ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「リニアやるなら、ハンをついた人間に失敗した時のツケをすべて負わせる仕組みに改めるべき」かさこ氏

2013年09月19日 | 日本とわたし
BROGOSに掲載されている、かさこ氏の『リニア新幹線』についての取材記事を転載させてもらいます。

↓以下、転載はじめ(文字の強調はわたしがしました)

未来世代の不良債権リニア新幹線ゴリ押しで、JR東海がJAL・東電の二の舞になる危険
~すべては国民のツケに~


リニア新幹線計画って、こんなに狂気な計画だとは思いもしなかった……。

リニア新幹線についてどう思うか?と聞かれて、「何が何でも絶対に反対だ!」という人は少ないのではないか。
だって、税金を使うわけではなく、JR東海が全額負担するわけだし、
夢の超特急ができるなら、一度くらいは乗ってみたい、ぐらいの感覚ではないか。
私もそうだった。

このため、
「来年から建設着工予定のリニア新幹線計画を、なんとして止めたい。
しかし国民の関心はあまりに薄い。
ブログを拝見し、この問題について、ぜひブログで書いてほしい。 現地を案内しますので」
と、建設予定地の南アルプスそば、長野県大鹿村に住む、浮島仁子さんからメールをいただいた時、正直ぴんとは来なかった。
だから、
「取材はしますが、リニア反対、という記事を書くとは限りませんよ」 と返信したのだが、それでもいいというので行ってきた。

ちなみに、リニア新幹線建設にかかる費用は、約9兆円。
来年から建設をはじめ、今から14年後の2027年に、品川ー名古屋間開通。
今から32年後の2045年に、品川ー大阪間が開通予定、という計画だ。





新宿から高速バスで諏訪湖を通り、駒ケ根を通り、飯田の手間。
松川インターで降りて、そこから車で約1時間。
四方を山に囲まれた、自然豊かな、THEニッポンの田舎といった大鹿村に到着。
春になると、様々な花々が咲き乱れ、現代の桃源郷とも呼ばれる美しい村になるという。
人口は1100人あまり。
南アルプスの登山口があることから、登山客が多い。

浮島さんは、トンネル建設予定地になると思わしき周辺を、案内してくれた。
現場を見せることで、反対理由が理解できるのではないか、という狙いだろう。

「かさこさん、こんな狭い山道に、これから約10年、膨大なトンネル工事のために、狭い山道である村民の生活道路に、ダンプが行きかうことになるんですよ。
怖くて、こんなところに住めなくなってしまう。実質上、村人は住めなくなってしまう」







「この村は、中央構造線が南北に縦断しており、周囲の山は脆弱な地質のため、大崩壊地や地すべりが起きている。
こんな危険な場所にトンネルを作ったら、さらに危険な場所になりかねない」 と、
村を貫く小渋川沿いの山々を見て回り、崩落、地滑りが起きている様子を、度々、写真に撮ってほしいと言われた。

「リニア反対を訴えるには、言葉だけでなく写真が重要。
私が撮影した写真では、こんなところにリニアを建設するのはおかしい、ということが伝わらない。
かさこさんが撮影してくれれば、多くの方に、建設計画の無謀さを訴えられるのではないか」との狙いもあって、私に依頼したという。

確かに、地元住民にとっては死活問題だ。
桃源郷の村にダンプが行きかい、地滑りが起きている山で、トンネル工事を10年もはじめるなんて、とんでもないことだと。

でも、と思う。
日本社会全体の利益を考えた時に、もし、東京と大阪を短時間で結ぶ交通インフラが、何が何でも必要ならば、
多少、小さな村が潰れてしまうことは、致し方がない。
小さな村を潰さないことを最優先にしたら、日本全国、どこにも道路や鉄道は作れなくなってしまう。
もちろん、先に住んでいた人を追い出すわけだから、きちんとした補償をするなり、その事業の必要性を、丁寧に説明することは欠かせない。

また、地滑りが起きている山だからといって、地下に掘るトンネルが危ないのかは、正直、私にはよくわからない。



そもそも、見せられた大崩落地の一つは、1961年(昭和36年)に起きた集中豪雨によるものだ。
50年以上も前の話だ。

確かに、トンネルを掘るのは、大環境破壊かもしれない。
でも私は、環境保全至上主義者ではない。
そんなに環境が大事なら、人間が死ぬしかない。
人間は、多かれ少なかれ、環境を壊して暮らしている。
すべてにおいて環境を最優先したら、人間は生活できなくなり、何も作れなくなってしまう。
リニアのトンネルが環境破壊なら、道路のトンネルだって、鉄道のトンネルだって、環境破壊でやめるべきだろう。

重要なことは、人間に悪影響を与えない、環境破壊をしないこと。
生態系が根本的に変わって、人間が暮らせなくなってしまうような、環境破壊をしないことではないか。
だから、環境に取り返しのつかない、破壊的な被害を与える原発は、何が何でも反対だが、CO2を多少出そうが、火力発電所にまで反対はしない。
原発反対派の中には、「火力発電所も環境破壊だ」というが、だったら電気使わず生活しろよ、と言いたくなる。
多少の環境破壊になったとしても、致命的な環境破壊にはならず、人間社会が便利になるなら、それに反対する理由はない。

だから私は、地元の村人がかわいそうだから、リニアはやめるべきだ、とはまったく思わない。
逆に、村人の中には、リニア建設であぶく銭を稼げて、喜んでいる人もいる。
二束三文の田畑が、建設予定地の資材置き場になると高値で売れるとか、
工事関係者が、この先何年も宿泊して安泰だとか、
地元の建設業に、大きな仕事が入ってくる可能性もあるだろう。
地元には、「反対なんかして金儲けのジャマをするな!」という意見もあるだろう。

また、環境破壊だからやめるべきだ、とも思わない。
例えば東海道新幹線だって、トンネルいっぱい作って環境破壊しているわけだが、 環境破壊しているから電車を止めろ、という人はいないだろう。
日本社会には欠かせないインフラだからだ。
もし、リニアもそうであるなら、重大な環境破壊を起こさない限り、 何が何でも反対する必要はない。

でも、浮島さんから、リニア計画についていろんな話を聞き、また、橋山禮次郎著の「必要か、リニア新幹線」という本を読んだりすると、
今までたいした関心もなかったリニア建設だったが、これは、何が何でも反対しないとまずい代物ではないか、と思えてきた。


その理由はズバリ、どうやっても必要性が見い出せず、明らかにJR東海の収益悪化をもたらし、それが最終的には、国民の負担になる不良事業だからだ。

はっきりいって、リニア建設計画は狂っている
例えるなら、JR東海が9兆円の借金をして、万馬券の馬に全額賭けます、といっているような話だ。
あまりにバカげていて、建設する意味がわからない

ただ、このリニア計画がミソなのは、税金ではなく、JR東海が、全額負担して事業を行うことだ。
国民の血税を使うわけじゃない。
JR東海がやるんだからいいだろうと。

でも、果たしてそうだろうか?
リニア計画が、どっかのベンチャー企業がやるならともかく、
国民にとってなくてはならない生活の足を、ほぼ独占的に保有している、極めて公共性の高い鉄道会社がやるわけだ。
9兆円もかけてリニア作ったのに、まったく採算が合わずに赤字になってしまえば、その負担は、通常のJR東海の運賃に、上乗せされる形になる。
失敗が目に見えている大バクチをしたせいで、そのツケは、結局は、国民に降りかかってくるのだ。

リニアが失敗してその会社が倒産するなら、国民には何の被害もない。
融資したアホな銀行が、不良債権を抱え込むだけだ。
しかし、そうではない。
そのツケは、国民の生活の足に上乗せされるのだ。

JALの破綻や、東京電力の“破綻”と同じことだ。
ずさんな経営で、かけるべきところにお金をかけず、いい加減なところに金をかけ、経営が悪化したら、そのツケは国民が背負わされる
赤字経営になろうが破綻しようが、JALや東電は潰せない。
なぜなら、代替手段がほとんどないからだ。
JR東海も、それと同じ。
自社負担だからいいではないか、では済まされなくなる。

9兆円もかけて、JR東海が、リニアで建設費を回収できるとは思えない、大きな理由は2つ。

その1
そんなに速くない
リニアは、東京ー大阪間を、67分で結ぶという。
東海道新幹線は138分。
2時間が1時間になると考えれば、早いかもしれないが、東海道新幹線のように、在来線の乗り換えが便利な、地上にホームがあるわけではない。
地下奥深くに、ホームがある
在来線からの乗り換えで、東京、大阪ともに、地下ホームの移動までに10分ずつかかったとしたら
乗っている時間が1時間でも、それにプラス20分もかかることになる。

まして、所要時間が短かったとしても、現在の東海道新幹線並みの、本数の多さがあるのかどうか
例えば、30分に1本しかないなら、所要時間が短くても、待ち時間がかかってしまい、
トータルで見たら、本数の多い東海道新幹線とたいして変わりない、なんて話になりかねない。

リニアは時速500キロだが、2010年に、中国の新幹線が、テスト走行で時速486kmを記録した。
もちろん、実際に486kmで走るわけにはいかないにしても、リニアが開通するまでに約30年間もあるわけで、
その間に、東海道新幹線の技術が進歩し、リニア並みの67分とまでいかないまでも、現状から相当短縮されている可能性もある。

リニアが、地上駅で大阪まで30分で行きます!というなら、それはすごいことかもしれないが、
東海道新幹線の時間も短縮されることが予想される中、とても「夢の超特急」というイメージからは、かけ離れた代物になる可能性が高い。
※ちなみに、上海でリニアに乗ったことはあるが、 乗ってしまうと新幹線とあまり変わりはないという印象で、リニアに乗って何か特別な感動を抱いたことはなかった。

だいたい、速さを訴えるのなら、中間駅など一切いらないはずだが、ああだこうだいわれて、結局作るハメになった
名古屋と大阪を、最短時間で結ぶための交通手段なのであって、過疎地域の通過地点に、駅など必要ないのに、
自治体との関係で、妥協せざるを得なくなり、中間駅を作るために余計なコストがかかるだけでなく、
中間駅に停車するダイヤも組み込めば、ノンストップで行く本数が少なくなってしまう。
本末転倒な話だ。

その2
需要がない。
採算が合わない。
そして何よりも、9兆円もかけて作っても、到底需要があるとは思えないことだ。

第一に、最も競合するのは、東海道新幹線。
自社の収益源から客を奪うだけでは、当然、莫大な借金をしてコストをかけた金は、回収できない。

そもそも、大阪開業する2045年には、現在の人口から、約2600万人減ると予想されている。(約1億2800万人→約1億200万人)
さらにその後は、1億人を割り、2060年には、約8700万人になる、と予想されている。
今ならまだしも、30年後、人口が今より激減した時代に、やっと完成するような代物に9兆円もかけて、代金回収できるのか。
例えば、富士山が見える絶景路線で、外国人観光客がいっぱいになるとかいうならともかく、
ほとんどが地下で、車窓の楽しみはまったくない。
暗黒車窓列車だ。

また、30年後の社会を考えると、通信技術の発達で、今よりさらに、出張需要が減っている可能性が高い。
わざわざ、ビジネスマンが大阪や東京を往復しなくても、30年後は、ネットや情報機器の発達により、たいがいのことが、移動せずに済んでしまう可能性もある。

需要激減が予想されるのに、なぜ9兆円も大借金して、驚くほど速くはないリニアを作らなければならないのか、まったく理解ができない。

一応、名目上は、東海道新幹線が老朽化しているから、改修するために、バイパス路線としてリニアを作るという。
しかし、改修が必要なら、大阪開業が30年後では手遅れだろうし、
わざわざ途中駅で下車の需要もない、コストのかかるリニアを、作る意味がわからない。
9兆円も借金できるなら、今から、早急に改修工事すればいいじゃないか。
30年後に、リニアができてからでは遅すぎる。

しかも、リニア新幹線を動かすには、在来新幹線より、3倍の電力が必要だという。
新技術で、在来新幹線より、電力が1/3で済むというメリットがあり、
311以降の、日本のエネルギー事情を考えても必要なものです、というならともかく、完全に時代に逆行している。
311が起きた今、わざわざ3倍もの電力を浪費する交通手段を、 なぜ、バカ高いコストをかけて作らなければならないのか

また、東海大地震が起きた時のための代替手段、という目的もあるらしいが、
現状の東海道新幹線の地下にリニアを作って、地震や津波被害があっても、東海地方の被災地に行くこともでき、 東京と大阪を結ぶ路線を確保するというならともかく、
山間部の迂回ルートを作っても、被災地救援には行けない
東海道新幹線が被災しても、大阪に行けるかもしれないが、別にリニアである必要はなく、飛行機だっていいわけだ。
ましてや、電力を3倍も食うリニアが、東海大地震が起きて、東海地方の発電所が被災した時に、動かせるのかは疑問だ。
そもそも、活断層を走るリニアだって、被災しかねない

・・・・・ちなみに、この狂った計画に反対しているのは、環境保全至上主義団体や、かわいそうな地元住民だけではない。
JR東海の労働組合では、ホームページに『NO!リニア』というコーナーを作り、
2009年10月から、毎週のように、リニア反対の意見を発信し、2013年8月23日までに、67個の意見が、PDFでネットにアップしている


働く人にとっては、とんでもない計画だろう。
会社が大借金して、万馬券を買うと言っているのだから、経営が悪化すれば、自分たちの給与や立場があやうくなる。
危機感を覚えるのは当然だろう。

環境がどうのとか、村がなくなるとかいう以前に、極めて国民の生活に密着した、公共性の高い事業を行っている企業が、
必然性のない事業に、兆円単位で投資をしようとしている
それが失敗すれば、最終的には、国民の負担になる
借金大国、増税大国ニッポンに、大手ゼネコンのためなのか知らないが、また1つ、負の遺産を、未来世代に嫌がらせのように押しつけよう、という話だ。

これに加えて、電磁波が危ないとか、トンネル工事で出る、膨大な残土をどうするかもよく決めていないとか、
トラブルがあった時に、地下深部から、乗客はどうやって脱出するのかとか、活断層を横断して大丈夫なのかとか、ありとあらゆる問題がある。

問題があっても、必要性があればやればいいが、必要性があるとは到底思えない。
どんなものでもリスクはある。
リスクがあるからやるなといっているのではなく、リニア計画に付随する様々なリスクを負ってまで、建設するリターンがあるとは言い難い。
そのリスクを、一民間企業だけが全責任を負い、 失敗しても国民に迷惑をかけないのならいいが、
JALや東電と同じく、どれだけずさんな経営をしたとしても、他に重要なインフラを担っているから、潰すことはできず、
最終的には、リニアの失敗は、国民に価格が転嫁されるか、税金で救済されるかのいずれかになる。


リニア計画は、あまりにも狂気の沙汰だ。
にもかかわらず、何が何でも建設せねばと、ゴリ押ししているJR東海は、
採算が合わないにもかかわらず、リニア計画を猛進させるのは、政治的な圧力があるからなのか、建設業との裏取引でもあるのだろうか?

結局、リニアも、原発やダムと同じく、必要があるかではなく、国民のためになるかではなく、
失敗した時のコストや事故というリスクを、すべて国民に押し付けて、
計画したら、絶対に見直しやストップはせず、政治的な理由から推し進めてしまえという、まがい物としか思えない。

一体、日本の狂気な行動は、何が原動力になっているのだろうか。
そりゃ、いくら増税し続けても、借金が増える一方に決まっている。
誰か、何のために、このリニアをゴリ押ししているのだろうか。

いい加減な需要予測で、特定の人間だけが儲かる目的のために、採算性のない事業に突っ込み、最終的にすべてのツケは国民が負わされるという、
詐欺投資話みたいな事業を、ゴリ押しする日本の慣習は、もういい加減やめるべき。
やるなら、ハンをついた人間に、失敗した時のツケをすべて負わせる仕組みに、改めるべきだと思う。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「誰か言わなきゃいけないでしょ?だから言わせてもらいます」みのもんた氏

2013年09月18日 | 日本とわたし
いきなりやけど、ちょっと情けない打ち明け話をここでさせてもらいます。
わたしは日本でまるまる43年間、生まれ育ちました。
そのうちのまず最初の10年間ぐらいは、そこそこの暮らしを、両親と弟の4人家族で営んでました。
両親が毎晩のように、かなり激しい夫婦喧嘩をするようになってから、家庭というものがどんどん崩れていき、
そのあとはもう、文字通り、坂道を転げ落ちる様な勢いでどんどん悪化し、20才を過ぎるまで、大型の災難続きの人生でした。

なんちゅうか、無事に一日を終えることすら難しい時期もあり、それでもまあ、曲がった道に進まんように、自分なりに踏ん張ったつもりです。

ただ、自分のことだけで精一杯という、ほんまのような、ほんまではないような言い訳を盾にして、
社会で何が起こってても、そのニュースをテレビや新聞で見聞きしてしばらくは、考え込んだり心配したりするだけで、
申し訳ないけど、自分がその場におらんでもよかった幸運に感謝せなあかんな、などと思いながら、結局は忘れてしもてました。

それ以降も、結婚し、離婚し、また結婚し、その間もみなさんと同様、いろんな問題を抱えながら生きてきたんですけど、
自分で必死に考えて、決めて、それを実行しながらの、なかなかよう生きた半世紀やったな、などと自己満足してたりしてました。

それがあの3.11の夜中(こちら時間)に、とんでもない災害が東日本に起こり、広島の中学生の男の子が、違法を覚悟で流してくれたユーチューブの映像を観て、
一晩、一睡もせずに、パソコンの画面の前で涙を流したあの日を境に、わたしの毎日がいっぺんに変わってしまいました。

必死で情報を集め、読み、わからんことはわかるまで調べてるうちに、あることに気がついたんです。
好かん好かんと思てた人らのこと、なんや知らんけど、えらい勘違いしてたんちゃうかなと。
新聞や週刊誌、それからもちろんテレビなんかで、頻繁に伝えられてる顔写真から受けるイメージで、自分はその人らのことを勘違いしてたんちゃうかな。
そういう写真を、マスコミの方は、わざと選んで掲載してるんちゃうかな。
自分らが伝えたいことを強調するために。

それで、それまで何年何十年と、自分が勝手に嫌てた人らのこれまでの仕事の内容や、どんなことを主張してはったのかを調べてみたら、
あらあら、なんとまあ、逮捕されたり干されたりする前に、なにか大きな力のある者に対して、抵抗したり抗議したりしてはるんです、どの人も。
それで、さすがのわたしも、これはなんかおかしいぞ、と思うようになりました。
もちろん、煙の立たへんとこに~という諺通り、どの人もなにがしかの、ツッコミどころや弱点を持ってはります。
けども、何年も大人やってたら、完全無欠で清潔極まる人間なんていませんしね。

昨日、実は、好かん好かんと思てた人のひとりである、みのもんた氏の、ラジオで話してはった音声を文字起こししてたんです。
早口で話さはるから、なかなか大変で、けども、あれぐらいにポピュラーな立場に居る人が、ここまで言わはるのはえらいこっちゃと思い、
ちょっとずつちょっとずつ作業を進めていきました。

ところが、最後の最後になって、韓国が、東日本の複数県の魚の輸入禁止に踏み切った、という件について、
そんなん「いじめ」やの、「お互いに助け合うっていうんじゃなくて、お互いに足の引きずり合いがいつまで続くかね」と言わはったことに、
わたしはすごく抵抗を感じて、結局、記事に載っけることはやめよう、と思たんです。
もしこれが、韓国の原発重大事故やったら、日本はどうしてたやろ。
2年半も経ってから、やっと汚染水を垂れ流し続けてました、と公表する韓国政府に、いったいどんな態度をとってたやろかと。
しかも、除去できてるのはセシウムだけで、他の核種は有耶無耶のまま。
なんでこれが「いじめ」ということになるのか、足の引きずり合いになるのか、理解できなかったんです。

けども、今朝になって、今回の、みの氏の周りで起こっていることが、かなりおかしいという記事を数件読んで、やっぱり載せておこう、と思い直しました。
もしこれが、下記のような、みの氏が公表し続けてはった東電や政府に対する非難を、葬ろうという意図でもって作られた『冤罪』なら、
好かんお人やけれども、こんなことに負けんと、今後も同じように、これまでの批判姿勢を貫いてもらえるよう、応援したいと思てます。

↓以下、文字起こしはじめ



原子力の放射能の汚染の問題が心配されてる福島と東京は、250キロ離れているから安全ですって、あのひと言はちょっとひっかかったな
世界の配信会社が見ると、ちょっと批判的に、250キロ離れてるから安心だって、ちょっとまずいんじゃないかなって言われてたね。
ご本人もちょっとドキッとしたのかもしれませんけれども。
そういう問題じゃないよな。
福島の漁業協同組合の組合長たちと話をしたけれども、ガックリしたって言ってたね。
250キロ離れてるから安心だって、何事だって、みんな現地では思っちゃったって。
そういうことを考えると、当然、福島の原発、放射能の汚染の問題が出てくるのは当たり前じゃないか
イギリスのBBCなんか、毎日連日トップで放送してるんだよ。
それをあなた、日本の代表団はね、いやあ、御国がね、日本の政府が470億出して本格的にやりますから……、
2年半前に起こったことが、今だに解決できないで、汚染水が垂れ流しになってるんだ、はっきり言うけれども。
そういう現状でもって、どうすんのって僕は言いたい
じゃあ、どのぐらいのお金を東京都はね、東京オリンピックにかけんだっていうと、6000億超えるんだって?
安倍さんがだよ、よし、国が汚染対策でもって、470億出す。
東京オリンピックに用意した金が、6000億
どう感じますか?社会人のみなさん。
おかしくない?

なんとなく僕は気になるね。
言いたいことは言わせていただきますけれども、僕は正直にはそう考えてる。
確かに、経済効果はすごいよ、うん、アベノミクス。
いろんな矢がある。一本二本三本。景気が良くなるならない、円安にもってけ、円安にもってけ。
いいよ、1ドル360円を、やっと1ドル80円台まで努力してもってきたのに、いきなり今度は100円超えてもっと安くしろ。
そりゃ、輸出産業は儲かったよ。一時的には儲かったよ
それ以外はどうだ?輸入に頼っているところは。
消費税上げようじゃないか。5%8%、来年の春に。
それでほんとに景気は良くなるの?
景気が良くなるためにじゃなくて、税収が足りないから上げざるを得ない
福祉に、年金の補填に使いますよと。
でもほとんど1%ぐらいしか使わない
後は景気浮揚策に使うんじゃないか

ほんとにね、今度のオリンピックの問題ってのは、いろんなことを、我々日本人は考えさせられたなって思いますよ。
明日の午前5時頃?
東京ー!ってなれば、それはそれでいいじゃないですか、成功で。
しかし、250キロ離れてるから安心だ
じゃあ、福島の方たちは、喜んでいられるかね?
オリンピックには6000億使える金がある日本がだよ、福島の原発に470億、汚染水の処理に。
いいのかな、これで。

何万人の人がまだ、故郷に帰れない?

じゃあ、汚染水の問題、はっきり言わせてもらう。
わたしは都合8回、原子力発電所、観に行きました、福島に
最後は、建屋のそばまで、許可もらって入りました。
タンクを観たいってんで、タンクの所に行かせてもらいました
それから帰ってきてすぐ、まもなく漏れていました。
僕が行った時は、地下に作った貯水槽の汚染水が、どうやらにじみ出て漏れてるというので、取材に行ったの。
じゃあそっから全部水をとって、これ今やってるタンクの中に入れてますと。
ああ、あのタンクの中に。
足りなくなったらどうするんですかって(聞くと)、今どんどん作ってます
ああなるほどなっつって帰って来たの。
そしたらその、タンクから漏ってた
理由がいいね。
いやほんとは、溶接で作りたいんですけれども、その暇と予算が無いものですから、ネジで締めるボルトで、そこがどうやら緩んだらしいんです
おいおいおいおい、どのタンク?
ひとつじゃなかった。
今一所懸命検査してるけども、あそこにある何十個っていうタンクのうち、どれだけ漏れてるのかわからない状態だ
周りに、30センチぐらいの高さの塀を作って、そっから漏れ出ないように
漏れ出ないけど、地下には染みるだろうよ

昨日今日のニュース、観てごらんよ。
汚染水が地下に染みちゃった。で、地下水に混じっちゃった。
その地下水は、海に流れてました。
2年半もそんなことやってたんです。


で、今、申し込んだよ。
一番建屋が吹き飛んじゃった、4号基の中に入れてくれと。
僕は、自分の目で確認したことを放送したいから
いや、それは危険でダメです。
危険もへったくれもないでしょ。
僕がこないだ行った時には、ちゃんとした服を着て、トイレに行けないからおしめまでして、酸素吸入器みたいなのをつけて、ガスマスクみたいなのをつけて、そばまで行ったじゃないですか
その時は、中には入れないって言うから入らなかったけども、僕は中を観たいと。4号基の中。
実際に目で観たものをレポートさせてくれと。
やっと許可が出ました。
みのさん、何回も来ていただいてるんだ、じゃ、ご案内しますと。
みのさんひとり、行ってきますよ、はい、10月に
10月の土日でね、一番スケジュールと体調のいい時を選んで、ま、仙台から入って。

どうなってると思う?
実際に、東京電力の発表が信じられないんだ、俺。
東京電力の副社長さんに、『朝ズバ』に出てもらったの。
ひと言「申し訳ありませんでした」
「どうするんですか?」
「今えい」
「えい、なんですか?」
「考えてます」
これ、任せられないでしょ。
だから、東京電力個人じゃもう無理でしょ。
そしたら安倍さんが、オリンピックに対する配慮かなんか知らないけど、いきなり470億出すと
ミエミエじゃない、安倍さんも。
オリンピックがなかったら、470億出せないのかい?



そういうことがあるから、実際に入ってみますよ4号基。
建屋が吹き飛んじゃってんだから。
で、中で観てくる。
あそこにも水が溜まってんですよ、だって水かけて冷やしてる。汚染されてるんですよ。
あれが染み出て、下に漏れてるか漏れてないのか、どれくらい溜まってるのか、地下水まで行ってんのか、
今朝の新聞かなんかでは、地下水まで到達してた。
じゃ、その地下水はどこへ?
福島の海へ。
2年半前の事故だよ。
2年半、どんどんどんどん染みてたってことにもつながってんだ。
2年半流れてんだよ、福島の海に。


今、TPPって騒いでるね。
大平洋を囲んでる国々で、自由貿易をしようじゃないか
大平洋だよ、福島の海は、どうすんの?
で、放射能って、どれぐらいで消えるんですか?
百年ですか?二百年ですか?三百年ですか?
故郷が無くなってんだよ。

僕はね、それを思うとね、いや、オリンピックで浮かれんのはいいよ。
浮かれてるって感じだね、どうみても。
代表に選ばれて行ってる方たちにね、どんな思いかなと、記者団の質問は全部、汚染水どうするんですか?
250キロ離れてるから大丈夫だって、これじゃ答にならないでしょう
、と僕は思うよね。
だから、公共の電波を使わせてもらって、僕はこうやって言わせてもらってますけど、
誰か言わなきゃいけないでしょ、だから言わせてもらいます。はっきりいって。


どうしたらいいの?
タンク新しく作ります。
またビスの?
そうじゃない、溶接のタンクです。
でもそれもね、もうほとんど空き地が無いんだよ、福島原発。
森も削っちゃってる、丘も削っちゃってるから。
そこに置いたって、汚染水はまだ増え続けんだよ、どうすんの?
40年後に廃炉だって。
廃炉ってのはどうすんの?


原子力発電所、あの炉を取り外すしかない。
40年で取り外す、廃炉にするのはいいけど、
じゃあ、海はどうすんの?

海に入る。
プランクトンが食べる。
そのプランクトンを小魚が食べる。
その小魚が大魚に食べられる。
大魚が太平洋を回遊する。

いきなりすごいタイミングでお隣の韓国、
いじめにちかいね。
この県とこの県とこの県の水産物は日本の買わない、輸入禁止。
すごいですね、お隣の韓国さんも。
やってくれるよ。

でも、文句言える?日本。

青森県までダメだって書いてあった。
ま、お互いに助け合うっていうんじゃなくて、お互いに足の引きずりあいが何時まで続くかね。
でもこれは日本政府の責任でもあります。

2年半。
文句を言う前に、やっぱり真剣に考えて、
この原子力発電所がこうなった時にはどうしたらいいか?
乗り越えようという努力がちょっと足りなかったな。

東京電力の当初の記者会見の発表は本当に信頼できない。
コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『2020東京五輪』を返上しよう!

2013年09月17日 | 日本とわたし
今朝、Facebookの中に、こんなグループが結成されていることを知り、入りました。
紹介します。

↓以下、転載はじめ

2020東京五輪を返上しよう!

私はこの国の中に、2020東京五輪返上の機運があってこそ、多少はマトモな社会である、と思料します。
平時ならともかくも、今なおこの国は、法律で定められた「原子力緊急事態」宣言が、はっきりと継続中なのです。
放射能汚染の収拾がつかない状態だから、解除が出来ないのです。
そんな事態で、オリンピック準備に公金を傾けて、国民本位としての政府の仕事の優先順位を蔑ろにしていることが、
いかに説明のつかない、千歩譲って説明不足極まりない、デタラメな政治運営なのかを、皆さんと、もっともっとキチンと考えていきたい。

被災復興よりもオリンピックを優先しているのは、その配分税額が、桁違いに多いことで明白です。
被災者ひとりひとりに、いったい、どれほどの税金が廻されたというのでしょうか。

「決まったからには、成功させるのだ、、云々」という考え方、それはいとも簡単に、問題の核心部分を正視できなくさせてしまう作法です。
誘致が決まってしまったのなら、次は、開催返上の機運をつくろうとする、それを、我々の営為としとうございます。

少数の犠牲者を脇にやったままで、多数の利益に邁進するような巨大な経済行為に、公的セクターが支援する、
そのような活動が、目下の事態にはまったくそぐわない、と私は申しています。
そのような決定を、政権の施政者に預託した覚えは、どこにもありません。
税という公金は、五輪関係に、ビタ一文たりとも使うべきではない。
私企業集団が何をやろうが勝手ではあるとしても、公金はいまや、その使途の優先順位が、明白にあるのです。

この国の仕組みは、公私の区別にまるで節操がない。
そこが、問題の最たるところではあります。
ものごとを、公明に、整斉と考えながら進みたい、そう思っております。


9月15日の投稿より

さきほど、東京都のオリンピックを推進してきた部署に、電話をしました。
猪瀬、竹田、安倍の言っている、東京の汚染はないし、これからも大丈夫だ、という発言について、
本当に汚染は無いのでしょうか?という質問をしました。

回答
「東京には汚染はありませんよ」

私が、
「え??????????あなた今なんていいましたか???」

回答
「ですから、東京には汚染がありませんということです」

私が、
「わかりました、では、これから私がいう事をちゃんと聞いていてください。
まず東京都の江戸川区の河川敷の空間線量を測った”公式”のデータがあります。

(下記のリンク参照下さい。)
http://www.city.edogawa.tokyo.jp/edg/kasenjiki_sokutei/index.html

そこには、最大空間線量で、0.30μSV/h出ているような場所もあります。
そして、平均値では、除染をする水準の、平均で0.23μSv/hの場所もあります。
江戸川区は、東京都ではなかったでしたっけ?」

回答
「そうです。東京都です」

私が、
「では、これを踏まえて、東京に汚染が無いと言えるのでしょうか?」

次の回答が驚愕です。

回答
「そういうデータがあるのだと思いますが、知事や首相が言っている事が正しいと思います」

私が、
「あなた、現実をみる気がありますでしょうか?
幻想の中で、物事論じるのは止めましょう。
事実は認めるが、汚染が無いというのは矛盾してませんかね?」

回答
「ですから、データはそうだと思いますが、汚染は無いです」

私が、
「では、環境放射線データベースという、”文部科学省”が監修した公式データによれば、
福島の事故前の2000年代の土壌は出ていても、たしか一キロ数十ベクレルだったはずです。
しかし、あなた方東京都が出しているデータの、東京都の土のデータは、一キロ300ベクレル位では無かったでしょうか?
これで汚染が無いと、どう言いきれるんですか?
都内では震災以降、ホットスポットでは、一キロ数万ベクレルでているわけですよ。
それに、水元公園が、あまりに線量が高いという事で、除染をやりましたよね?
ニュース沙汰にもなっているんですよ。
これはすべて真実ですよ。
では聞きますが、東京の汚染はありますか?有りませんか?」

下記のデータ参照。
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/servlet/search.JudgeRowCount;jsessionid=de301aad87c78919cf1e57327594660db2e5?pageSID=214035503_de301aad87c78919cf1e57327594660db2e5

回答
「事実はそうだと思いますが、知事が言っている事が正しいと思います」

私が、
「完全に言っている事が矛盾してますが、大丈夫でしょうか?
東京都の見解は分かりました。
放射能汚染という現実すらみえない、という事なんですね。
そして、知事、首相が正しいというわけですね。
理解しました。
ただ、提案としては、先ほど言った現実に向き合って、東京に汚染があることを周知させてもらえればとおもいます」

と、いう事でした。
私は、ここまで言うかと思いました。
ちなみに、IAEAや東電ですら、汚染水問題は起きているという事に対しても、首相が正しいと見解してました。

結論として、わたしが言っているデータは事実だが、汚染は無い!と言い切りました。
子供並みの嘘をつかれて、わたしは今日、唖然としていました。

↑以上、転載おわり


東京は、なにがなんでも汚染はない!ないったらない!
完全で安全で完ぺきな、世界のどこよりもオリンピックにふさわしい都市である!

なんでこんなことになるのか。
なんでこんなことをさせてるのか。
なんでこんなことをやめささへんのか。

わたしにはもう、ほんまにチンプンカンプンなのである。
チンプンカンプンではあるけれど、日本はいま、ひじょーに間違った方向に進もうとしてることぐらいはわかる。

今の日本には、公金はいまや、その使途の優先順位が明白にある

このことぐらいわかってるやろ日本の大人。
たのむでほんまに。

コメント (22)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「歴史から学び、今を生きながら未来を変えるという力が、一人一人の核に委ねられている」/『僕の核』

2013年09月17日 | 日本とわたし
Shing02氏が、2006年にアップしていた、核についてのレポート「僕と核」
原発事故以降、突然、頻繁に目や耳に入ってくるようになった、わけのわからん数値の単位やら専門用語やらに???の連続やったわたしが、
なんとかして、ちょっとでも理解できんもんかと、ネット図書館の通路の中であちこち彷徨い歩いてるうちに見つけた、
まあ、わたしのような物理・化学・科学オンチの人間にも、それはそれは分かり易い言葉で、そやけどきちっと解説してくれてるレポートです。

これを書かれたのは、米国の理工系の大学を卒業した音楽家Shing02さん。
坂本龍一氏とともに、2006年の『六ヶ所村を止めよう』プロジェクトに参加し、そのことがきっかけで、原子力(核)について個人的に調べ始められたそうです。

もし、みなさんの中に未読の方がおられたらと思い、ここに転載させてもらいます。
時間が無い方、まとめの部分だけでもいいので、ぜひぜひ読んでください!

『僕と核』(2006)より

9. スターングラス博士のまとめ

スターングラス博士のインタビューの内容を、まとめたいと思います。

まずは、
「自然放射線と、人工放射線は、人体への影響は違う」
ということです。
人工の放射線は、今までに地球に存在しない、放射性同位体をつくります

ウランの核分裂生成物の中には、食物や水、空気を通して体内に取り込まれると、
ふつうの栄養素と勘違いされて、数%は骨や内臓などの局部に蓄えられて、そこで濃縮されながら、長期的に放射線を出すものがあります。
なぜ勘違いされるかというと、周期表で、同じ縦の列に並んでいる元素は、電子構造が似ているため、体内で似たような化学反応をしてしまうのです。

例をあげると、ストロンチウム90はカルシウムと間違えられて、骨や血、脳に送られます
セシウム137はカリウムと間違えられて、細胞内の電解質として取り入れられます
また、ヨウ素131は、甲状腺に蓄えられます
これらの元素が体に入ることよりも、それぞれ放射性の同位体であることが問題なのです。

更に大事なのが、

「短期間で高レベルの外部被ばくと、
 長期間で低レベルの内部被ばくは、
 放射線の被ばく量による人体への影響が、比例しない」


ということです。
これはどういう意味かと言うと、
100の衝撃を一度に受けた人間が、100のダメージを受けたとして、
1の衝撃を100回に分けて受けた人間へのダメージが、合計で100以上になる可能性が強いということです。
従来の教育では、「線量率効果」と言って、100のダメージを100回に分ければ、
その間に体は回復するので、総合的なダメージは100以下である、よって低レベルは無害である、と考えていたのです。

数字だけだと分かり難いので、人間に例えてみると、

「百人の人に一度に蹴られてボコボコにされる」のと、
「一人の人に百日間つきまとわれて、毎日一回蹴られる」のでは、

どっちがダメージを受けるでしょう?
もちろん、どちらも嫌です。
でも、一度のケガは治るかもしれないけど、何日間も蹴られる方がしんどい、と思う人も多いでしょう。
これが、放射線にも言えることなのです。

ネガティブな例だけもあれなので、ポジティブな例をあげると、

「同じ日に百人の異性とデートをして、豪遊する」のと、
「憧れの人につきそってもらって、百日間愛情をもらい続ける」のと、

どちらが良いですか?
両方ってのは駄目です。
たいていの人は、冷静に考えれば後者を選ぶでしょう。
そうでもないか。

つぎに、S博士の研究の中でも、もっとも大事に扱っているテーマが、

「胎児や乳児が放射線によって受けるダメージは、
健康な成人が受けるダメージより更に何百倍、何千倍も拡大される」


ということです。
これは、当たり前のことですが、
胎児や乳児というのは、脳や心肺機能など、大事な器官の細胞が、もの凄い勢いで成長しているため、
正常な細胞の増殖を妨げる因子があると、発育や知能の障害など、その子の一生に渡って、支障をきたしてしまう可能性があります。

赤ちゃんは妊婦さん共々、環境から来るマイナスのインパクトから、もっとも守るべき存在です。
健康な成人を許容量の対象にしていては、赤ちゃんにはとうてい迷惑なのです。
つまり、産まれてくる赤ちゃんの健康状態というのは、その時代の環境のバロメータでもあるのです。
これは、免疫力が下がっている成人や、老人が受けるダメージにも、同じことが言えるでしょう。

これらのことを踏まえて、あらゆる放射線は、
現在の「安全値」では、思っているより100倍から1000倍のダメージを体に与えている、ということです。

博士は、原子力産業の歴史も説明してくれました。
歴史というものは、本当に多くを物語っています。
要約すると、

「民間の原子力発電は、軍需産業をサポートするために始められ、
リスクを完全に把握する前に広められた、未熟なテクノロジーであったため、
これまで世界中で、何度も事故を起こして来た」


ということを、この50年の実績が充分に証明しています。

今の原子力発電の技術は、完成度も高く、特に日本は危機管理も厳しく、安全装置が何重にも設計されています。
しかしながら、発電という目的を達成している以上、「微量」の放出を正当化しているのが、原子力産業の真の姿ではないでしょうか。

(ちなみに、原子力発電所から、どれくらいのストロンチウムやヨウ素の放出があるのかが、どうしても気になったので、東京電力の人に詳しく聞こうと、メールでやり取りしていたら、
 最後には、
フィルタやホールドアップ装置など、原子力発電所における各種設備の設計上の性能や、実際の性能については、
 当社の知的財産となっており、お教えすることができませんので、ご了承願います
」と言われました。
「実際の」って、どういう意味でしょうか)

失敗しながら学ぶのは、人間の性です。
これが他のテクノロジーであれば、これまでの大事故も、まだ大火災で済んだでしょうし、
簡単な誤作動や停電で、大きな心配をする必要もありません。
原子力発電所のように、その確率が何%であろうが、天災を含め、大事故が起きれば
何百万人規模、何百世代と後遺症を残すようなリスクは、有史上、類を見ぬスケールであることは否めません。
被害を抑える作業のためだけで、何万人もの人間が、命を切り捨てなければいけないのです。


ウランの核分裂が出すエネルギーは、化学反応による燃焼とは、次元も桁も違います
通常の汚染とはっきり区別しなければいけないところは、やはりここに由来すると思います。
原子力発電も、いつかは必ずなくなります。
しかし、その時が先延ばしになればなる程、処理場に困った核廃棄物は、増え続ける一方です。
電力は、一瞬で消費しますが、廃棄物は永遠に残ります
地球市民は、どちらを選ぶでべきしょうか。
その話し合いの場を持って、核を捨てる選択をした国は沢山あります。
そして日本は、核の道を選んでいるのです。


10. 日本人に何が起きているのか?

「火の無いところに…」と昔から言いますが、これだけ全世界で、モクモクと議題にのぼっているからには、
本当に原子力が「非のない」ものであるか、日本でも、みんなで考え直すべき時期に来ていることは、間違いありません。

スターングラス博士の言っていることが本当だとして、そして、日本にある原子炉がほぼ米国製であるとしても、
「それはアメリカの原子力産業の実体であって、日本の生活にどれだけ関係があるのか」と考える人もいると思います。
また、「放射線のことは良く分かったけど、みんな元気に暮らしているんだから良いじゃないか」と思うかもしれません。
果たしてそうでしょうか。
それには、「原子力が産まれてから、これまで日本でどんなインパクトがあったのか」という、日本人の現状に目を向ける必要があるでしょう。
最終的には、それがいちばん分かり易いのです。

厚生労働省が発行する「人口動態統計」の中から。興味深いと思ったデータを。いくつか紹介したいと思います。
(データは著作権法第三十二条二項に基づいて転載していますが、厚生労働省の刊行物とホームページでも調べることができます)



統計学に関して。素人なりに言いたいことは、統計をまとめることによって隠れてしまう側面は、沢山あると思います。
すべてを数値化したり平均をとったところで、それぞれのケースに何があったかなど、その経過を無視してしまって、結果論だけで終わってしまいます。

しかしながら、正確な統計をとって。それを適切に分析することによってのみ、浮き彫りになってくる事実もあります。
統計学では、全体の流行というのは、天文学的な確率以外には。否定できない数値に表れてくるのです。
統計を見ることによって、年代ごとの比較を行ったり、「私たちはこれまでどのような道を歩んで来て、これからどこに行くのか」を視覚的に確認すれば、
生活レベルのミクロな物事も、マクロな流れで。客観的に捉えることもできるでしょう。

スターングラス博士をはじめ、アメリカで。低レベル放射線の影響を訴えて来た科学者たちも、
統計こそが動かせざる証拠であり、彼らの決定的な武器だったのです。
これは。原子力の安全性を訴える側も、同じように考えて、広報活動をしているのです。


<日本人のがん>

それでは、被ばくが引き起こすとされる「がん」は、どれくらい起きているのかを、検証してみたいと思います。
ひらがなの「がん」は、癌、悪性腫瘍、肉腫などの総称です。博士のインタビューにもあったように、この50年で、日本人のがんは急ピッチで増えていると言います。まずは図を見てみましょう。



「悪性新生物=あくせいしんせいぶつ」と言うのが、がんです。
なぜ、「悪性新生物」と言われるのでしょうか?
これはNeoplasm=ネオプラズムの直訳で、「生物」というよりも、「成長する腫瘍」を意味します。

戦前と戦後では、医療が発達して、抗生物質やその他の治療法ができたため、
バクテリア(細菌)の感染による死因が、驚異的に消えたことがポイントです。
その代わり、がん、心臓病、脳疾患が、一気に増加しています。
その中でもがんが、群を抜いてトップを走っているばかりか、今でも急上昇中です。
今日の日本人は、二人に一人は、生涯にがんにかかると言います。
(上記の表は「がんの死因別による死亡率」を示しているだけであって、ほかの死因と併発していた場合は統計に示されません。
また、甲状腺のがんなど、治療を受ければ死に至らないがんも沢山あります)

日本では、がんは、
「正常な遺伝子が、活性酸素やタバコなどの発がん性物質により傷つけられ、突然変異を起こしてがん遺伝子になる」と言われています。
いわゆる「生活習慣病」のカテゴリです。
これが何を示唆しているかというと、「がんにかかる人が悪い」ということです。
統計を見れば決定的なのですが、色々調べて行く上で、自分はそう思わなくなった。

がんは、「生活習慣」が引き起こすような生易しいもんではない。
ここまで来れば、先進国の環境汚染による「風土病」と呼んだ方が相応しい。


肥満などが引き起こす、心臓病や脳疾患などと比べれば、がんとは、何年もの潜伏期間を要する、遺伝子の突然変異の積み重ねによるものです。
先に書いたように、同じ細胞で複数の変異が起きて、はじめてがん細胞になるのです。
人体は、がん細胞を常に抱えているようなものですが、がん細胞の抑制遺伝子も破壊されて、ようやく悪性腫瘍にまで発展します。

遺伝子の変異は、自然にも起きることで、それが生命体の進化の助けになっていることは分かっています。
しかし、戦前にあったがんのレベルが、自然放射能やウィルスなどのせいと考えれば、
この50年で上昇を続けている、がんの余剰な死亡率は、人の手による環境の変化によることは明らかです。

いくら「突然変異」の原因が食生活だと仮定しても、食事に遺伝子を変異させるほどの強力な因子が含まれているはずです。
それは、一体なんだろう。
従来の説では、食べものに含まれている多くの化学物質が、人体の免疫力の過労を起こしていると言います。
その上、タバコの煙は、数千種類の化学薬品で、肺のフィルタをわざわざ詰まらせるもんだから、がんの発症率が上がるのも当たり前なのです。
(ついでですが、タバコには、栽培過程で微量ながら、放射性のポロニウム210が入っていると言います)

がんにもいろいろな種類があり、環境、食生活、遺伝による因子が重なっており、
決して、電離放射線とウィルスの挟み撃ちのせいだけにすることはできません。
ヘビースモーカーでも肺がんにかからない人もいれば、遺伝的な不幸で、産まれながら白血病になる子供もいる。
それでも、環境的な要因は、いずれ人口に、平均的に表れてくる。
例えば、女性の喫煙率は全体的に下がっている(若い層では上がっているとされている)のに、女性の肺がんの死亡率は上昇を続けている。
これは、空気がそれだけ汚れている証拠だろう。
若い女性の間で増加している乳がんに加えて、深く注意したい点です。
以下の図は、男女の、部位別の、がんによる死亡率を示したものです。



がんの原因は無数にあるが、環境的な要因が最も大きく、強い免疫力があれば、遺伝子の異変が起きても、がんを未然に防ぐことができる、と考えることは大事だと思います。
それが、健康な体で、毎日のように起きていることなのです。

補足として、博士のインタビューにもあった(すい臓の機能低下が引き起こす)糖尿病について。
日本でも、10人に1人と急増している糖尿病は、「世界では、この20年で、3000万人から2億3000万人に増えた」と言います(Medical News Today)。
日本人は、欧米人と比べてすい臓も弱く、元からインスリンの分泌量も少ないそうです。
これも、食生活を注意すれば、改善できることは間違いありませんが、がんと同じく、自然環境の変化がもらたらした病であることは、ほぼ間違いないでしょう。

いずれ、きちんとした独立機関が、日本中で医学的なデータを集めて、統計をまとめる必要があるでしょう。
今まで諸外国でもそうであったように、これが、世論を大きく左右することになるのではないでしょうか。

 
<日本人の寿命>

これだけ主要な器官の重病が急増していながら、日本人の平均寿命は、この50年でずっと伸びて来ている。
少子化&高齢化は、深刻な社会問題になってきていますが、日本は、世界有数の長寿国としても知られています。
表を見て見ましょう。



平均寿命というのは、誤解を招く部分もあります。
昔は、幼くして亡くなるケースが、今よりずっと多かったので、平均値を下げてしまいますが、
50年前でも成人すれば、60才まで生きることは珍しくなかったし、80才を超える人もいました。
それにしても、今の日本人は、長く生きている分、健康な人生を送っていると言えるのでしょうか。

「80才くらいまで生きれたら、がんになって死んでも良い」と思ってしまえば、元も子もありません。
いくらそれが当たり前の世界になっていても、正しい情報さえあれば、あきらめる必要はないのです。

最近は、遺伝子の研究が進むにつれて、特定のがんに効く薬などが開発されています。
しかし、重病を患って病院の世話になる前に、体の免疫力と治癒力を尊重して病気を防ぐ方が、健康的にも経済的にも、ずっと賢い選択だと言えるでしょう。
統計を見れば分かる通り、今後は医療費も負担もあがる一方ですから、すべての人に公平に与えられるサービスではないかもしれません。
それが歪んだサイクルであり、そのシステムに入れなかった人々は、どうすれば良いのでしょう。

他にも、興味深い統計は沢山あります。
例えば、50年前は、自宅で息を引き取る人が85%だった。
それが現在では、85%が病院で亡くなっている。
出産にも同じ傾向が見られる。
私たちは、どうやって産まれて、どうやって死んで行くかも、劇的に変わってしまった時代に生きているのだ。
時代の流れとして当然のことですが、習慣となってしまったことを人が疑わなくなるのは、不思議なことです。

余談ですが、日本人は、伝統的に健康な食生活と合わせて、お風呂に肩まで入る風習があるから、より長生きするのだと思います。
一日の環境からの刺激による疲れをとったり、血行や新陳代謝を促進させることは、本当に大切な行為なのだと思います。


<日本の赤ちゃん>

それでは、赤ちゃんの方を見てみましょう。
なぜ、胎児や乳児の健康を気にかけることが大事なのでしょうか。
それは前章でも触れたように、遺伝子が世代交代する際には、妊娠中の親の健康状態を通して、自然環境が、赤ちゃんの健康を形成するからです。
いくら成人が、環境の変化に対応できていても、最も敏感な胎児には、どんな微量な負荷でも届くことになります。

欧米では、核実験や原子力施設の事故がある度に、必ず、「乳児死亡率」という統計に反映されてきました。
その点、日本は戦後から、乳児の死亡率がずっと下がり続けています。
これは、日本の医療技術のめざましい進歩と、衛生基準のたまものであると思われます(60年代の核実験のピークには、下降が緩やかになった)。
日本では、原子力発電所がこれだけ稼働し続けているにも関わらず、現在はほとんどゼロです。

それでは、ここ数十年は、健康な赤ちゃんが産まれて来ているのか?ということは、少しばかり、別の話であると思います。

放射線の影響の一つと指摘されている、未熟児の数を見てみましょう。
未熟児とは、1kg未満の赤ちゃんのことを言います。
平均体重は、男女ともにおよそ3kgです。
50年前と比べると、全体の出生数は、実に半分となっていますが、出生率と比べると、実に、60倍もの未熟児が産まれて来ています
赤ちゃんの平均体重こそ、劇的には落ちていないものの、明らかにヘビー級の体重が消えて、そのまま未熟児クラスに変わってしまったのです。

また、男性の精子の数も急減し、女性も生殖機能が落ちて来ていると言います。
それは、なぜでしょうか?
何かの反動で、必然的に起きていることなのでしょうか?

このようなことも、がんのデータと同じく、放射線とだけ結びつけて話を進めようとは思っていません。
ただ、私たちの社会が向かっている方向を、明確に示しているものだと思うから、知るに値するものだと感じて紹介しています。
これから親になる人たちは、赤ちゃんの健康を大切に守ってあげてください。

*   *   *

ここまで読んで、「できる範囲で健康を守るためには、一体何ができるんだ?」と思う人もいるでしょう。
原因を消すことができなくても、結果を予防することはできるでしょうか。
どこから始めて良いのか分からない場合は、まず原因をきちんと認識することによって、初めて対応が見えてくると思います。

どんな人間も、健康に産まれ、健康な生活を送って、(変な言い方ですが)健康に死んで行く権利があると思う。
このレポートの主旨も、一行に要約するとしたら、それだけです。

日々の健康について、考える余地は誰にでもあると思います。
それは、ただ長生きするための健康ではありません。
人間が、まともな生活を送るため、の健康です。

リアルな話、自分の好きなことをして、自分の選択で体を壊すことは、避けられない。
それが、仕事をするということの、本当の定義なのかもしれない。
健康とは、自由に生きるための土台、産まれ持った唯一の資本です。

人が年をとって、老化して、死んで行くことは、極めて自然なことですし、後がつかえているのだから、皆が長生きしすぎたら、社会がパンクしてしまいます。
自然に起きることは、選べることではない。
しかし、人がやっていることは選べる。

例えば、自然放射線が老化を促進しているとして、それが良いとか悪いとか、言える筋はないでしょう。
人工放射線によって健康を損なっているのは、人口の数%かもしれないし、数割かもしれない。
でもそれが、乳児や老人に拡大されることとすれば、いずれは全員に言えることです。
社会がひとつの生命体と考えたら、体のいちばん弱い部分が壊れ始めたときに、
行動力のある白血球がそれに対応しなかったら、いずれは、全体が冒されてしまうのは時間の問題
です。
歴史というものは、新しい命の循環なのだから、いちばん繊細なリンクを守らなければいけないのです。

人体は、45億年かけて地球が育んだ、最も繊細な生き物ですから、自然から離れるほど、健康が崩れてしまうのは当然です。
知らず知らずに起きている環境破壊はきっと、健康が崩れて行くのと、平行した道を辿って行くでしょう。
それでも、大気汚染、水道水の質、食べ物の質など、神経質になってもきりがないし、病気の心配ばかりする必要はないと思います。
なぜなら、人間の体は、気にしているよりもずっと、精巧につくられていますし、見てないところで一生懸命働いてくれています。
自然な生活を心がけることこそが、一番の健康法なのです。
現実的には、ビタミンや抗酸化物質をとるなど、免疫力アップのためにできることもいろいろありますから、時間をかけて勉強する価値のあるトピックだと思っています。
そして、人間の健康は、精神状態と密に繋がっていますから、心をタフにすることも、体を丈夫に保つことに、大きく貢献しているのではないかと思います。


まとめ

このレポートを書くにあたって、何について、どこからどこまで語ればよいのか、とても迷いました。
集中して、離れて、という作業を繰り返して、少しずつ考えをまとめていきました。
今でもかなり考え中です。

自分が疑問に思っていることを、ひとつずつ辿って行くと、芋づる式に、新たな疑問がどんどん沸いてきます。
まさに情報の臨界点で、その規模は、一生をかけても、一人で網羅できるものではありません。
それでも、できる限り情報を整理することは、物事をいろいろな側面から考えるために大切だと感じます。

レポートを進める上で、色々な人の話を聞いて強く感じたのは、
原子力の汚染を、仮定としてでも認めなければ、どのような証拠を見せられても、理解に苦しむことでしょう。
逆に、その壁をクリアできれば、いろいろなことが見えて来て、新しい情報も自分なりに吸収して、繋げて行けると思います。
一マス目を踏めるかどうかによって、日々の情報の解釈が、がらりと変わってくると思います。

とにかく、どのような人であろうが、
一個人が全てを理解した上で、「賛成」か「反対」の総合的な判断をしろ、と言うのは無理な注文です。
そんなことは始めから頼まれてないし、だからこそ、ほとんどの人は興味を持つ余裕もないでしょう。


私たちが問いかける必要があるのは、「原子力発電所は良いか、悪いか」ではありません。
その問いは50年前にされるべきでした。
原子力は確かに存在するのだし、消すこともできません。
これから長らく付き合っていく必要のあるものです。
いちばん現実的なのは、「これ以上増やすのか、それとも減らして行くのか」という、具体的な方向性だと思います。

国民の意識に、そのベクトルを植え付けることができれば、日本の未来が劇的に変わることは間違いないでしょう。
今は、そのような重大な決断が、お任せコースになっているのが問題ではないでしょうか。
原子力は、いつかは完全に制御できるかもしれませんが、現時点では語られるべき問題点が山積みになったまま、廃棄物が増え続けているのは誰の目にも明らかです。
と同時に、原子力産業だけを非難して他のことを忘れるようでは、本物の変革は期待できないでしょう。
そこを限定して見てしまうと、現実と折り合いを付けることが、難しくなると思います。

自分も含め、多くの人は、原子力産業に関わっていませんし、詳しく知る機会もありません。
原子力産業は、当たり前のことですが、必要性のアピールしかしないですし、
一般の人は、小さな事故が起きる度に、より大きな事故に繋がるのでは、と同じ論争が繰り返されます。
双方が、理想ばかりを主張して、あげ足を取り合っているうちは、埒があきません。
自分たちの住む世界で何が起きているのか、現実を見て、目を覚ますことが必要です。
完璧な答えが見つからなくとも、ちょっとずつでも行動に移して積み重ねていけば、先の景色は雲泥の差になります。
こればかりは、科学の力に頼ることはできません。
人の力が大事になります。

むろん、健康を守ることや環境保護だけを目的とすれば、どのような産業も成り立たなくなるでしょう。
社会的には、「環境や健康に少々悪くても、便利な生活のためなら良い」とあきらめていることや、むしろ奨励されていることも多々あります。
コンピュータひとつをとっても、電化製品は、製造、消費、廃棄のレベルにおいて、環境に多くの負荷をかけているものです。
それは、極論を言えば、一人の人間にも当てはまることだと思います。

今の水や空気は、50年前、100年前よりも、ずっと、ずっと、ずっと汚れてしまっています。
自然が浄化してくれる以上に、人がきれいにしようと努力する以上に、それを汚し続けています。
まずこれを肝に命じなければ、何を言われても流してしまうでしょう。
数十年前まで飲み水にしていた水源が、そのままでは使えないところが多いのです。
将来は、燃料資源より先に、大規模な水の危機が来るのではないかと心配している学者も多いくらいです。
すでに世界では、水や食料危機が訪れている場所も沢山あります。
また、環境破壊によって、何億年も存在してきた多くの動植物が、地球から消えて行っています。
あと30年で、生物の20%が、今世紀中には50%が絶滅する危機に立たされています。
地球にこれだけの変化があって、人類だけが平気でいられると思いますか。

これらの由々しき事態を、地球規模で表すとしたら、エネルギーの「偏り」が、色々な所で起きてしまっていることが分かります。
その時代によってチャレンジがあるのは当たり前かもしれませんが、
未来のエネルギー分布が少しでも正常であるように努力することが、それぞれの持ち場で出来ることではないでしょうか。


<宇宙の中の、社会という生命体>

もう一度言うと、私たちの住んでいる宇宙には「エネルギーの保存の法則」というものがあります。
エネルギーは、無から産まれたり、消えて無になることは絶対にない、という意味です。

私たちの生活を支えている経済のサイクルでは、人のエネルギーの「保存の法則」が働いています。
そのためにある共通の単位として、お金が機能しています。
労働力がお金に換算され、富の集中をつくる資本主義のシステムの中で、人のエネルギーが統率されていく。
しかし、このお金というシステムは、限られた循環を表しているだけです。
お金は、「人と人の間でやり取りされるエネルギーの対価」として支払われるのであって、人の労働力とアイディアを売買しているに過ぎません。
地球からは請求書が来ないので、「人と自然の間で起きるエネルギーのやり取り」を換算することはできません。

人間はお金をもらってももらわなくても、エネルギーを使って、エネルギーを発散しています。
無数の原子や分子を、右から左に運んだり、伝導したり、加工したり、壊したり、消化したり、捨てたり、たくさんのエネルギーを動かしています。
それに加えて、言葉を交したり、いろいろな周波数に乗っけて、精神的、霊的なエネルギーも発信しています。
人間の出力が、それを受けた人々の行動によって、また物理的エネルギーに変換されるのです。
こうして、人は社会の総エネルギーに確かに貢献しています。
私たちのあらゆる言動は、明らかに宇宙を変えていて、未来をつくっていく力を持っているのです。

何が言いたいかと言うと、経済的な活動を優先させてばかりいると、
その閉じたシステムの外で起きている、膨大なエネルギーの移動、集中、分散に、関心が薄くなっていきます。
社会にとって効率の良いものを求める体制が、目立つようになります。
そして、生活水準も高まることによって、過半数の生活が苦しくなるほど、その価値観に従わざるを得なくなるサイクルが出来上がってしまうのです。
すべてのエネルギーを辿っていけば、どこからか来ているように、お金も辿って行けば、それはどこかから出ていて、何者かの意志が反映されている訳です。
それがどうした、と思えばそれまでですが、全体の集合意識はどのように操作されて、何処に向かっているのかを見極めることは肝心だと思います。

先進国に生きる私たちは、「経済に悪いことが起きれば、自分たちの生活も危うくなる」 という恐れが、幼い頃からメディアによって擦り込まれています。
それに従っていては、いつまで経っても、経済が発展するほど環境が悪くなっていくと言う悪循環は終わりません。
これからは、システムが需要をつくり上げ、その需要のためにつくられるシステムではなく、
人々の意志をちゃんと反映させた社会づくりが必要であり、それは小さなコミュティのレベルから可能だと思います。
良い意味でのリスク、良い副産物を期待できる有機的なステップを、踏み出すほかありません。

また、このレポートで、さんざん科学的な話をした上でなんなんですが、僕は科学的根拠がすべてとは思わない。
科学はどんなに進歩しようが、それは実験によって確かめられる物理現象を分析しているだけであって、宇宙の真理の半分を解明しようとしているに過ぎない。
「科学」は宇宙の歯車を細部まで説明出来ても、「なぜ、そこにあるのか」という領域までは入って行く権限がありません。
現代文明は、自分たちが造った物に過信して、目に見えるものばかり追い求めて、そこで返ってくる答えで満足しようとしている。
目が見えることは既に奇跡的なメカニズムだと思うけど、それでも目に見える世界はほんの僅かだ。
自分たちの行いが自然から跳ね返って来て、たくさんの信号が届いているとしたら、私たちにはそれが見えているでしょうか?

原子力は無限に小さい世界ですが、人間には五感で分かる範囲で、正しい判断をする能力が備わっています。
歴史から学び、今を生きながら、未来を変える、と言う力が、ひとりひとりの「核」に委ねられています。
今、すべてを変えるのは難しい。
それでも、正しい判断の基準となる知識を広めていけば、有機的な運動をつくっていけるだろう。
どんな職業をしていようが、度合いこそ違えど、誰もが科学者であり、数学者であり、政治家であり、哲学者であるし、普段の生活でそれを発揮しているのだ。
人間にはそれだけの「能力」があるゆえ、もう少し賢くあれるはずです。
21世紀は、領土や資源を奪う争いだけでなく、環境と情報の汚染による「見えない戦争」が主になって来ています。

世論を動かす大衆と、その架け橋になる共通のメディアとが一丸となれば、どんなに重いものだってかんたんに動かせる。
日本だけでも一億以上の人間がいるのです。
まとまった方向に向かえば、それこそ巨大な力です。
50年後の世界はどうなっているか分かりませんが、今産まれてくる赤ちゃんたちが動かす世界であるから、
若ければ若いほど、生き残るための知恵を教えてあげることが大切です。
だから自分たちがどこに意識を向けるかを、ちょっと気を付けるだけでも、革命的なことになる。
革命とは、物事を根本から疑うことによって価値観を修正するという、精神的行為から始まるのです。

人々の力で行政を変えるチャンスが、限りなくゼロに近かったとしても、このようなレポートを書く意義はあるのか?
それは、ガッデムもちろんです。
一般のレベルでできることは、何も団結して大企業や政府に立ち向かうことだけではありません。
規模にかんけいなく、知恵を交換してお互いを守ることはできる。
大切に思う人たちの間で実践できる、かんたんな助け合いの精神ではないでしょうか。
なるようになれ、ではこのままひどくなっていく一方です。
一人の力では、何も変わらないからと信じ込んで何もしないでいるのは、この先、何も変わらないことより、何もしなかったことの方が大問題になるだろう。

人間の一生は、長くもあり、短くもある。
死を恐れていたら、生きることも恐れてしまうだろう。
「立つ鳥、跡を濁さず」と言うことわざがあるが、それを心がけたいものです。
(これ、原子力産業の標語にして、額に入れて飾ってもらいましょう。)

この世界は、人間社会よりずっと広い。
いつの時代も、約束されていることは何もない。
それでもこの世代が動けば、より住みたいと思える未来をつくることができるかもしれない。
この世代というのは、いま生きているひとたち全員だ。
この星は、まだまだ美しい。全世界が抱えている原子力問題の解決の糸口を、日本から発信していけると僕は強く信じています。
日本やアメリカでは、自由に発言する権利がまだある有り難さを、ひしひしとかみしめて。




「僕と核」2012
■第五部:考察


「放射線生物学」を通して被曝のメカニズムが解明されるにつれて、人体を守るための「放射線防護」の知識と方法も大きく進歩してきた。

キュリー夫人の時代はX線をふんだんに浴び、核実験時代は放射性降下物をふんだんに浴び、問題は多く残るものの基準値はがどんどん下がり、医療現場や核関連施設で被曝レベルを厳しく管理している現在に至る。

2011年は「シーベルト」と言う単位が一般になった。 放射能の汚染レベルとしてベクレル、毎時/マイクロシーベルトが使われている。その結果、年間線量20mSvなどが話題になってきたが、果たして、それ以下の「低線量」はどうなのだろうか?

ICRP(国際放射線防護委員会)は、この数十年でシーベルトを用いた基準値を産業のために発行、更新して来た。
放射線の種類、核種、臓器毎に係数を用いて、内部被曝による負荷の「合計を計算する」仕組みになっている。


Dr. Rolf Maximilian Sievert (1896-1966)

2011年は「シーベルト」と言う単位が一般になった。 放射能の汚染レベルとしてベクレル、毎時/マイクロシーベルトが使われている。その結果、年間線量20mSvなどが話題になってきたが、果たして、それ以下の「低線量」はどうなのだろうか?

ICRP(国際放射線防護委員会)は、この数十年でシーベルトを用いた基準値を産業のために発行、更新して来た。
放射線の種類、核種、臓器毎に係数を用いて、内部被曝による負荷の「合計を計算する」仕組みになっている。

ベクレルが「1秒間に起きる崩壊=放射線の数」に対して、シーベルトは放射線が人体(主に内臓) に吸収された線量の「負荷」を数値化したものであるが、そこに「人為的な解釈が含まれる」単位であるために、影響を知るには100%信用できる単位ではないことを問題視している医者や学者も多い。

(ICRP基準にまつわる問題について詳しくは、2011年4月に発表した「日本産婦人科学会へ」の末尾を参照)

Dr. Rolf Maximilian Sievert (1896-1966)
 
シーベルトの問題点は:

・放射線の影響は「細胞・遺伝子単位」で解明されているのにも関わらず、未だに60年前の「臓器単位」の係数を用いて被害を「予測」している。
このデータは、他ならぬ広島と長崎に投下された原子力爆弾の生存者データである。

吸収されたエネルギーが変換され、細胞の膜や器官が破壊されて、遺伝子の破損やエラーに繋がることは第二部で取り上げた。
シーベルトは過去の統計に偏っていて、最新の科学が反映されてないことが指摘されている。原子力産業が「シーベルト」を用いて低線量の被曝を「許容」している実情があるからである。


・代表例として、1960年代にジョン・ゴフマン博士が「低線量」どころか一つの原子から出た一筋の放射線(トラックと呼ぶ)が細胞に及ぼす影響を提唱し、大問題になった。米政府の要請で発表したデータだったが、 「内部被曝は少しでも、がんのリスクを増やす」と発表してしまったからだ。ゴフマン博士はX線と乳がんも関連づけたため、医療現場にも大きな波紋があった。ここから「LNT説=直線しきい値なし」が取り上げられ、NAS (米国科学アカデミー)によるBEIRレポートでも裏付けられたが、リスクを容認する側からは否定的な意見も多い。

「直線しきい値なし」の影響は立証されていない、と言う批判があるが、「しきい値あり」の説の方こそ、立証できない。影響のある/なしはこれまでの被曝データに基づくもので、病気を特定のがんに限定するなど、偏見が入っている部分が多い。この何十年も続いている傾向は、「卓上で希釈される放射能」に記した。
・シーベルトを内部被曝に正確に適用しようとしても、全身の吸収線量を計算するためには各部位の線量を計らなければいけないが、測定方法や測定器の制限により、外部被曝と内部被曝の区別が殆どついてない場合が多い。内部被曝の長期的な影響が出る可能性を無視していることになる。
・まとめると、シーベルトは放射線の総線量を知る上では有効だが、人体への影響は個人差も含め無害だと保証できない部分がある。
被曝は免疫の負担になることは分かっているのだから、少ない線量でも体の免疫が抑えることができるか、と言う個人の課題になってくる。

その程度の目安を誰もが知りたいだろうが、どの程度のリスクを受け入れるかと言う、リスク管理の意識(リスクに関する記事はこちら)にもよるので、水掛け論になってしまう可能性も強い。

リスクを人に伝える際には、確定的影響と確率的影響、その誤差、個人差を含めて話を進めなければいけない。
平均値ばかりとっても、健康な大人の男性が持ち上げられる重量を女性や子供にまで適用できないのと一緒で、個人差を認めなければ「個人」という概念を消し去っているも同然なのです。


< 内部被曝の歴史 >



2011年に原子力産業の歴史の系譜を制作した。内部被曝の扱いにも焦点をあてたものだ。



第二次世界大戦当時から「残留放射能=フォールアウト」 による内部被曝が政治的、経済的にタブー視されてきたのは明らかである。
語ることも許されなかった時代だったのである。

先ほど述べたように、低線量の影響を訴えたBEIRレポートにしても、臓器毎の負荷を比べる被曝の統計として、未だに基本となっているのが広島と長崎の被爆生存者のデータである。 この件について非常に重要な情報をまとめているのは、笹本征男氏の意志を受け継いだ、NPO法人市民科学研究室、柿原泰氏・著の報告書『原爆調査の歴史を問い直す』です。

広島・長崎のフォールアウトや、日米の政府がいかに記録と報告を改ざんしたか、などが事細かく記されている。
是非、読むことをおすすめします。(情報はこちら

ただでさえ、アメリカ陸軍と日本の医師団が原爆投下直後に行った情報と、ABC=原爆調査委が行った調査には五年間のブランクがあり、その間亡くなった人たちの統計はもとより、生存者の被爆者を調べる手法にも疑問が沢山残っている。

敗戦後と言う特別な政治背景があったにせよ「このデータが現在まで引き継がれ、国際的に被曝の許容値を設定する理由になっている」とすれば、その正当性を現在の科学と照らし合わせて見直す必要があることは間違いないだろう。

参考までに、米政府は核実験から30年以上経った1990年から現在まで RECA(被曝補償法) により、アメリカ本土の被曝者1万5千人に各5万ドル含め、2万4千人に計160億ドルを支払っている。裁判によってフォールアウトの影響を認めたため、保証を行っているのだ。

シーベルトによる基準値を言い争う暇があったら、各自が知識の底上げをすることによって、生物側の視点から議論が行われて行くことを期待する。


放射能の線量を計るシーベルトは有効な単位であると同時に、人体への影響を知る上では不完全な情報である。
核種を詳しく調べるなど、踏み込んだ調査をしなければ、ずれた基準のまま論争になってしまいます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「比較してはいけないことを比較して素人を騙す『読売新聞論説委員』は謝罪するべきだろう」武田邦彦氏

2013年09月16日 | 日本とわたし
9月12日付の、読売新聞の論評について、武田邦彦が見解を述べたものを転載させていただきます。

【読売新聞社説の論評】
「『1ミリ・シーベルト』への拘りを捨てたい」とはなにか?


http://takedanet.com/files/yomiurironsetutdyno.368-(9:45).mp3

読売新聞が、2013年9月12日つけで、「『1ミリ・シーベルト』への拘りを捨てたい」という社説を出した。

その論旨は、
政府は、住民帰還の目安となる年間被曝ひばく線量を、「20ミリ・シーベルト以下」としている。
国際放射線防護委員会の提言に沿った数値だ。 
その上で、長期的には 「年間1ミリ・シーベルト以下」に下げる方針だ。

しかし、住民の中には、直ちに1ミリ・シーベルト以下にするよう、拘(こだ)わる声が依然、少なくない。

人間は、宇宙や大地から、放射線を浴びて生活している。
病院のCT検査では、1回の被曝線量が、約8ミリ・シーベルトになることがある。

専門家は、広島と長崎の被爆者に対する追跡調査の結果、
積算線量が100ミリ・シーベルト以下の被曝では、がんとの因果関係は認められていない、と指摘する。

政府は、放射能の正しい情報を、周知していくことが大切だ。


としている。

社説だから、見解は見解として尊重しなければならないが、取材を基本とする新聞社としては、「事実誤認」が多すぎて、
「自分の意見を通すためには事実を曲げてもよい」としているので、一般人の意見としてはありうるが、大新聞の社説としては頂けない

このぐらい事実を無視するなら、社説の最初に、読売新聞は原発の再開を支持しているので、事実は無視します」と断った方がよい。

一つ一つ、検証しよう。

まず、
「政府は、住民帰還の目安となる年間被曝ひばく線量を「20ミリ・シーベルト以下」としている。国際放射線防護委員会の提言に沿った数値だ」
とあるが、ここは正しくは、次のように書かなければならない。

「日本では、事故時における最大の被曝量を、1年5ミリ(原子力安全委員会)としており、
また、事故時の発がん予想数についても規定している。

政府の決定は、日本国内の正式機関(安全委員会)の決定をないがしろにして、海外のNPO(任意団体で国際放射線防護委員会という名前を使っている)に従うのは、国民を無視したものだ



第二に、
「しかし、住民の中には、直ちに1ミリ・シーベルト以下にするよう拘(こだ)わる声が依然、少なくない」
とある。
問題は「拘る」という用語だが、1年1ミリは日本の基準で、また、日本の一般人の被曝限度として、長く使われてきたものだから、
それを「尊重する」、という用語を使うのが適当だろう。

「法令や基準を遵守する」というのは、日本社会の不文律であり、安全な日本を作っている基幹的な道徳だ。
それを、「拘る」という用語を使うのは不見識である。
法令や基準を守りたくない人が、法令を守ろうとしている人を、非難してはいけない。
まして、新聞の社説だから、見識が無い。



第三点は、
「人間は宇宙や大地から放射線を浴びて生活している。病院のCT検査では、1回の被曝線量が約8ミリ・シーベルトになることがある」
としていることだ。

被曝量は「足し算」なので、
1)自然からの放射線、
2)医療用放射線、
3)大気中核実験の放射線、
4)原発などの放射線、

からの被曝を合計して、平均的に1年5ミリになるようにしており、
その中で、4)が1年1ミリであり、「並列で比較できる」というものではない


医療用被曝が多い、と言うことを強調しているが、CTなどで被曝する場合、
「自分の健康を守るという利益」と「CTで被曝する損害」を比較して、利益が上回れば実施する、という関所がある。
これは、「正当化の原理」といって、専門家ならすべての人が知っているので、読売の論説委員は、よほどたちの悪い専門家に聞いたに違いない

命を守るために、患者の足の切断手術が許されるから、他人の足を切断してよい、という論理だ。
比較してはいけないことを比較して、素人を騙す手法だから、これは、新聞社としては謝罪するべきだろう。


次に、
「専門家は、広島と長崎の被爆者に対する追跡調査の結果、積算線量が100ミリ・シーベルト以下の被曝では、がんとの因果関係は認められていないと指摘する。
政府は、放射能の正しい情報を周知していくことが大切だ」


というくだりだが、一生の積算線量は100ミリが限度で、人間はおよそ100才ぐらい生きるので、1年1ミリという限度が決まっている意味もある。
これは、毒物などの摂取の基準の常識で、「将来は被曝しないだろう」という推定はしてはいけない
もしするなら、一人一人の被曝管理をしなければならない。


最後の文章、
「政府は・・・」は、もしこの通りにしたら、「政府は、自ら決めていた1年1ミリという被曝限度は正しくなかった」としなければならない。

これまでの基準は、人間の叡智を結集して、1年1ミリと決めていたのだから、
それを超える知識を持っているとすると、読売新聞の論説委員は、神になったようだ。

おそらく論説委員は、「健康よりお金」、「他人が病気になっても俺は大丈夫.東京に住んでいるから」ということだろう。

武田邦彦(平成25年9月13日)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

福島県民に配られてる『健康長寿県 日本一を目指して』というリーフレットの恐ろしさ!ど~ん!

2013年09月15日 | 日本とわたし
福島県民に配布されている『健康長寿県 日本一を目指して』というリーフレットより



配信元
福島県・福島県立医科大学
協力
福島県医師会・福島県病院協会


項目 放射線被ばく
被ばくのしかたで影響が違うの?

問1
長期間被ばくと短期間被ばくで違うの?
答1
放射線被ばくの合計の量が同じなら
長期間で受けたほうが、影響は小さい

問2
自然放射線と人工放射線で違うの?
答2
放射線被ばくの合計の量が同じなら
自然放射線も人工放射線も影響は同じ

問3
外部被ばくと内部被ばくで違うの?
答3
放射線被ばくの合計の量が同じなら
外部被ばくも内部被ばくも影響は同じ



リーフレットの全内容はここで見てください。

http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/fairu.pdf


こんなリーフレットを作って、県民に配ってるのが、

福島県立医科大学
福島県医師会
福島県病院協会


漢字に読みがなまでふって、子どもにも読めるようにしてある。
なんちゅうこっちゃ……。

このリーフレットに関わった人ら、自分も生きていくためか、家族の生活かかってるからか、ほんまにそう信じ込んでるのかしらんけど、
やってることの意味、わかってるのやろか。
なんぼ何かを守らなあかんからいうても、わかっててこんなことをしてる自分のことが、なんで許せるんやろか。
しかも、なにを生業にしてるかっていうと、人の健康を守る医者やで。
医者を辞めて欲しいと言うてんのとちゃう。
他の場所でやるか、福島県に留まるならば、こういうことをしようとする人や団体と闘うて欲しい。
人としての、最低限の誇りまで、捨てんといて欲しい。
コメント (22)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三年目の正直

2013年09月15日 | ひとりごと
我が家初の茗荷(みょうが)の花穂!


3年前の初春、茗荷をお裾分けしてもらって植えてから、待ちに待った花穂なのである。


毎年、茗荷の苗(?)をくれた友人が、うちのができ過ぎて困るのでもらってくれないか、と言われる頃に、うちの畑の茗荷さんたちの根元はいつも、し~んとしてたので、
わたしはてっきり、まだまだ若くて、花穂を出すのはもうちょっとかかるんか、などと思い込んでた。

去年もし~ん……今年もし~ん……。

そろそろ夏の雑踏をすっきりさせようと、昼から草刈り鎌片手に、草刈りと草引きに励んでたら……、

え?え?え?

茗荷のぶっとい茎と茎の間の地面から、見たことがあるとんがり頭がぴょこぴょこ、あっちゃこっちゃから出てるではないかっ?!
中には、うす黄色の、なんとも華麗な花が咲いてるではないかっ?!

う、うっとり……。

おそるおそる、周りを指でコシコシして、根元あたりからポキッと折ってみた。
感動……まさしくあの、日本食スーパーとかで、たったの3本で7ドル、とかで売ってる茗荷やないかっ!!
それがこんなに……神さん、おおきに!!


花が咲く前に採らなあかんと聞いてたけど、咲いてしもた茗荷って、食べてもええのやろか……お腹痛うなったりするんやろか……。


嬉しかったから、ガリガリと採ってしもて、土を洗い流すのに往生した。


コンコン刻んで小分けして、冷凍庫で出番を待ってもらうことにする。


さてこのお方、数週間前から、ここに突然生えてきて、ぐんぐんぐんぐんおっきくなった。


なんとな~く雑草っぽくて、なんとな~く野菜っぽい。
なんやろな~と思いながら、引っこ抜けんままでいた。
ちょっと千切って食べてみたら、うっすらと苦くておいしい。
しばらくお腹の様子も見てたけど、別に大丈夫っぽい。

いただくことにした。


鶏のミンチを、生姜とニンニクとごま油で炒めて、大根とゴボウの乱切りも加えて一緒に煮る。


ここ数日、30℃超えから一気に10℃前後になってしもたので、皆、なんとなぁ~く風邪ぎみっぽい。
これでちょっとはマシになりますように。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

我々政府は『秘密保全法』を駆使し、責任を持って、全日本を隅々まで、全力で監視いたします!ど~ん!

2013年09月15日 | 日本とわたし
ブログ『ざまあみやがれい!』の座間宮ガレイ氏が、堤未果氏の『秘密保全法』についての警告文を、さらにわかりやすくまとめてくれはった。
それをここに転載されてもらいます。

↓以下、転載はじめ

『秘密保全法』 可決後の監視社会 堤未果のわかりやすい解説




秘密保全法の内容を堤未果さんがわかりやすく説明し、警鐘を鳴らしています。

911直後にアメリカで可決され、その後恒久法案となった「愛国者法」を例にとって具体的に説明・警告しています。


政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること 角川SSC新書



原発情報は軍事機密カテゴリー

http://blogs.yahoo.co.jp/bunbaba530/67754267.html

▼2013/4/18(木)
いま、最も危険な法案とは? - ジャーナリスト堤未果のブログ - Yahoo!ブログ

『先週の週刊現代連載記事です。
昨夜のJーWAVE JAM THE WORLD でも、インタビューコーナーで取り上げました。
この法律が通ったら、ブログやツイッターでの情報発信、取材の自由など、様々な規制がかかるでしょう。
アメリカでも、大手マスコミが出さない情報を発信する独立ジャーナリストは、真っ先にターゲットにされました。
そして「原発情報」は、まず間違いなく、「軍事機密」のカテゴリーでしょう


あらま。
つまり、このブログも、ターゲットにされる見込みですね。
と警告する、堤未果さんのブログ記事をじっくり読んで、「秘密保全法」を理解していきます。



秘密保全法を安倍内閣が提出・米国の愛国者法を検証し理解する

『「アメリカ発<平成の治安維持法>がやってくる!」
ジャーナリスト 堤 未果

3月31日、安倍総理は、今秋国会での「秘密保全法」提出を発表した。
日弁連などが警鐘を鳴らし続けるこの法案、一体どれだけの国民が、その内容を知っているだろうか? 

01年の同時多発テロ。
あの直後に、アメリカ議会でスピード可決した、「愛国者法」がもたらしたものを、今ほど検証すべき時はないだろう。 

あのとき、恐怖で思考停止状態の国民に向かって、ブッシュ元大統領はこう力説した。
「今後、この国の最優先事項は、治安と国会機密漏えい防止だ。
テロリスト予備軍を見つけ出すために、政府は責任を持って、全米を隅々まで監視する」』

911直後にスピード可決された、「愛国者法」についての説明ですね。


全通信に対し、警察の盗聴が行われる可能性

『かくして政府は、大統領の言葉を忠実に実行し、国内で交わされる全通信に対し、当局による盗聴が開始された。
それまで、政府機関ごとに分散されていた国民の個人情報は、またたく間に一元化され、約5億6千万件のデーターベースを、50の政府機関が共有。
通信業者や金融機関は、顧客情報や通信内容を、図書館や書店は、貸し出し記録や顧客の購買歴を、医師達は患者のカルテを
政府の要請で、提出することが義務づけられた』

箇条書きで整理します。

国内でかわされる全通信を、当局が盗聴開始
個人情報は一元化
データベース(民間も)を、政府機関が共有
つまり、あらゆる情報を、政府が吸い上げられるというわけですね。



『デンバー在住の新聞記者サンドラ・フィッシュは、この動きをこう語る。
「米国世論はそれまで、政府による個人情報一元化に反対でした。
憲法上の言論の自由を侵害する、情報統制につながりかねないからです。
でもあのときは、テロリストから、治安や国家機密を守るほうが優先された。
愛国者法も、ほとんどの国民が知らぬ間に、通過していました」』

テロを防止するという名目で、国民を虐げることができるようになるわけですね。
テロを恐れなければいけないということは、不幸です。



市民運動は、警察の容疑者リストに入れられた

『その後、ACLU(米国自由市民連合)により、警察のテロ容疑者リストに「反増税」「違憲政策反対」運動等に参加する学生たちをはじめ、
30以上の市民団体名が、載っていたことが暴露されている』

日本も徐々に、そうなりつつあるように感じますね。
特に大阪ですけどね。


『政府による「国家機密」の定義は、報道の自由にも、大きく影響を与えた。
愛国者法の通過以降、米国内のジャーナリスト逮捕者数は、過去最大となり、
オバマ政権下では、7万以上のブログが、政府によって閉鎖されている


まじかい。

『米国内のジャーナリスト逮捕者数は、過去最大となり、オバマ政権下では、7万以上のブログが、政府によって閉鎖』……。

おいおい、
そんなこと言われたら、自主規制しちゃいそうだよって思う人は、少なくないよね。



愛国者法は、ブッシュが時限立法→オバマが恒久化

為政者にとって、ファシズムは効率がいい
ジャーナリストの発言が制限され、国民が委縮する中、政府は、通常なら世論の反発を受ける、規制緩和や企業寄り政策を、次々に進めていった

ブッシュ政権下に、時限立法として成立した「愛国者法」は、06年に、オバマ大統領が恒久化
その後も「機密」の解釈は、年々拡大を続けている』

例外規定が、通常規定になっていたのか。

「安全保障」とか「機密」とか、表現の曖昧な言葉は、為政者にとってどのようにも解釈できる、フリーハンドなマジックワードですね。



秘密保全法は、アメリカ政府の要請で提出

『日本の「秘密保全法」も、日米軍一体化を進めたい米国からの、〈機密情報保護立法化〉要請が発端だ。
その後、07年に締結した、日米軍事情報包括保護協定を受け、米国から改めて、軍事秘密保護法の早期整備要求がきた。 
だが、米国の例を見る限り、軍事機密漏えい防止と情報統制の線引きは、慎重に議論されるべきだろう。
なし崩しに導入すれば、〈愛国者法〉と同様、監視社会化が加速するリスクがある』

時系列で整理すると。

1. 日米軍一体化を進めたい米国からの、〈機密情報保護立法化〉要請
2. 07年に締結した、日米軍事情報包括保護協定を受け、米国から改めて、軍事秘密保護法の早期整備要求

となりますね。

こういう流れの中で、Googleのアカウントの一元化なども、警戒心を呼び起こしていますね。



もし、原発や放射能情報が軍事機密扱いになるとどうなるか

『震災直後、テレビ報道に違和感を感じた人々は、必死に、ネットなどから情報収集した。
だが、もし、原発や放射能関連の情報が、国民の不安をあおり、公共の安全や秩序を乱すとして、〈機密〉扱いにされれば、
情報の入手行為自体が、処罰対象になる
だろう』

仮定した上で、警告してますね。

(仮定) 
原発や放射能関連の情報が、国民の不安をあおり、公共の安全や秩序を乱すとして〈機密〉扱いにされれば、

(警告) 
情報の入手行為自体が、処罰対象になるだろう。

やはりここでも、「機密」の解釈がポイントですね。



取材した記者も処罰される可能性

『公務員や、研究者・技術者や労働者などが、〈機密〉を知らせれば、懲役十年の刑取材した記者も、処罰対象になる。
国民は、「適正評価制度」により、「機密」を扱える国民と扱わせない国民に、二分されるのだ』

ジャーナリストも、処罰対象になるのか。
つまり、「報じてはいけない情報」というものが、決められてしまうというのかな。

「適正評価制度」も気になりますね。


『行き過ぎた監視と情報隠ぺいには、私達も又苦い過去を持ち、国民が、情報に対する主権を手放す事の意味を知っている。
歴史を振り返れば、〈言論の自由〉はいつも、それが最も必要な時に抑えこまれてきたからだ。
(週刊現代:4月14日連載「ジャーナリストの目」掲載記事)』

整理されて、理解しやすい内容でしたね。
これをきっかけに、さらに理解を深めていこうと思います。


↑以上、転載おわり

警告したいこと、警告せなあかんことが、毎日毎日出てくる異常さにも慣れた。
わたしみたいなもんが、自分のブログで警告したからいうて、なにひとつ変わらんどころか、そうなって欲しないことばっかりが続々と続く。

けども、この法案だけは、どうしても通させるわけにはいかん。
その理由は、これまでにも、いろんな人が説明してきたし、日弁連も警告し続けてる。

人の振り見て我が振り直せ。

『学べん国民世界ナンバーワン!』とかいう烙印を押されるで!
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自民党さん、あんたらが「安全や完全や」と吹聴して認可してきた原発や。落とし前つけてんか!

2013年09月15日 | 日本とわたし
ラジオフォーラムに掲載されていた、小出裕章ジャーナルの9月14日分を、ここに転載させていただきます。

↓以下、転載はじめ

五輪プレゼン・汚染水完全ブロックの嘘
「海というのはみんなつながっているのです。どこかで完全にブロックされるなんてありうる道理がありません」

~第36回小出裕章ジャーナル~

ラジオ放送日 2013年9月14日~20日
Web公開 9月14日

聞き手:
2013年9月8日、アルゼンチンで行われた国際オリンピック委員会の総会で、2020年のオリンピックが、東京で開催されることが決まりました。
福島第一原発から漏れ出ている、高濃度汚染水について、たくさんの質問が出ました。
その場で、安倍総理が、いろいろなことをおっしゃいましたが、このことについて、小出さんにお伺いしたいと考えています。

「汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内の、0.3平方キロメールの範囲内で、完全にブロックされている」と安倍総理はおっしゃいましたが、これは、科学的見地から見ていかがでしょうか?

小出さん:
そんなことあり得るはずがない。
皆さん、わかっていただけないでしょうか。
海というのは、みんなつながっているのです。
汚染はもちろん、福島第一原子力発電所の敷地から、流れてきているわけですけれども、
海に流れこんだ汚染は、太平洋全部、そしてさらには、地球全部の海に、結局は流れて出ていってしまうのです。

要するに、その時に薄まっていくというだけであって、どこかで完全にブロックされるなんてありうる道理がありません。

聞き手:
なるほど。
漏れ出さないように、港湾内で遮る作業を、一応はしているわけですよね?

小出さん:
スクリーンというものを下ろしているのですけれども、海というものは、満ち引きもあるわけですし、波もあるし、海流もあるし、
そんなスクリーンで、留めることが出来るはずがない。
海水はもちろん港湾内と港湾外を出入りしていますし、汚染はもちろん海へ流れていっているのです。

聞き手:
完全にブロックされているというのは、間違いということですか?

小出さん:
間違いというより嘘ですね。

聞き手:
福島第一原発というのは、もともと、原発から出た温排水を、遠くの外海に出るように作られているのではないですか?

小出さん:
福島も含めて、原子力発電所の温排水はほとんどの場合、海岸近くから放水しています。

聞き手:
ということは、排水路が外についているわけではないのですか?

小出さん:
今、六ケ所村につくられている、六ケ所再処理工場というところは、膨大な放射性物質を流さざるえない。
はじめからそういう設計になっていて、海岸線では到底流すことができないので、
沖合3キロまで排水管を引っ張って、確か水面下43メートルだったと思いますけども、そこから流すという設計になっています。

原子力発電所の場合には、それぞれ、膨大な海水を流しているのですけれども、ほとんど場所では、海岸の近くで流しています。
福島(第一原発)もそうです。



聞き手:
小出さんは、安倍さんが言ったことはウソだ、とおっしゃいましたが、こういうことも言っておられます。
「また、わが国の食品や水の安全基準は、世界で最も厳しい、被ばく量は、日本のどの地域でも、その100分の1程度だ。
 健康問題については、今までも、現在も、将来も、全く問題ない、ということをお約束いたします。
 抜本解決に向けたプログラムを、私が責任を持って決定し、すでに着手しております」

こういう発言については、どう思われますか?

小出さん:
ひたすら呆れますし、こんな軽々しい発言をする人を一国の首相に持っていることを私自身は大変恥ずかしく思います。

残念ながら、福島第一原子力発電所の事故は、起きてしまいました。
もちろん、その発電所は、自民党政権が安全性を確認したといって、認可した発電所なのであって、
自民党政権の中心メンバーで、トップにいる安倍さんに、責任があるのであって、
そのことをまず謝罪して、責任をとることが、本当は必要なことだと思います。


2年半経っても、事故自身を収束できないまま、今日まできていて、ですから、汚染水問題がみんなの問題になるということであって、
安倍さんなんかがどんなに責任を取るといっても、事故自身を収束できなかったというのが、事実として目の前にあるのです。

聞き手:
小出さんは、汚染水が漏れているから、タンカーで新潟(柏崎刈羽原発)まで運ぶべきだとか、
5月の時点では、遮水壁をつくらなあかん、という話をされているのですが、
あの時は、何も漏れていないということで、動かなかった、という経過がありましたよね?

小出さん:
あの時はすでに、ピットと呼ばれている水路が敷地の中にあって、海岸に突き出している部分からジャージャーと、汚染水が外に漏れているのが見えたのです。
それで慌てて、割れている部分だけを塞いだのです。

そうしましたら、多くのマスコミも、汚染水問題は方(かた)がついたと思ってしまったのだと思いますが、取り上げることがなくなってしまいました。
しかしピットにしろ、トレンチにしろ、原子炉建屋、タービン建屋、地下のところ、要するに、地面の下に埋まってしまっていて、仮に、割れがあっても見えないというだけなのです。

聞き手:
もともと、海を埋め立ててつくっていますよね?

小出さん:
そうです。
海を、海面のところまで、大地を切り下げていってですね、建てているのですが、
要するに、コンクリートの構造物ですので、割れないコンクリートの構造物なんて、この世には存在しないのです。

ましてや、地震に襲われていますので、そこら中に割れがあるはずだし、もちろん、液状化も起きているはずなのです。
当然、穴があいて、汚染水が、当時からずっと漏れていたのです。
そのことを皆さん、知らん顔しながら来て、今になって、汚染水問題が大変だと言っているわけですけれど、
私から見ると、何を今さら言っているのですか、と思ってしまいました。

聞き手:
7月22日、つまり、参院選の翌日に発表していますよね?

小出さん:
汚ないやり方ですね。

聞き手:
今回の、全くブロックされているというウソ、こういうことを世界中に発信してしまったわけですよね?
これ、あとで責任と問われたら、どうやって責任を取るんでしょうね?

小出さん:
必ず、責任を問うて欲しいと思いますし、安倍さんが責任を取るべきだと思います。

聞き手:
安倍さんの一連の見解は、アルゼンチンではなく、福島の人たちに向けて決意を述べるべきだ、と思いますが、いかがお考えですか?

小出さん:
おっしゃる通りです。
今も、福島第一原子力発電所の事故で、10万人ではきかない人が、苦難のどん底に落とされてしまって、
2年半経っても、何の改善もされない状況なのですね。


まずは、安倍さんが、何かそのことに対して、何かきちっとしたプログラムがあるというのであれば、それこそきちんと説明しないといけないのであって、
そんなことをしないまま、世界には、何かプログラムを持っているかのようにいうわけですね。
本当に軽々しい発言だな、と私は思います。


↑以上、転載おわり
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「Can you speak English?」

2013年09月14日 | ひとりごと
「Can you speak English?」

この季節、子どもが新しい学年になり、心機一転、ピアノを習わせてみよか、と思う親御さんがいる。
前にちょっと習たけど中断してて、なんとなくまた始めてみよかな、と思う子どもがいる。

そんなこんなで、毎年数人の、新しい生徒が入ってくる。

今年も、わたしがどんな教え方をして、レッスン代がいくらで、どこに住んでるのかを尋ねる電話が数件かかってきた。

で、今回初めて、冒頭の質問を受けたんである。

この質問の前に、「あら?あなたの英語にはクセがあるわね」と言われた。
顔を見ながらの会話なら、わたしが東洋人であることはわかるけど、電話ではそうはいかんから、そんなふうに聞かれても別にかまへんのやけど、
そのあとに続いたのが、
「でも大丈夫よ。わたしは航空会社に勤めていたので、そういうアクセントのある英語には慣れてるから」ときた。
「はあ……」と思いながら聞いてたら、
「あなた、英語が話せるの?」と言われたんであ~る。

「Do you」ではなく「Can you」と聞かれたことにカチンときた。
だって、相手の興味は、わたしが英語を話すかどうかではなく、英会話の能力の高い低いを聞きたいと言うてるのやから。

いや、そんなこと聞かれても、こうやって話してる内容でわかるやろにと、うだうだ考えながら、けっこう狼狽えてしもてる自分にびっくりした。
「話せますよ」と、ひと言だけしか答えんかった自分にも腹が立った。

そのあと、向こうの質問に二三答え、トライアルのレッスンの日にちを決めて電話を切り、それからしばらくポカンとしてた。

台所のカウンターで、旦那とふたり、並んで夕飯の用意をしてた時、窓の向こうを眺めながら電話の件を話したら、
「どう答えたん?」と、血相を変えて聞き返された。
「どうって……話せますって言うた」
「わたしは35年以上の教師経験があり、そのうちの13年はこちらで教えてるって言うたったんか?」と、旦那はすっかり作業を止めてブチ切れてる。
「いや、そういう詳しいことは言わんかった。会うてわかってもらう」

そう言いながら腹の中では、ほんまや、なんでそう、ガツンと言うたらへんかったんや……と、うじうじ思てる自分がいた。

こんなつまらんことで、と思おうとしてるわたしに、
これはつまらんことでなく、こういう質問は失礼で、そういう失礼に対してははっきりと答えていい。
滅多に無いとは思うけど、もし次にこんなことがあったら、声のトーンに気をつけて、きちんと考えを言えばいい。
と教えてもろた気がしてやっと、波立ってた心の中が落ち着いた。

日本で居た時、わたしはどっちかっていうと、言いたい放題する人の言葉を、えへへ~と笑いながら受けることが多かった。
こいつは何を言うても平気っぽい。
そんなふうに思わせるような態度がくせになり、けっこう傷ついてたりするのに、それを自分でも認めんようになってた。

こっちに来てから言語環境が変わり、言葉というものについての観念が変わり、
ちっちゃな子どもを教えてる時でさえ、その子に言うてええ言葉とそうでない言葉をちゃんと考えてから、ものを言うようになった。
何回か、「いくら先生でも、そんなふうには言われたくない」とか、「そういう言い方はようない」と、抗議を受けたからやし、
わたしに対しても、言われても直しようのなく、傷つくだけのことや、身体的な欠点をあげつらうような人がおらんようになったから、
そういう気遣いをしてもらえることの繰り返しが、そういう気遣いをお返ししたい気持ちにつながってるんやと思う。

教えるっていうことは、教えてもらうってこと。
周りから十分の気遣いや愛情を受けたら、こんな頑固なおばちゃんでも、ちょっとはマシな人間になっていくんやな。

ほんでもうひとつ、欲張って言うと、
その相手が誰でも、わたしはその、あなたの言葉で傷つきました。と、ちゃんとその場で、落ち着いた口調で言えるようになりたい。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする