今夜0時40分から2時45分まで、NHK・BS2でカール・テオドール・ドライヤーの「奇跡」が放映されます。私は最初に見た時、ラストシーンで号泣し、蓮實重彦氏、ヌーヴェル・ヴァーグの作家たちも絶賛している映画です。未見の方、ぜひご覧になってください。
さて、朝日新聞の年末の特集記事「2007年 心に残った一冊」の対談で取り上げられていた安東みきえさんの「頭のうちどころが悪かった熊の話」を読みました。子供向けの本で7つの独立した話からなっています。
「頭のうちどころが悪かった熊の話」
熊は頭を打って記憶喪失になります。そばにいた亀を奥さんのレディベアと間違え、亀の会話がとんちんかんなのは亀が101才で昨日聞いた話に今答えているからだ、とクマバチに教えてもらいます。今度は毛虫をレディベアと間違え、その次には家の中の揺り椅子と間違えます。そしてしばらく行くと頭を後ろから叩く者がいて、それがレディベアでした。熊は抱き締められ、幸せで頭がくらくらするのでした。
「いただきます」
トラがさっき食べたキツネに同情して泣いているところへ旅人が通りかかります。トラの腹の中のキツネは、以前食べたニワトリがさぞ怖かっただろうと泣いています。キツネの腹の中のニワトリは、食べたトカゲに同情して泣いていました。トカゲは森じゅうをレースの糸で飾りたかったであろうクモに同情しています。クモは何も言わずに食べたハエに申し訳ないと思っていました。ハエは以前食べるものにも困っている時、深手を負ったトラに体をもらった恩があると言います。ハエの感謝をトラに伝えると、トラを始めとして皆が安心するのが分かりました。そして旅人はトラと握手しますが、トラは手を離そうとしません。夕食の時間が迫っていたのです。
「ヘビの恩返し」
ヘビの父はカコの実を食べ、過去のことした考えられなくなります。帰って来た母さんヘビはミライの芽を食べてしまい、未来のことした考えられません。子ヘビは目の前にある卵の飲み込み方を教えてくれないので、父さんヘビとケンカして、飲み込まれてしまいます。そこへ旅人を食べ損なったトラがやってきましたが、ヘビは食わず嫌いでした。子供を食べて嘆く父さんヘビの中からトラが子ヘビを引っ張り出すと、子ヘビが内側で父さんヘビの腹を噛んでいたので、父さんヘビは裏返ってしまいます。子ヘビは再び父さんヘビの口から入って行って、トラに子ヘビのしっぽを引っ張ってもらうと、父さんヘビは元通りになりました。父さんヘビは卵の飲み込み方を子ヘビに教え、母さんヘビを探しに行くのでした。
「ないものねだりのカラス」
カラスは向かいの木に止まり続けているシラサギをずっと憧れてみていましたが、やってきたフクロウにあれは枝と枝の隙間だと教えられます。しかし、ある日本物のシラサギがやってきて、カラスは友達になろうと言おうとしますが、生まれてこの方ひねくれた言葉しか話した事のないカラスはシラサギの悪口しか言えません。絶望したカラスは空高く飛んで星になろうとしますが、夜明けの小鳥のさえずりを聞いて希望を取り戻し、さえずりを胸一杯に吸い込んで、またシラサギに会いに行くと、口から出るのは人の噂話ばかりでした。冷たい風の中を飛んでいると澄んだ気持ちになり、今度こそとシラサギのもとへ行くと、口から出るのはくしゃみだけでした。するとシラサギは羽でカラスを素住み込み、友人だったらこうするでしょう、と言うのでした。幸せな日々を送ったカラスは、今度は青い色が美しいカササギの友人になりたいと思うのでした。
「池の中の王様」
クエスチョンマークの形で生まれて来たオタマジャクシの「ハテ?」はいろんな疑問を親にぶつけてきました。一々理由を聞かないではいられないハテは、集団行動を乱し、父に叱られます。ハテは納得がいかず、旅に出ます。やがて夜になり水底に沈んでいるとミズカマキリに捕まり、ヤゴが横取りしました。ヤゴに食われるのと、一生ヤゴの友達でいるのとどっちがいいと聞かれ、友達と答えます。ハテはヤゴに尾びれの替わりになる葉を探しに行き、帰って来ると、ヤゴはトンボになっていて、自分もカエルになっていました。
「りっぱな牡鹿」
いっぱな牡鹿は、森のみんなの悩みごとを聞いてあげています。ヤマアラシが寛恕に嫌われたとやってきましたが、彼女の本心ではないかもしれないと言われて、安心して帰って行きました。今度はアライグマが現れて、何でも洗うのは潔癖性じゃないかと悩んでいるというので、ものごとには2つの面があり、きれい好きでいることは悪いことばかりではない、と言われ、安心して帰っていきました。すぐにダチョウがやってきて、とべないのに羽のある意味があるのか、と言うので、牡鹿は意味、意味とうるさい、と怒り、ダチョウは驚いて飛んで逃げて行きました。牡鹿は意味のあることをするのを止める決心をしますが、椅子には座れなくなり、やかんでお湯をわかせなくなります。やってきた父を着て、やかんと椅子をひきずり意味のない散歩に出かけると、親孝行だと意味付けされてしまいます。悩んでしまった牡鹿を森の仲間たちが慰めてくれると、気持ちが明るくなるのでした。
「お客さまはお月さま」
冬、不眠症で冬眠できない熊は、ほら穴に三日月を招いて友人になりますが、薪を取りに出ると落石で洞穴の出口が塞がってしまいます。歩いているとついてくる星たちを利用して、岩に向かって全速力で熊が降り、急ブレーキで止まると、星たちは止まることができず、岩石に当たって岩を崩してくれました。
たわいもない話ばかりですが、「いただきます」は終わり方がブラックで結構気に入りました。絵もかわいいし、大人も楽しめる絵本だと思いました。
さて、朝日新聞の年末の特集記事「2007年 心に残った一冊」の対談で取り上げられていた安東みきえさんの「頭のうちどころが悪かった熊の話」を読みました。子供向けの本で7つの独立した話からなっています。
「頭のうちどころが悪かった熊の話」
熊は頭を打って記憶喪失になります。そばにいた亀を奥さんのレディベアと間違え、亀の会話がとんちんかんなのは亀が101才で昨日聞いた話に今答えているからだ、とクマバチに教えてもらいます。今度は毛虫をレディベアと間違え、その次には家の中の揺り椅子と間違えます。そしてしばらく行くと頭を後ろから叩く者がいて、それがレディベアでした。熊は抱き締められ、幸せで頭がくらくらするのでした。
「いただきます」
トラがさっき食べたキツネに同情して泣いているところへ旅人が通りかかります。トラの腹の中のキツネは、以前食べたニワトリがさぞ怖かっただろうと泣いています。キツネの腹の中のニワトリは、食べたトカゲに同情して泣いていました。トカゲは森じゅうをレースの糸で飾りたかったであろうクモに同情しています。クモは何も言わずに食べたハエに申し訳ないと思っていました。ハエは以前食べるものにも困っている時、深手を負ったトラに体をもらった恩があると言います。ハエの感謝をトラに伝えると、トラを始めとして皆が安心するのが分かりました。そして旅人はトラと握手しますが、トラは手を離そうとしません。夕食の時間が迫っていたのです。
「ヘビの恩返し」
ヘビの父はカコの実を食べ、過去のことした考えられなくなります。帰って来た母さんヘビはミライの芽を食べてしまい、未来のことした考えられません。子ヘビは目の前にある卵の飲み込み方を教えてくれないので、父さんヘビとケンカして、飲み込まれてしまいます。そこへ旅人を食べ損なったトラがやってきましたが、ヘビは食わず嫌いでした。子供を食べて嘆く父さんヘビの中からトラが子ヘビを引っ張り出すと、子ヘビが内側で父さんヘビの腹を噛んでいたので、父さんヘビは裏返ってしまいます。子ヘビは再び父さんヘビの口から入って行って、トラに子ヘビのしっぽを引っ張ってもらうと、父さんヘビは元通りになりました。父さんヘビは卵の飲み込み方を子ヘビに教え、母さんヘビを探しに行くのでした。
「ないものねだりのカラス」
カラスは向かいの木に止まり続けているシラサギをずっと憧れてみていましたが、やってきたフクロウにあれは枝と枝の隙間だと教えられます。しかし、ある日本物のシラサギがやってきて、カラスは友達になろうと言おうとしますが、生まれてこの方ひねくれた言葉しか話した事のないカラスはシラサギの悪口しか言えません。絶望したカラスは空高く飛んで星になろうとしますが、夜明けの小鳥のさえずりを聞いて希望を取り戻し、さえずりを胸一杯に吸い込んで、またシラサギに会いに行くと、口から出るのは人の噂話ばかりでした。冷たい風の中を飛んでいると澄んだ気持ちになり、今度こそとシラサギのもとへ行くと、口から出るのはくしゃみだけでした。するとシラサギは羽でカラスを素住み込み、友人だったらこうするでしょう、と言うのでした。幸せな日々を送ったカラスは、今度は青い色が美しいカササギの友人になりたいと思うのでした。
「池の中の王様」
クエスチョンマークの形で生まれて来たオタマジャクシの「ハテ?」はいろんな疑問を親にぶつけてきました。一々理由を聞かないではいられないハテは、集団行動を乱し、父に叱られます。ハテは納得がいかず、旅に出ます。やがて夜になり水底に沈んでいるとミズカマキリに捕まり、ヤゴが横取りしました。ヤゴに食われるのと、一生ヤゴの友達でいるのとどっちがいいと聞かれ、友達と答えます。ハテはヤゴに尾びれの替わりになる葉を探しに行き、帰って来ると、ヤゴはトンボになっていて、自分もカエルになっていました。
「りっぱな牡鹿」
いっぱな牡鹿は、森のみんなの悩みごとを聞いてあげています。ヤマアラシが寛恕に嫌われたとやってきましたが、彼女の本心ではないかもしれないと言われて、安心して帰って行きました。今度はアライグマが現れて、何でも洗うのは潔癖性じゃないかと悩んでいるというので、ものごとには2つの面があり、きれい好きでいることは悪いことばかりではない、と言われ、安心して帰っていきました。すぐにダチョウがやってきて、とべないのに羽のある意味があるのか、と言うので、牡鹿は意味、意味とうるさい、と怒り、ダチョウは驚いて飛んで逃げて行きました。牡鹿は意味のあることをするのを止める決心をしますが、椅子には座れなくなり、やかんでお湯をわかせなくなります。やってきた父を着て、やかんと椅子をひきずり意味のない散歩に出かけると、親孝行だと意味付けされてしまいます。悩んでしまった牡鹿を森の仲間たちが慰めてくれると、気持ちが明るくなるのでした。
「お客さまはお月さま」
冬、不眠症で冬眠できない熊は、ほら穴に三日月を招いて友人になりますが、薪を取りに出ると落石で洞穴の出口が塞がってしまいます。歩いているとついてくる星たちを利用して、岩に向かって全速力で熊が降り、急ブレーキで止まると、星たちは止まることができず、岩石に当たって岩を崩してくれました。
たわいもない話ばかりですが、「いただきます」は終わり方がブラックで結構気に入りました。絵もかわいいし、大人も楽しめる絵本だと思いました。