以前このブログで紹介させていただいたことがある、新井哉の危機管理・国民保護ブログ、
汚染がれきのことについて知りたくなると必ず、わたしはここにお邪魔する。
実にあちこちの自治体に、「汚染がれきいりまへんか~」と、官僚の小間使いの行商が密かに日参してて、
知らんうちに、いろんな所の自治体の長が、「汚染がれきを受け入れましょう」と胸を張って言い出した。
市民に公示もせず、問いもせず、そして、自分の所の設備に、どれだけの汚染がきても大丈夫かどうかも知らんくせに、
汚染をどういうふうに受け取って、どういうふうに防御するかの対策も全く立てんまま、根性や思いやりで被ばくが防げるとでも思てるのか、
それとも、がれきについてくる金がそんなに欲しいんか?
その金は、将来、そこに住んでる子供らが、一生苦しまなあかん病気にかかっても、死んでも、それと引き換えにしても欲しいほどの額なんか?
赤ん坊が育たんようになり、子供が死に、そんな町に出かける人間もおらんようになり、結局その金は生かされへん。
いずれそんな町はどっかと合併して無くなるんやろけど、その時にはもうその首長もおらん。
自分がおる時に良かったらええんか?
未来までの責任なんかどんでもええんか?
こんなこと聞いたところでしゃあないことは知ってる。
原発にまとわりついてるハエみたいな人間はみんな、自分のせいとちゃう。自分は知らん。自分は悪ない思てるクズや。
今自分が決めてることかてきっと、自分は決めてへんって言い出すで。後で。
今、汚染がれきをええ加減なことして受け取った奴、受け取ろうとしてる奴の名前、ひとりひとり、どっかの岩に掘って刻まなあかん。
深う深う、千年の雨風にさらされても消えやんぐらいに。
わたしがなんでこんなこと思うのか、それは以下の、新井さんの記事を読んでくれたらわかると思う。
ただ、この記事は1月の3日と、2月の9日に書かれたものやから、それを前提に読んでください。
東京「汚染がれき」処理、「利権」優先か 1/3/2012
宮城県女川町の「汚染がれき」を、東京都内で焼却する問題で、
財団法人東京都環境整備公社が、災害廃棄物処理で、巨額の運転資金を得ることが判明した。
同公社の理事長は森浩志元東京都環境局次長。
この典型的な「天下り団体」に、東京都は、3年間で約280億円を貸し付ける予定で、同公社が、事業者と処理・運搬契約を結ぶ。
石原都知事は、被災地の支援を主張し、都民の反対があるにもかかわらず、人口密度の高い東京都内で、焼却実施を強行しようとしているが、
石原都知事と都庁、リサイクル・産業廃棄物処理業者ら政・官・財の、不透明な「利権の構図」が明らかになったことで、
「汚染がれき」焼却は、見直しを迫られるのは必至だ。
東京都災害廃棄物受入処理の事業スキームでは、東京都環境整備公社が、重要な位置を占める。
東京都から、事務費や、運転資金の貸し付けが受けられることで、平成23年度は、運転資金として約70億円、3年間で約280億円の巨額の資金が、同公社に流れ込む。
さらに同公社は、船舶や鉄道貨物、陸送事業者と運搬契約を結ぶほか、
東京二十三区清掃一部事務組合や、都内市町村・一部事務組合、リサイクル業者、産廃焼却業者、東京都の廃棄物埋立処分場などと処理契約を結ぶ。
「汚染がれき」処理の政策決定過程で、同公社が、巨額の資金と権限を獲得することになった。
「汚染がれき」の受け入れを、迅速に進めるため、国の補助を待たずに、事業者らに処理費用を迅速に支払う目的で、
わざわざ東京都が、同公社に、3年間で約280億円を貸し付けるという。
「汚染がれき」を受け入れるかどうかについて、都民の合意を得る前に、
税金を投入してまで、「汚染がれき」を処理したいと企図する、政・官・財の思惑を、優先させた格好だ。
東京都は、同公社を中心とする、事業スキームについて、
「被災地から中間処理施設、最終処分場までの全ての工程を、一貫して委託可能」と主張しているが、
本来は、調整などは、東京都の担当部局ができるはずで、
中間搾取の疑念や、「天下り団体」優遇、との批判を受ける可能性のある同公社を、わざわざ仲介させることは、都民の理解を得られないだろう。
東京都が受け入れる、宮城県女川町の「汚染がれき」の焼却試験では、スラグから141ベクレル(1kgあたり)検出。
23区内清掃工場は、28~89ベクレル。
女川町のスラグの放射能濃度は、1.6~5倍だ。
女川町に隣接する、石巻市の災害廃棄物(繊維類)は、1140ベクレル(1kgあたり)、
福島県に近い山元町で、最大2500ベクレルを検出。
宮城県内の「汚染がれき」は危険だ。
こうした「汚染がれき」の焼却で、都内の子供たちや都民に、健康被害が出る可能性があるにもかかわらず、
関係者の「利権」を優先させようとすれば、都民の批判を招くことは、避けられないであろう。
汚染された災害廃棄物の適切な処理を 2/9/2012
東京都は、宮城県女川町の「汚染がれき」(災害廃棄物)を受け入れるに当たって、該当する区での住民説明会を開いているが、
住民の反発は大きく、説明する側にも、感情的な発言が多々見られるなど、科学的根拠に基づいた説明とは言い難い。
また、現地での災害廃棄物の焼却は、被災地の福島や宮城、岩手の住民の被曝にも、直結する課題だ。
特に福島では、大量の放射性物質が含まれた一般廃棄物を、バグフィルターさえ付いていない清掃工場で焼却する事例もあり、周辺住民が被曝し続けている。
本当に、「汚染がれき」の焼却は安全なのか。
焼却するにしても、放射性物質を減らす方法はないだろうか。
被災地や、受け入れ先の子供たちや住民の、被曝を最小限に抑えるため、除染技術を参考にした、「汚染がれき」の放射性物質低減などの対処が求められよう。
まずは、周辺住民の不安を取り除くため、焼却施設の作業員や、周辺住民の被曝対策が急務だ。
作業員の被曝が問題になっているにもかかわらず、東京二十三区清掃一部事務組合は、周辺住民の被曝対策を全く行ってない。
清掃工場の作業員に対してさえ、実質的に、外部被曝の対策だけであり、「マスクをしていれば大丈夫」との観点から、内部被曝の検査を実施していない。
作業中に、汚染焼却灰の粉じんが舞い上がり、施設内や周辺の住宅地を、汚染する懸念があるにもかかわらず、
内部被曝対策をしないのは、人命軽視はなはだしい、ずさんな極まりない行為だ。
放射性物質を含む、廃棄物を焼却する際は、清掃工場の敷地内や、周辺の住宅地で、
放射線量や、降下してきた放射性物質を測定する、モニタリングポストの設置が、必須条件だ。
文部科学省でさえ、除染に当たる作業員の、内部被曝を想定している。
同省の放射線審議会では、除染作業者の内部被曝の、実効線量の換算値を検討。
作業者が、1時間当たり、180ミリグラムの粉じんを吸入した場合、
1年間(週40時間、52週)で、0.305~15.257ミリシーベルトの内部被曝の可能性がある、としている。
東京だけでなく、放射能汚染の著しい、福島や宮城、岩手での、一般廃棄物の焼却時にも、作業員や周辺住民の被曝対策が求められる。
特に、福島の家庭ごみの焼却施設では、昨年、県内22カ所のうち16カ所で、
1キロあたり、8000ベクレルの環境省の基準を超える、放射性セシウムが検出されるなど、焼却施設の汚染状況は、極めて深刻だ。
放射線への感受性が強い、といわれる子供たちの、防護を真剣に検討し、一時的な疎開も視野に入れた対策が必要であろう。
一般廃棄物中の、放射性物質を減らす方法として、有効な手段の一つは、樹木や枝葉、下草の分別を燃やさないことだ。
これは、災害廃棄物の処理にも適用できる。
女川町の災害廃棄物からは、
繊維類で440ベクレル、
わら220ベクレル、
細じん139ベクレル、
プラスチック100ベクレル、
紙類77ベクレル、
木質69ベクレル(いずれも1キログラムあたり)のセシウム濃度が確認されている。
これらを混ぜずに、汚染度の高い繊維類、わら、細じんを取り除くだけで、かなりの放射性物質を減量できるため、
東京都内に運ばれた災害廃棄物を、都内の清掃工場で再分別をして、汚染度の高い廃棄物は焼却せず、直接埋め立てをすれば、
清掃工場内の汚染や、生活環境中への放射性物質の放出を、減らせるはずだ。
コンクリートや木材等は、専用の洗浄液を使って洗うことで、ある程度の放射性物質を落とせるため、
あらかじめ洗浄するのも、放射性物質の低減策として有効であろう。
集じん効果の高いとみられる、「バグフィルター」の過信は禁物だ。
環境省は、「バグフィルターを使えば99.9%除去できる」と主張しているが、この数字には、事故や整備不良による故障は、一切考慮されていない。
バグフィルター破損で、かなりのばいじんが、大気中に放出されていたとみられるケースもある。
平成16年4月26日付の、豊田加茂広域市町村事務処理組合(当時)がまとめた「藤岡P3号炉バグフィルタ【ろ布】破損について」によると、
年間運転計画に基づき、3号炉ダスト清掃のため、運転を停止し、バグフィルターを点検したところ、
6室ある集じん室すべてで、ダストの噴出を確認。
ばいじん放出の恐れがあるため、運転開始を延期して、破損状況を調査したという。
調査の結果、ばいじんを吸着する「ろ布」576本のうち、211本が、破損していたことが判明。
点検整備会社の株式会社タクマと、運転管理会社の株式会社タクマテクノス西日本支社に、破損原因の調査と、原因の究明を指示したとされる。
ろ布の部分取替えを行ったことや、通気性を回復させるため、ばいじんの払い落とし回数を、標準設定よりも増やしたことが原因、と考察、
点検整備会社のタクマに、全責任があったとして、損益相殺を行った上、約2000万円の取り替え費用の7割を、タクマ側に負担させたとしている。
タクマは、焼却プラントの大手で、建設や整備を多数請け負っており、東京23区内の清掃工場の建設等も手がけている。
東京二十三区清掃一部事務組合足立清掃工場でも、昨年6月、
制御・管理システムの故障で、放射性セシウム等の有害物質を捕獲するとされる、「ろ過式集じん器(バグフィルター)」の入口ガス温度が急上昇、
一歩間違えば、集じん器の破損によって、大量の放射性物質が、大気中に放出される危機に直面していた。
同組合によると、足立清掃工場2号炉で、昨年6月29日午前11時ごろ、ろ過式集じん器入口ガス温度が、連続測定計器で205℃(1時間平均値)を記録。
現場に設置されている、プラント装置の情報を、中央監視において一括して制御・管理するためのシステム(PLC)の一部に、故障が発生。
減温塔の水噴霧制御が、不具合となり、集じん器入口ガス温度が上昇したという。
PLCシステムの部品を、調達・交換するために、焼却炉を停止する事態に陥った。
電源ユニットとCPUを交換して、運転を再開したところ、維持管理計画値以下の、正常な燃焼状態に回復したとされる。
同組合は、集じん器入口で、ガス温度を150~170℃にコントロールしているため、
この温度で、セシウムは全て固体化するため、バグフィルターで捕集できる、と主張していた。
しかし、足立清掃工場で発生していたトラブルでは、ガスを十分に冷却できず、200℃以上となっていた。
高温に弱いバグフィルターが破損した場合、大気中に、ガス化した放射性セシウムが、大量に漏れ出す危険性があった。
同組合も、「バグフィルターの構造上、200℃以下の排ガス温度にしないと、バグフィルターが破損・損傷してしまいます」と述べ、
温度管理が十分なされずに、排ガスがバグフィルター内に入った場合は、故障や破損が発生し、放射性物質が大気中に放出される可能性を示唆した。
このケースは故障とみられるが、ハッカーなどがサイバー攻撃で、清掃工場の管理システムに侵入するなどした場合、
排ガスの温度を上げて、バグフィルターを故障させ、放射性物質を、大気中に放出させることも可能といえる。たとえ、外部と遮断していても、メモリースティックなどの媒体から、侵入を図るウイルスもあり、
サイバー攻撃や、ウイルス対策も、喫緊の課題といえよう。
清掃工場の、事故発生の頻度は高い。
同組合では、ここ数年、1年間に数10件の事故が発生、平成22年度は、65件の故障が起き、このうち休炉になったケースは59件、と深刻だ。
廃棄物の焼却という、危険を伴う作業上、事故をゼロにすることは、事実上は不可能だ。
大量の放射性物質が集中する清掃工場で、大規模な事故や爆発、火災等が発生した場合、
大量の放射性物質が、大気中に撒き散らされ、周辺住民が被曝する危険性が高い。
いずれにしても、災害廃棄物の放射性物質低減対策と、処理施設の安全管理の強化なしには、周辺住民や作業員の被曝を、防げないであろう。
放射性物質に汚染された廃棄物の処理には、被災地、もしくは受け入れ先に、最新の技術を導入した処理施設と、
放射性物質の漏出を防ぐ機能を備えた、最終処分場の設置が必要だ。
【東京二十三区清掃一部事務組合の問い合わせ先】
・ごみ量に関すること
総務部事業調整課
電話 03-6238-0556
・ごみの中身(ごみ性状調査結果)に関すること
施設管理部技術課環境対策係
電話 03-6238-0765
・環境調査に関すること
施設管理部技術課環境対策係
電話 03-6238-0765
・清掃工場等の維持管理状況に関すること
施設管理部技術課技術係
電話 03-6238-0745
汚染がれきのことについて知りたくなると必ず、わたしはここにお邪魔する。
実にあちこちの自治体に、「汚染がれきいりまへんか~」と、官僚の小間使いの行商が密かに日参してて、
知らんうちに、いろんな所の自治体の長が、「汚染がれきを受け入れましょう」と胸を張って言い出した。
市民に公示もせず、問いもせず、そして、自分の所の設備に、どれだけの汚染がきても大丈夫かどうかも知らんくせに、
汚染をどういうふうに受け取って、どういうふうに防御するかの対策も全く立てんまま、根性や思いやりで被ばくが防げるとでも思てるのか、
それとも、がれきについてくる金がそんなに欲しいんか?
その金は、将来、そこに住んでる子供らが、一生苦しまなあかん病気にかかっても、死んでも、それと引き換えにしても欲しいほどの額なんか?
赤ん坊が育たんようになり、子供が死に、そんな町に出かける人間もおらんようになり、結局その金は生かされへん。
いずれそんな町はどっかと合併して無くなるんやろけど、その時にはもうその首長もおらん。
自分がおる時に良かったらええんか?
未来までの責任なんかどんでもええんか?
こんなこと聞いたところでしゃあないことは知ってる。
原発にまとわりついてるハエみたいな人間はみんな、自分のせいとちゃう。自分は知らん。自分は悪ない思てるクズや。
今自分が決めてることかてきっと、自分は決めてへんって言い出すで。後で。
今、汚染がれきをええ加減なことして受け取った奴、受け取ろうとしてる奴の名前、ひとりひとり、どっかの岩に掘って刻まなあかん。
深う深う、千年の雨風にさらされても消えやんぐらいに。
わたしがなんでこんなこと思うのか、それは以下の、新井さんの記事を読んでくれたらわかると思う。
ただ、この記事は1月の3日と、2月の9日に書かれたものやから、それを前提に読んでください。
東京「汚染がれき」処理、「利権」優先か 1/3/2012
宮城県女川町の「汚染がれき」を、東京都内で焼却する問題で、
財団法人東京都環境整備公社が、災害廃棄物処理で、巨額の運転資金を得ることが判明した。
同公社の理事長は森浩志元東京都環境局次長。
この典型的な「天下り団体」に、東京都は、3年間で約280億円を貸し付ける予定で、同公社が、事業者と処理・運搬契約を結ぶ。
石原都知事は、被災地の支援を主張し、都民の反対があるにもかかわらず、人口密度の高い東京都内で、焼却実施を強行しようとしているが、
石原都知事と都庁、リサイクル・産業廃棄物処理業者ら政・官・財の、不透明な「利権の構図」が明らかになったことで、
「汚染がれき」焼却は、見直しを迫られるのは必至だ。
東京都災害廃棄物受入処理の事業スキームでは、東京都環境整備公社が、重要な位置を占める。
東京都から、事務費や、運転資金の貸し付けが受けられることで、平成23年度は、運転資金として約70億円、3年間で約280億円の巨額の資金が、同公社に流れ込む。
さらに同公社は、船舶や鉄道貨物、陸送事業者と運搬契約を結ぶほか、
東京二十三区清掃一部事務組合や、都内市町村・一部事務組合、リサイクル業者、産廃焼却業者、東京都の廃棄物埋立処分場などと処理契約を結ぶ。
「汚染がれき」処理の政策決定過程で、同公社が、巨額の資金と権限を獲得することになった。
「汚染がれき」の受け入れを、迅速に進めるため、国の補助を待たずに、事業者らに処理費用を迅速に支払う目的で、
わざわざ東京都が、同公社に、3年間で約280億円を貸し付けるという。
「汚染がれき」を受け入れるかどうかについて、都民の合意を得る前に、
税金を投入してまで、「汚染がれき」を処理したいと企図する、政・官・財の思惑を、優先させた格好だ。
東京都は、同公社を中心とする、事業スキームについて、
「被災地から中間処理施設、最終処分場までの全ての工程を、一貫して委託可能」と主張しているが、
本来は、調整などは、東京都の担当部局ができるはずで、
中間搾取の疑念や、「天下り団体」優遇、との批判を受ける可能性のある同公社を、わざわざ仲介させることは、都民の理解を得られないだろう。
東京都が受け入れる、宮城県女川町の「汚染がれき」の焼却試験では、スラグから141ベクレル(1kgあたり)検出。
23区内清掃工場は、28~89ベクレル。
女川町のスラグの放射能濃度は、1.6~5倍だ。
女川町に隣接する、石巻市の災害廃棄物(繊維類)は、1140ベクレル(1kgあたり)、
福島県に近い山元町で、最大2500ベクレルを検出。
宮城県内の「汚染がれき」は危険だ。
こうした「汚染がれき」の焼却で、都内の子供たちや都民に、健康被害が出る可能性があるにもかかわらず、
関係者の「利権」を優先させようとすれば、都民の批判を招くことは、避けられないであろう。
汚染された災害廃棄物の適切な処理を 2/9/2012
東京都は、宮城県女川町の「汚染がれき」(災害廃棄物)を受け入れるに当たって、該当する区での住民説明会を開いているが、
住民の反発は大きく、説明する側にも、感情的な発言が多々見られるなど、科学的根拠に基づいた説明とは言い難い。
また、現地での災害廃棄物の焼却は、被災地の福島や宮城、岩手の住民の被曝にも、直結する課題だ。
特に福島では、大量の放射性物質が含まれた一般廃棄物を、バグフィルターさえ付いていない清掃工場で焼却する事例もあり、周辺住民が被曝し続けている。
本当に、「汚染がれき」の焼却は安全なのか。
焼却するにしても、放射性物質を減らす方法はないだろうか。
被災地や、受け入れ先の子供たちや住民の、被曝を最小限に抑えるため、除染技術を参考にした、「汚染がれき」の放射性物質低減などの対処が求められよう。
まずは、周辺住民の不安を取り除くため、焼却施設の作業員や、周辺住民の被曝対策が急務だ。
作業員の被曝が問題になっているにもかかわらず、東京二十三区清掃一部事務組合は、周辺住民の被曝対策を全く行ってない。
清掃工場の作業員に対してさえ、実質的に、外部被曝の対策だけであり、「マスクをしていれば大丈夫」との観点から、内部被曝の検査を実施していない。
作業中に、汚染焼却灰の粉じんが舞い上がり、施設内や周辺の住宅地を、汚染する懸念があるにもかかわらず、
内部被曝対策をしないのは、人命軽視はなはだしい、ずさんな極まりない行為だ。
放射性物質を含む、廃棄物を焼却する際は、清掃工場の敷地内や、周辺の住宅地で、
放射線量や、降下してきた放射性物質を測定する、モニタリングポストの設置が、必須条件だ。
文部科学省でさえ、除染に当たる作業員の、内部被曝を想定している。
同省の放射線審議会では、除染作業者の内部被曝の、実効線量の換算値を検討。
作業者が、1時間当たり、180ミリグラムの粉じんを吸入した場合、
1年間(週40時間、52週)で、0.305~15.257ミリシーベルトの内部被曝の可能性がある、としている。
東京だけでなく、放射能汚染の著しい、福島や宮城、岩手での、一般廃棄物の焼却時にも、作業員や周辺住民の被曝対策が求められる。
特に、福島の家庭ごみの焼却施設では、昨年、県内22カ所のうち16カ所で、
1キロあたり、8000ベクレルの環境省の基準を超える、放射性セシウムが検出されるなど、焼却施設の汚染状況は、極めて深刻だ。
放射線への感受性が強い、といわれる子供たちの、防護を真剣に検討し、一時的な疎開も視野に入れた対策が必要であろう。
一般廃棄物中の、放射性物質を減らす方法として、有効な手段の一つは、樹木や枝葉、下草の分別を燃やさないことだ。
これは、災害廃棄物の処理にも適用できる。
女川町の災害廃棄物からは、
繊維類で440ベクレル、
わら220ベクレル、
細じん139ベクレル、
プラスチック100ベクレル、
紙類77ベクレル、
木質69ベクレル(いずれも1キログラムあたり)のセシウム濃度が確認されている。
これらを混ぜずに、汚染度の高い繊維類、わら、細じんを取り除くだけで、かなりの放射性物質を減量できるため、
東京都内に運ばれた災害廃棄物を、都内の清掃工場で再分別をして、汚染度の高い廃棄物は焼却せず、直接埋め立てをすれば、
清掃工場内の汚染や、生活環境中への放射性物質の放出を、減らせるはずだ。
コンクリートや木材等は、専用の洗浄液を使って洗うことで、ある程度の放射性物質を落とせるため、
あらかじめ洗浄するのも、放射性物質の低減策として有効であろう。
集じん効果の高いとみられる、「バグフィルター」の過信は禁物だ。
環境省は、「バグフィルターを使えば99.9%除去できる」と主張しているが、この数字には、事故や整備不良による故障は、一切考慮されていない。
バグフィルター破損で、かなりのばいじんが、大気中に放出されていたとみられるケースもある。
平成16年4月26日付の、豊田加茂広域市町村事務処理組合(当時)がまとめた「藤岡P3号炉バグフィルタ【ろ布】破損について」によると、
年間運転計画に基づき、3号炉ダスト清掃のため、運転を停止し、バグフィルターを点検したところ、
6室ある集じん室すべてで、ダストの噴出を確認。
ばいじん放出の恐れがあるため、運転開始を延期して、破損状況を調査したという。
調査の結果、ばいじんを吸着する「ろ布」576本のうち、211本が、破損していたことが判明。
点検整備会社の株式会社タクマと、運転管理会社の株式会社タクマテクノス西日本支社に、破損原因の調査と、原因の究明を指示したとされる。
ろ布の部分取替えを行ったことや、通気性を回復させるため、ばいじんの払い落とし回数を、標準設定よりも増やしたことが原因、と考察、
点検整備会社のタクマに、全責任があったとして、損益相殺を行った上、約2000万円の取り替え費用の7割を、タクマ側に負担させたとしている。
タクマは、焼却プラントの大手で、建設や整備を多数請け負っており、東京23区内の清掃工場の建設等も手がけている。
東京二十三区清掃一部事務組合足立清掃工場でも、昨年6月、
制御・管理システムの故障で、放射性セシウム等の有害物質を捕獲するとされる、「ろ過式集じん器(バグフィルター)」の入口ガス温度が急上昇、
一歩間違えば、集じん器の破損によって、大量の放射性物質が、大気中に放出される危機に直面していた。
同組合によると、足立清掃工場2号炉で、昨年6月29日午前11時ごろ、ろ過式集じん器入口ガス温度が、連続測定計器で205℃(1時間平均値)を記録。
現場に設置されている、プラント装置の情報を、中央監視において一括して制御・管理するためのシステム(PLC)の一部に、故障が発生。
減温塔の水噴霧制御が、不具合となり、集じん器入口ガス温度が上昇したという。
PLCシステムの部品を、調達・交換するために、焼却炉を停止する事態に陥った。
電源ユニットとCPUを交換して、運転を再開したところ、維持管理計画値以下の、正常な燃焼状態に回復したとされる。
同組合は、集じん器入口で、ガス温度を150~170℃にコントロールしているため、
この温度で、セシウムは全て固体化するため、バグフィルターで捕集できる、と主張していた。
しかし、足立清掃工場で発生していたトラブルでは、ガスを十分に冷却できず、200℃以上となっていた。
高温に弱いバグフィルターが破損した場合、大気中に、ガス化した放射性セシウムが、大量に漏れ出す危険性があった。
同組合も、「バグフィルターの構造上、200℃以下の排ガス温度にしないと、バグフィルターが破損・損傷してしまいます」と述べ、
温度管理が十分なされずに、排ガスがバグフィルター内に入った場合は、故障や破損が発生し、放射性物質が大気中に放出される可能性を示唆した。
このケースは故障とみられるが、ハッカーなどがサイバー攻撃で、清掃工場の管理システムに侵入するなどした場合、
排ガスの温度を上げて、バグフィルターを故障させ、放射性物質を、大気中に放出させることも可能といえる。たとえ、外部と遮断していても、メモリースティックなどの媒体から、侵入を図るウイルスもあり、
サイバー攻撃や、ウイルス対策も、喫緊の課題といえよう。
清掃工場の、事故発生の頻度は高い。
同組合では、ここ数年、1年間に数10件の事故が発生、平成22年度は、65件の故障が起き、このうち休炉になったケースは59件、と深刻だ。
廃棄物の焼却という、危険を伴う作業上、事故をゼロにすることは、事実上は不可能だ。
大量の放射性物質が集中する清掃工場で、大規模な事故や爆発、火災等が発生した場合、
大量の放射性物質が、大気中に撒き散らされ、周辺住民が被曝する危険性が高い。
いずれにしても、災害廃棄物の放射性物質低減対策と、処理施設の安全管理の強化なしには、周辺住民や作業員の被曝を、防げないであろう。
放射性物質に汚染された廃棄物の処理には、被災地、もしくは受け入れ先に、最新の技術を導入した処理施設と、
放射性物質の漏出を防ぐ機能を備えた、最終処分場の設置が必要だ。
【東京二十三区清掃一部事務組合の問い合わせ先】
・ごみ量に関すること
総務部事業調整課
電話 03-6238-0556
・ごみの中身(ごみ性状調査結果)に関すること
施設管理部技術課環境対策係
電話 03-6238-0765
・環境調査に関すること
施設管理部技術課環境対策係
電話 03-6238-0765
・清掃工場等の維持管理状況に関すること
施設管理部技術課技術係
電話 03-6238-0745