほうがいいのでは、と思わずにはいられませんでした。仕事だけでなく、恋愛や結婚でもヴァイオレントなところがヤバすぎ。従順な女には優しくロマンチックだけど、ちょっとでも逆らったら容赦なくDVだし。そこが興味深いキャラではあった。同じ実在した有名な犯罪者でも、「パブリック・エネミーズ」の は、演じてたジョニーがひたすらカッコいいだけで、キャラ的にはつまんなかったけど、き○がい系のジャック・メスリーヌは、唖然&驚愕させられる言動の連発なので、退屈しません。
 ジャックの暴れん坊ぶりが怖くて楽しい。中でも、カナダの刑務所での拷問&脱獄は、過激すぎて笑えた。プリズンブレイクして、協力してくれた同囚を助けるために舞い戻ってきて、刑務所と銃撃戦。ほとんど戦争だし!こんなこと、ホントに起こったことなの?!にわかには信じられなかった。

 後編は...再び刑務所に入れられたジャックは、囚人仲間のフランソワと協力して脱獄。強盗や誘拐を繰り返し、社会の敵ナンバーワンという悪名を轟かせるが...
 ジャックの暴走ぶりはエスカレートするばかり。まっとうに生きれない宿命みたいなものが、可哀想でもあった。でも、ジャックに襲われる銀行とか、車を無理やり強奪される運転者とか、ほんといい迷惑。絶対あんな目に遭いたくないです。
 それにしても。あんなに何度も脱獄されるなんて、フランスの刑務所ってユルすぎ~。まったく逮捕できない警察も無能。武器を入手できたり人質とられたり、裁判所もオイオイだった。フランス、住みたくない国です。
 ジャック・メスリーヌを激演してセザール賞主演男優賞を受賞したヴァンサン・カッセルの強烈な個性と弾けた演技が、ぐいぐい引っ張ってくれて飽きさせません。混濁した狂気と愛嬌が魅力的でした。でも彼って何もかもがエキセントリックすぎて、フツーの役はできないだろうなあ。まあ、ヴァンサン・カッセルにフツーを求める人はいないんだろうけど。
 共演の男優女優も、なかなか豪華でシブかったです。
 前編では、ギド役でジェラール・ドパルデュー、ジャンヌ役でセシル・ド・フランス。後編では、強盗仲間役でサミュエル・ル・ビアン、新しい情婦役でリュディヴィーヌ・サニエ、友人役でジェラール・ランヴァン、刑事役でオリヴィエ・グルメなどが登場。
 久々に見たサミー、ずいぶんと恰幅がよくなっちゃって。強盗なのに熊のプーさんみたいなサミー、強そうで優しそうで大好きな俳優です。サニエちゃんは、相変わらず子持ちとは思えぬ少女っぽい可愛さで、しかもまた無駄にオッパイぽろんも。ジェラール・ランヴァンは、世界最高峰のチョイワルおやぢ俳優だと思う。カッコいい!ダルデンヌ監督作品ではフツーのオッサンなグルメおぢさんが、今回はシブくてカッコよく見えた。

 フランソワ役は、まちうことマチュー・アマルリック!きれいなドングリ目が相変わらずチャーミング。チビチビ言われて可哀想、でもデカいヴァンサン・カッセルの隣だとホントちっこくて可愛かったです。乱雑でアバウトすぎるジャックに比べ、神経質で真面目なフランソワのキャラもキュートでした。まちう、早々と退場してしまい残念。

 ↑まちう、「クリスマス・ストーリー」もうすぐ観に行くけんね♪
 
 
 
 
コメント (2)
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