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サミュエル・フラー監督『戦火の傷跡』

2007-05-06 15:51:51 | ノンジャンル
 今日紹介するのは、先日WOWOWで放映された、サミュエル・フラー製作・脚本・監督、ジョセフ・バイロック撮影の'50年作品「戦火の傷跡」です。
 ドイツ領に入り、無人の町で味方の犠牲を出しながら、残る一人のドイツ兵士を殺した主人公は、負傷したところをドイツ人の娘に助けられます。彼女は自分はナチではなく、ドイツ人とナチは違うことを理解してほしいと言います。実際、病気で寝たきりの彼女の母はアメリカ軍の到来を心待ちにしていました。彼は退役し、民間人として占領軍政府に勤務し、彼女と結婚する決心をします。一方、ナチの残党は地下にもぐり、占領軍の輸送の妨害、食糧・衣料品の略奪、デモなどを繰り返し、アメリカ軍をドイツから追い出すという幻想にしがみついています。そして主人公の婚約者の弟もその活動に参加しています。主人公は、ナチの男から、主人公の婚約者がナチであり、彼の金を目当てに彼を助けたということを聞き、婚約者に対して怒りをぶつけますが、婚約者はその事実は認めつつ、一緒に暮らすうちに本当に愛するようになったことを伝えます。ニュールンベルグ裁判が始まり、主人公の婚約者と弟は傍聴し、上映されたフィルムによっていかにナチがひどいことをしてきたか、を知り、ショックを受けます。弟はナチの破壊活動のリーダーと言い争いになり、揉み合ううちにランプが落ちて火災が起き、リーダーは死に、火傷を負った弟は、和解した主人公と婚約者に助け出されるのでした、という話です。
 実写フィルムをふんだんに使い、より迫真性を持たせた作りになっています。アメリカ軍占領下のドイツを扱った映画というのは、私の知る限りこの映画が初めてで、フラーも映画を通じて、ナチと非ナチの一般のドイツ人を区別することの大事さ、一般のドイツ人が戦後ナチの残虐行為を知った時の気持ち、そして主人公の婚約者を描くことによって、人間の気持ちというのは醜い心から美しい心に変わることがありえることを伝えたかったのではないか、と思いました。
 「戦火の傷跡」、無条件にオススメです。