ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

連続殺人鬼、平和の使者アトム!

2012年02月02日 | 日本とわたし
よく読ませていただいている、kobajunこと、小林順一さんのブログに、原子力発電の歴史と経緯がわかりやすい文章で書かれていました。
これは、チップ・ワード氏の論文を、小林さんが和訳してくださったものです。
以下、転載させていただきます。

【ついに連続殺人鬼の正体を現した、平和の使者アトム(原子力発電)】   投稿日: 2012年1月5日 作成者: admin

[広島、長崎、ニューメキシコ、ナバホ・インディアン、チェルノブイリ…あらゆる場所で、あらゆるプロセスで、人々が殺されてしまった]

チップ・ワード/ル・モンド・ディプロマティーク(フランス)



まず言わなければならないことはメルトダウンは起きている、という事です。

ちょうど25年前に起きたチェルノブイリ事故で、ソ連当局が放射線の拡散を否定し、
制御不能に陥りすぐには状況を把握できない程悲惨な原子力発電所の状態を甘く見たのと同様、
日本の当局も内容が矛盾し合い、意味不明の報告を連発することで福島で発生した危機の最初の一週間を空費しました。
私たちには「放射線量が上がった」「下がった」「また上がった」と混乱した情報が入り、
実際に放射能を測定していた一部の官僚を除き、ほとんどの人間が正確な数値を把握していませんでした。
現場の状況は制御下にある、と伝えられていましたが、一部を除く原発職員の避難は続いていました。
汚染の危険性は無い、と伝えられましたが、原子炉も発電所も封鎖されました。


▽ 最初の放射性降下物質

恐ろしい状況にもかかわらず、予想していた通り当たり障りのない、安全を保障する官僚的作文が発表されました。
特に東京電力から誤った情報が提供されたことは、『お約束』ともいうべきものでした。
もしあなたが、原子力産業界の際立った特徴は、その専門性にあると考えているとしたら、こう考えなおしてください。
彼らは、人類が生み出した中で、最も洗練された恐ろしい技術をマスターするための、数学と物理を習得した、ミニ・アインシュタインの集団に過ぎない、と。
記録に当たれば、彼らが根っからのうそつき集団である、という事が、その際立った特徴であることがわかります。


私はそのことを、一人の市民運動家として学び取りました。
原子力発電を行った結果生み出される、高い濃度の放射線を放出する、使用済み核燃料の廃棄について、
何万トンであろうが、それをただただ地中深く埋めるしかない、という原子力産業界の基本的枠組みに、反対を唱える厳しい戦いの中で。
それは今、福島で高熱を発しながら燃えており、私が暮らすユタ州の裏庭に埋められています。

これからお話しすることは、私の実際の経験に基づくものです。

原子力業界は、常習的に不正表示を行い、自分たちに都合の良い解釈を広め、疑惑はすべて否定し、
ときにはあからさまに他人をだます伝統を持つ、詐欺的集団
です。

これまで50年以上にわたり、ずさんな管理と事故の隠蔽を繰り返しながら、
原子力発電の危険性とコストについて、常習的に嘘をつき続けてきました


原子力発電の支持者と広報担当者が、嘘をついてきたかどうか、それとも、私たちがただ単に騙されていたのか。
人々を危険に陥れる、誤った情報を与える当局側、メルトダウンは起きているという、正直な市民の見方、という構図は、
チェルノブイリと変わらないにしても、福島の事故に遭遇することによって、私たちはやっと、議論をできる状況になってきました。

核時代の幕開けとともに確立された偽装の手口は、福島第一原発が制御不能に陥るずっと以前から、手垢がつくほど繰り返し用いられてきました。

1950年代初頭、原子力の使者、あるいはその時名づけられた『原子力の平和利用』は、
原子力発電がすぐに、タダ同然の低コストで、効率的に消費者に電力を供給できるようになる、と主張しました。
彼らが披露した『先見の明』の中には、都市のビルディングを建設する際、ウラニウムを建築材料に混ぜ込めば、
核分裂による発生する熱によって、冬場の除雪が不要になるだろう、というものまでありました。
新たな港の開削を、簡単に片付けるために、原子爆弾を使うべきである、そう強く主張した人々さえいました。
また、低線量であれば、放射線は健康に良い、と誓ってみせた
のです。

そのようなたわごと、愚劣な絵空事は、新たに生まれた産業界、そして、戦争の方法が生み出したプロパガンダであり、
今日では一笑に付されるだけですが、その当時は、深刻な悲劇を生むことになりました。

たとえば、アメリカの数千人の兵士たちの悲劇。
将来の核戦争の戦場で、兵士たちはどのように対応すればよいのか、軍事計画担当者の資料とするため、
ニューメキシコで原子爆弾を投下した直後、塹壕に隠れていた兵士たちが、投下地点めがけて進撃を命じられました。
当然の結果として、無知は、実り多い研究結果をもたらすどころか、数千人の兵士に、原爆症を発症させることになりました。
多くの若い兵士が、間もなく死亡しました。

この、アメリカ西部にある核実験場の、風下に当たる地区に住んでいた、何も知らない一般市民もまた、被ばくすることとなり、
あらゆる種類の癌や、原因不明の病に倒れることになりました。

核時代の幕開け、地中深く潜って、原子力発電や核兵器の原料となる、ウラニウムの採掘に従事した鉱山労働者たちも、
被ばくにより、原爆症を発症、短期間で死亡していきました。
福島の事故以前、核時代の幕開けに起きた、原子力ルネッサンスの犠牲になったのは、
当時ウランブームに沸いた、ユタ州の貧しいナバホ・インディアンの人々だったのです。


[現在の処理方法では、核廃棄物は際限もなく増え続ける]
[将来の世代に危険な核廃棄物を押しつける事は、許されない非人道的な行為]


 
▽『起きそうにもない危険』が、どうして『避けられない危険』に変わったのか?

現在、原子力産業界の支持者が行っている『原子力発電のリスクは低い』という主張は、
過去のプロパガンダが偽りであったと同様、将来的には間違いなく、悲劇的なほど楽観的であった、という事になるでしょう。
確かに、あらゆる原子炉が、メルトダウンを起こす訳ではありません。
しかし、それは決して起きない、という事ではなく、原子力発電に限って言えば、
その危険性は、人為的ミスに特に集中している事に気づかされます。

使用済み核燃料(福島で燃えているのもまさにこれです)、これは原子炉の稼働によって生み出されますが、
「使用済み」であってもたいへん熱く、数千年が大げさだと言うのなら、少なくとも数百年間、非常に危険な存在です。
残念ながら私たちは、使用済み燃料の危険性について、福島の実際の事故ーメルトダウンによって学ばなければなりませんでした。
実際に正常に稼働している炉心よりも、多量の放射能を放出し、そして危険な存在です。

現在の処理方法では、核廃棄物は際限もなく増え続けていくしかなく、
私たちはこれを注意深く管理し、大気中への放射線放出について、モニターしなければなりません。

そして、もはや現在の言語が通じない程遠い未来の人々が、万が一これを掘り出したとき、
これがなんであるかをすぐに解らせるよう、処理施設を設計しなければならない
、という問題もあります。
あなたは今、私たちが使っている言語がそうそう変わるものではなく、
核廃棄物の極めて高い毒性・危険性については、遠い未来の人々にもちゃんと伝えられる、と考えるかもしれません。
しかし、その考え方は、人々を欺こうとする、原子力産業界の幹部たちの傲慢さと変わりありません。

自然災害、事故、テロ攻撃、これまで数年間、数十年間は、それ程多くは無いか、まったく皆無の物事でした。
しかし、これから半世紀の間、あるいは一世紀、数世紀の間には、そうはいかなくなるでしょう。
実際のところ、時間が経てば経つほど、こうした危険性は避けられなくなってきます。
あなたや私が、運良くそうした被害を免れる事ができたとしても、
私たちの子どもたち、孫たち、あるいはひ孫たちの世代に、こうした死に至らしめる程危険な核廃棄物を押しつける事は、許されない非人道的な行為です。

推進派は、原子力発電所の稼働の是非に関する議論を、封殺しようとして来ました。
そして、危険な核廃棄物が、蓄積され続けている事について、これまで議論される事はありませんでした。
同じく、危険な核廃棄物輸送(移動するチェルノブイリと言われるものです)に関する議論と合わせて、
推進派は、こうした問題が浮上しないよう、意図的な無視を続けてきました。



この核廃棄物の問題を、将来に先送りする事は、大災害の危険性を孕んでいる、という事はあまり知られていません。
例えば、核廃棄物を輸送中の列車が、大都市近くで脱線事故を起こし、まだ熱を持ったままの核廃棄物がまき散らされでもしたら、
多くの近隣の人々が、避難を強いられる事になります。
この事は、核廃棄物輸送が行われている限り、福島で起きているメルトダウンがどんな場所でも起こりうる、という事を本質的に意味します。

こうしたリスクは、可能性以上のものであり、まさに衝撃的です。
あなたが私の家の庭を散歩する際、蚊に刺される確率が100分の1で、猛毒を持つマムシに噛まれる確率も同じ100分の1だとしたら、
あなたはその危険性は同じだと考えますか?
福島の事故が全世界で報道され、私たちが考えなければならないのが蚊ではなく、猛毒を持ったマムシの事である、とあなたも気づかれた事と思います。

もしあなたが、原子力産業界を代表する人々と議論しても、彼らは一貫して、事故の発生の確率とその影響の両方の軽視を続け、
反対する者を、ヒステリックな悲観論者として、排除してきたことを思い知らされるだけ
でしょう。
しかし、福島第一原発の事故により、これからは、そう思い通りには行かなくなるでしょう。


[隠されたコスト、そして何のための補助金]
『原子力発電所経営がうまくいけばその利益は企業の取り分、失敗したらその責任は納税者に転嫁すべし』




▽隠されたコスト、そして何のための補助金

もうひとつの問題、原子力発電の真のコストは、その推進者たちによって入念な工作が行われ、
一瞥しただけでは解らないようにされてしまいました。

原子力発電は、その開始以来、アメリカ合衆国政府補助金の上でも、非常に優遇されてきました。
憂慮する科学者連盟による最近の調査により、ウランの採掘から、核廃棄物を長期的に貯蔵する核燃料サイクルまで、
あらゆる段階で、30以上の項目にわたり、補助金が支出されている事が明らかになりました
さらには、こうした補助金は、生み出された電力の市場実勢価格を、上回って支給されている事も、あわせて報告されています。
こと発電となると、補助金は、実に多方面に渡って、支給されているのです。

今回の調査は、こう結論づけています。
「いくつかの場合では、このような補助金制度は、自由市場で電気を買う以上のコストを、納税者に負担させる事になり、結果的に納税者を欺く事が起こり得る」

アメリカ上院共和党の指導的立場にいる、ミッチ・マッコーネル率いる原子力発電推進派が、思い通りに事を進めることになれば、
次世代の原子力発電所建設資金のため、政府が借金を肩代わりする分も含め、さらに数十億円規模の予算が、補助金の形で認められる事になります。
この補助金が無ければ、巨額の予算超過が発生しやすく、工事は遅れ、突然のキャンセルすら発生する事で悪名高い原子力発電所建設に、
銀行が金を貸したがらないという事態に陥ることが起こり得る原子力産業界にとって、重要な問題
です。

オバマ政権はすでに、新たな原子力発電所建設を可能にする、360億ドル(2兆7,800億円)の追加補助金を提案しています。
これには、メキシコ湾沿岸に建設予定の、2基の原子炉のための予算40億ドルが含まれますが、
これは、東京電力(そう、福島第一原発の運営会社として世界的に有名になった)との共同事業
です。
こうした補助金を受けているにも関わらず、私が議論すると、原子力発電の推進者たちは、必ずこう言うのです。

原子力発電はコストの面で、風力や太陽光のような代替エネルギーよりも割安であると。

ぼろ儲けを目論む政治家たちは、単に原子力発電所を建設するだけでは満足しません。
連邦政府の役人たちは、核廃棄物の処理と管理投棄に、巨額の費用がかかると想定してきました。
現在は、廃棄物の受け入れを中止した、ネバダ州のユッカ・マウンテンのような施設を、
数十億、数百億ドルをかけて、また新たに建設する事になれば、その地の人々は国税、地方税の両方で、負担を強いられる事になります。


原子力産業界のスポークスマンは、こうした補助金は、数千の雇用を生み出す効果がある、と主張します。
しかし、残念ながら、マサチューセッツ工科大学が、2009年に行った調査は、こう結論づけています。
今後一切、原子力発電関連施設の建設・改修が行われなくなっても、
太陽光、風力を含めた再生可能エネルギー設備への投資、エネルギーの節約のため建造物の改修等を行う事により、それ以上の雇用が生まれる
のです。

最後に、最近改訂されたプライス・アンダーソン原子力産業補償法は、
日本で起きたような大惨事が、ここ米国で起きた場合の、原子力発電会社の責任を限定しています。

福島の大災害からの日本の回復コストは、天文学的な金額になります。
ここアメリカでは、もし原子力発電所で事故が起きれば、そのツケはあなた、つまり一般市民が支払う事になるのです。
彼らは、福島のような事故は、ここアメリカでは起きない、と主張しながら、
その裏では、もうけを得るのは自分たち、損をするのは一般市民、と慎重に選り分けているのです。
私たち全員が、原子力産業界の、以下のシナリオを知っておく必要があります。

『原子力発電所経営がうまくいけば、その利益は企業の取り分、失敗したら、その責任は納税者に転嫁すべし』

そしてもうひとつ、原子力発電の推進者たちは、自分たちを、『環境に優しい存在』だと宣言し、
原子力発電は温室効果ガスを排出しないため、自分たちの業界は、地球温暖化への理想的な解決手段である、と主張しています。
そう主張することで、彼らは、原子力発電の正体を隠そうとしています。

二酸化炭素が、原子力発電所の煙突から出ていない、それは本当です。
しかし、原子力発電を行う事によって生み出される、有毒な核廃棄物を処理し、安全に貯蔵し続けるための設備を維持していくためには、
大量の、二酸化炭素を放出する
事が、確認されています。
そして、鉱山からウランを採掘し、原子力発電用の燃料棒に加工し、コンクリートと鋼財を使って巨大な原子炉を建設し、
核廃棄物を1000年の間保管するため、信じられない程巨大な処分場を建設
する。
そして、福島のメルトダウンによって発生した放射性物質は、今や日本の食物連鎖に入ってしまっています。

いったいこれのどこが『環境に優しい存在』なのでしょうか?


ここからは訳者小林氏のコメントを少し。

原発関連の記事を翻訳していると、時に胃がひっくり返るぐらいの怒りを覚える事があります。

『原子力発電所経営がうまくいけばその利益は企業の取り分、失敗したらその責任は納税者に転嫁すべし』

福島第一原発の事故でも、このチップ・ワード氏語るところの『シナリオ』通りに事態が進行しています。
「国が責任を持って行う」、何だか立派な事を言っているようですが、
内実は東京電力ではなく、国民の税金を使って処理のほとんどを行う、ということに他なりません。

では私たちの「責任」とはいったいなんでしょうか?
その答えはこれまで翻訳して来た数々の記事の中にもありました。
「救済を求める広島・長崎の被爆者の声に耳を貸さなかった」
「原子力発電の偽りだらけのプロパガンダ」

ここからはわたし。

人類が生み出した中で、最も洗練された恐ろしい技術をマスターするための数学と物理を習得した、ミニ・アインシュタインの集団に過ぎない、根っからのうそつき集団。

原子力業界は、常習的に不正表示を行い、自分たちに都合の良い解釈を広め、疑惑はすべて否定し、
ときにはあからさまに他人をだます伝統を持つ、詐欺的集団。

彼らが披露した『先見の明』の中には、都市のビルディングを建設する際、ウラニウムを建築材料に混ぜ込めば、
核分裂による発生する熱によって、冬場の除雪が不要になるだろう、というものまであった。
新たな港の開削を、簡単に片付けるために、原子爆弾を使うべきである、そう強く主張した人々さえいた。
また、低線量であれば、放射線は健康に良い、と誓ってみせたりした。

こんな恐ろしい生き物が人間面して、わたしらが暮らす世界に生きてる。
これはほんまにえらいこっちゃ。
知らん間に張り巡らされてた罠の網を、自分の周りだけでもええから切り裂かな、殺されてまう。
この罠はとてつもなくデカいから、そらもうものすごい人数が要るで。
廃棄物を埋めるしかないって、わたしらは勝手に決めてしもてるけど、ほんまや、この先何百年も後に、もしこの地球が残ってたらのことやけど、
その穴を掘らなあかんかったり、巨大地震で穴もろとも崩れたりした時、いったい誰がどないして、そのとてつもない危険を知らせるのか。
そらな、ビル・ゲイツが胸張って講演しまくってる、次世代の、核廃棄物を燃料にした、それで今までの核のゴミが一掃されるはずの小型原発の開発が成功したらええで。
いったいそのことにどんだけの時間と金がかけたんか知らんけど、なんでそんなにまでして核を使いたいんやろ?
開発し続ける限り、そこにも核物質はうじゃうじゃあるわけで、もうすでに何十年も研究してるけどまだまだで、
このことに関しては、研究する意味も価値もあらへんと、なんでわからんのやろ?
電気電気電気。
もちろん必要やよ。
今更、家事を全部、電化製品使わんとやれって言われたら、そら困る。
洗濯なんか特に。
けど、節電やったらできるで。
日本人はもったいない精神を心の遺伝子に組み込まれてる民族やねんから。
途方も無く危険なもんで作った電気は使いとうない。
そやから止めて欲しい。
止めたら節電せなあかんのやったら節電する。
それでええやんか。
どこがあかんの。
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